鎌田實の一日一冊(156)
「扉を開く人 認知症の本人が語るということ」(クリスティーン・ブライデン著、NPO法人認知症当事者の会編集、永田久美子監修、クリエイツかもがわ、2100円)
46歳でアルツハイマー型認知症と診断されたキャリアウーマン。
その人自身が語っている。
アルツハイマー病は壊れていく脳細胞があっても、いいところがまだいっぱい残っている。
その残された部分を最大限に使って、ご主人の支えを受けながら、病気になっていく自分を語っていく。
スーパーに買い物にいくと、自分がどこにいるかわからなくなってしまって、脱出できなくなる。
講演旅行に行くが、その旅の準備がたいへん。
計画を立てるのが苦手。
何を持っていったらいいのかも、決めることができない。
決めても、何を決めたのかすぐに忘れてしまう。
パニックになってしまうこともあるという。
でも、できることも多い。
洗濯機は今も使いこなせる。
終了音が鳴ったら、すぐに洗濯物を干す。
ほかのことをしていると、洗濯物のことは忘れてしまうので、すぐに干すのだ。
これなんかは、ぼくも同じような気がする。
やりかけにしないで、必ず終わらせるようにしている。
世間では認知症に対して、ぼけているとか、苦しんでいるとか、子どものようだとか、何も解らないと思い込んでいるが、けっこういろんなことが解っている。
苦手なことがあったり、判断ができないこともあるが、霧の中いるような感じで、感情やスピリチャリティーは残っている。
著者は、そこに目を向けてほしいという。
認知症患者は「心がからっぽで、抜け殻ではない」と言う。
いまケアをしている人にとって、ヒントになる本。
ケアをしてない人にとっても、人間とは何かを考えさせてくれる哲学的な本だ。
「私は残された一瞬一瞬を宝のように大切にしていくつもりです。
私は全力をつくして認知症の人のために提言を行い、変革に貢献しました」
というクリスティーン・ブライデンの言葉は力強い。
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