信頼をつなぐ
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6月2、9日、BS朝日の「いのちを語る」(11.00~)という番組に出演する。
この番組は、時代を代表する宗教家の声を聞くというもので、これまで菅原文太さんや、さだまさしさん、夜回り先生の水谷修先生らが宗教家を訪ね、生と死について語り合ってきた。
今回は2回連続で、鎌田實が、神戸の六甲修道院の高木慶子シスターを訪ねた。
高木シスターは、病院などに頼まれて、今まで160人のターミナルケアをおこなってきた。
患者さんはほとんどがクリスチャンではない。
日本には、カトリック40万人、プロテスタント40万人、合わせて80万人のクリスチャンがいるというが、予想以上に少ない。
この25年間は、グリーフケア(悲嘆の支え)を研究テーマにしている。
活動の拠点は関西だけでなく、上智大学のグリーフケア研究所の所長をつとめている。
高木シスターは、阪神淡路大震災で被災した人、目の前で愛する人を亡くした人に声をかけ、週一回、教会で集会を開いた。
すると、クリスチャンでもない人たちがたくさん集まった。
やがて、教会に入りきれなくなり、集会は週3回になった。
福知山線の脱線事故のときには、電車に乗り合わせて心にも体にも傷を負った人、遺族、加害者であるJR西日本、そして、悲嘆の支えを勉強する人たちを同じ空間に集めて、グリーフケアの連続講義を行った。
どうやって悲しみを乗り越えたらいいのか、グリーフケアには多くの人が関心を寄せている。
講義の受講希望者を募ると、定員の3倍も4倍も人が集まる。
高木シスターは、大きな災害や事故にあわなくても、「人生の3分1は悲しみに触れている」という。
原因の多くは、喪失体験だ。
仕事の喪失。プライドの喪失。乳がんによる乳房の喪失。家族の喪失・・・。
人は何かを喪失したときに、悲嘆にくれる。
番組では、高木シスターが医療者ではない立場で、どのようにターミナルケアをしているか、また、人生のなかで悲しみに出会ったとき、どううしたらそれを乗り越えられるかを伝えている。
前編後編各30分の番組だが、濃密なディスカッションになった。
番組HPはこちら↓
http://www.bs-asahi.co.jp/kataru/
ぜひ、ご覧ください。
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絆ぐるぐるプロジェクトが終了しました。
目標30万円の募金の協力をインターネットで呼びかけましたが、それを上回る42万8000円の募金が集まりました。
JIM-NETのスタッフ佐藤真紀さんと、チェルノブイリの放射能の汚染地域で子どもや妊婦さんの支援をしているJCFの国井看護師が、東北に集まり、使いきれなかった衣類を持って、イラクやヨルダンに逃げてきたシリア難民の人たちに配ってきました。
シリア難民は現在136万人いるといわれています。
このままいくと350万人のシリアの人たちが難民となって、イラクやヨルダンに出て行く状況になっています。
イラクもヨルダンも豊かな国ではなく、シリア難民への対策に困難を感じています。
この絆ぐるぐるプロジェクトについては、インターネットで多くの方にご協力いただきました。
この取り組みを、朝日新聞も大きくとりあげてくれました。
アラブ諸国の大使夫人たちからも、JIM-NETを通して、シリア難民支援のために15万円をご寄付いただいています。
まずは、ご協力に感謝いたします。
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茅野市内のかんてんぐらで鎌田塾が開かれた。
男女ともに平均寿命日本一となった長野県をつくるなど、地域の健康づくりを担ってきたショッカイさんたち約15人が集まり、諏訪中央病院の研修医たちに、手作りの健康長寿食をふるまった。
上の写真は、その料理の数々だ。
タラの芽、コゴミ、ギョウジャニンニク、ふだん食べたことがないような山菜、海藻、多種類の野菜が並んだ。
上の右側の写真は、エゴマのごはん。
もち米とうるち米半々のごはんを“半殺し”にして、エゴマと枝豆をすったものをまぶし、ぼたもちのようにして食べる。
エゴマにはオメガ3といういい油がたっぷり。
海なし県の長野であまり魚が食べられなかった時代は、このエゴマとクルミが、オメガ3の主な補給源だった。
公民館長がやってきて、地域についてミニ講演をしてくれるなど、地域全体が若い研修医たちを歓迎してくれた。
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「25年目の弦楽四重奏」
絶対オススメ。
感動。
