鎌田劇場へようこそ!(137)
「25年目の弦楽四重奏」
絶対オススメ。
感動。
ベートーヴェンの名曲「弦楽四重奏第14番」が流れるなか、4人の音楽家たちの格闘がはじまる。
パーキンソン病になったリーダー。
第1バイオリンのダニエル。
そして、第2バイオリンとビオラの夫婦。
妻は、かつて第1バイオリンのダニエルと愛し合った過去がある。
第2バイオリンの夫が、第1バイオリンをやりたいと言い出すが、妻は夫婦の関係を大事にしながらも、自分たちの楽団の質を確保するためには、第1バイオリンはダニエルのほうがいいと思う。
夫の心は穏やかではない。
そんななか、バイオリン奏者である夫婦の一人娘もダニエルに指導をうけるうちに、ダニエルに惹かれていく。
夫婦は自分の娘に手を出すなと怒る。
物語は、不協和音を出しながら進行していく。
ベートーヴェンは、甥のカールを愛し育てたが、カールはベートーヴェンを殴って飛びだし、自殺未遂をおこす。
そのカールが、ベートーヴェンが倒れたとき、戻ってきて支える。
人間の複雑な心、葛藤のなかで、この弦楽四重奏14は作られたという。
7楽章からできているが、ベートーヴェンは休みを入れないこと、と指示しているという。
長い曲を演奏しつづけると調律が狂う。
そのとき、演奏をやめるべきか、それとも調律が狂ったまま最後まで互いにもがきながら、つづけるべきか。
人生に似ている。
狂いながらも、複数の人間がどうやって調和をとっていくのか。これこそ、まさに人生。
弦楽四重奏が流れるなか、複雑な人間の心を美しく、ときに激しく、映画でなければ表せない手法で表現している。
久しぶりの傑作である。
7月からロードショー。
ぜひ、ぜひ、見てほしい。
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