夜と月と権力
アスワンから砂漠を200キロ走って、ルクソールに着いた。
満月に近い月が我々を照らす。
ルクソールの最大の神殿、カルナック神殿を訪ねた。
134本の大柱がそびえる大列柱部屋―高さは21メートルもある。
歴代の王たちが競って増築し続けた神殿である。
自分の権威を高めるために、神から特別な権限が与えられているような絵が描かれている。
ハトシェプスト女王のオベリスクは、漆黒の夜空にこれみよがしにそそり立つ。
その上に月の光がやさしく注がれている。
古代エジプトの古い王朝時代は、ナイル川の氾濫によってしばらくの間、農業が出来なくなると豊かな財力を動かしてピラミッドを作った。
公共投資で人々の生活を守ったといわれている。
しかし、ヒッタイトなどに襲われ、王権が弱体化する。
さらにアッシリア、ギリシャ、ローマ、マケドニアなどの強国が、エジプト王朝にプレッシャーをかける。
弱体化した王朝が、これだけの神殿を増築しつづけることは、国民を苦しめることに繋がっていっただろう。
王と神官たちの闇の権力争いもあったはずだ。
我々は、かつて爬虫類だった時代があった。
爬虫類脳の中に4つの本能があるといわれている。
食べたい。眠りたい。セックスしたい。戦いたい。
我々はこの爬虫類脳を今も持ち続けている。
カルナック神殿の夜空の下で、我々の中にある獣の心を、歴史の遺物の中に見させられているような気がした。
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