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2013年5月20日 (月)

鎌田實の一日一冊(173)

「ありがとう和ちゃん-母の介護を終えて」(野田明宏著、プラス出版、1365円)

母を思う息子の愛情がほとばしっている。すさまじい本だ。
著者はフリーライター。
バックパックを背負って世界を旅する彼を、理解し、旅に行かせてくれたのがお母さんだった。

そのお母さんのやさしい思いをずっと胸に、10年間も認知症介護をしてきた。
どんな状況になっても、母の絶対的な理解者だ。

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7、8年前、ぼくは、この野田さんとある介護雑誌で対談したことがある。
岡山からやってきた「がんばる介護」の野田さんと、「がんばらない介護」の鎌田の対談である。
自分の命を削るような介護をしているなと思った。
今回、この本を読み直してみて、ますますその思いが募った。
なかなかこれだけのことはできない。
介護サービスを使いながらも、最後の最後まで自分でお母さんを看ることを続けた。
見事なものである。

今は、野田さんは介護関連の講演活動や執筆をしている。
男性の目を通して、日本の介護や生き方を見直していくことは大事だと思う。

日々介護をしている人、これから介護をする人、介護を終えた人にぜひ読んでもらいたい本である。

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