ベートーヴェンの名曲「弦楽四重奏第14番」が流れるなか、4人の音楽家たちの格闘がはじまる。
パーキンソン病になったリーダー。
第1バイオリンのダニエル。
そして、第2バイオリンとビオラの夫婦。
妻は、かつて第1バイオリンのダニエルと愛し合った過去がある。
第2バイオリンの夫が、第1バイオリンをやりたいと言い出すが、妻は夫婦の関係を大事にしながらも、自分たちの楽団の質を確保するためには、第1バイオリンはダニエルのほうがいいと思う。
夫の心は穏やかではない。
そんななか、バイオリン奏者である夫婦の一人娘もダニエルに指導をうけるうちに、ダニエルに惹かれていく。
夫婦は自分の娘に手を出すなと怒る。
物語は、不協和音を出しながら進行していく。
ベートーヴェンは、甥のカールを愛し育てたが、カールはベートーヴェンを殴って飛びだし、自殺未遂をおこす。
そのカールが、ベートーヴェンが倒れたとき、戻ってきて支える。
人間の複雑な心、葛藤のなかで、この弦楽四重奏14は作られたという。
7楽章からできているが、ベートーヴェンは休みを入れないこと、と指示しているという。
長い曲を演奏しつづけると調律が狂う。
そのとき、演奏をやめるべきか、それとも調律が狂ったまま最後まで互いにもがきながら、つづけるべきか。
人生に似ている。
狂いながらも、複数の人間がどうやって調和をとっていくのか。これこそ、まさに人生。
弦楽四重奏が流れるなか、複雑な人間の心を美しく、ときに激しく、映画でなければ表せない手法で表現している。
久しぶりの傑作である。
7月からロードショー。
ぜひ、ぜひ、見てほしい。
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「検閲帝国ハプスブルク」(菊池良生著、河出書房新社、1575円)
著者は、ハプスブルク家の本をたくさん書いている。
これまで、ハプスブルク家から、警察ができる歴史や郵便ができる歴史を学んできたが、この本は、ハプスブルクの非常識な検閲から、著作権がうまれたという壮大なストーリーが展開される。
とてもおもしろい。
ハプスブルクは権威を守るため、躍起になって検閲した。
その検閲に対し、表現者は必死に抜け穴を見つけていく。
実は、著者の菊池君は小学校の同級生。
彼がピッチャーで、ぼくがキャッチャー、野球のバッテリーを組んでいた。
ノーコンで暴投が多いピッチャーだったが、今回は暴投ではない。
昔から簡単なことを難しく言うのが好きな著者だが、この本はわかりやすく、なるほどとうなづきながら読める。
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「世界が食べられなくなる日」
遺伝子組み換え作物(GM作物)は、世界に広がりはじていている。
GM作物に厳しい目をもっているはずの日本は、タネは入れないようにしているもののも、加工食品はザルの目をくぐり抜けるがごとく、日本に入ってきている。
GM作物をつくる企業では、タネと農薬をセットにして売っている。
その作物は枯らさずに、その他の雑草を枯らすことができる農薬である。
分子生物学者は、このGM作物と、残留農薬を長期的にラットに与え、実験した。
その結果、ラットに腫瘍ができていく。
一度、このタネを使い始めると、もう後戻りはできない。
企業は毎年毎年、農家にタネと農薬をセットで売り、もうかるような仕組みをつくっている。
TPPが結ばれると、日本の食の安全はさらに厳しい状況に追い込まれる気がする。
これまで、安全でおいしく、気候に合った作物をつくり、つないできた農業が危機に直面するかもしれない。
命を守る安全な食のために、丁寧な農業が経営としても成り立つようにする必要がある。
6/8から、渋谷アップリンクでロードショー。
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病気や障害があっても旅行を楽しみたい--。
そんな人たちを応援するドリームフェスティバル。
秋のツアーは、NHK大河ドラマの舞台でもある会津に決定した。
震災後、まだ元気を回復していない東北の観光を応援する、東日本応援ツアーだ。
日程は、9月9~11日の2泊3日。
宿泊は、軽井沢をはじめ全国展開している星野リゾート裏磐梯の全館貸切を計画している。
定員は300人。
がんがあっても、障害があっても、うつ病でも、旅を楽しみたいという気持ちがあれば大丈夫。
もちろん、病気や障害がなくても、会津や裏磐梯を応援したいという人、大歓迎。
ツアー中、楽しいイベントや鎌田の講演もある。
ぜひ、一緒に会津の秋を楽しみましょう。
詳しくはこちらまで↓
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「熱き医療人たち-医療に“壁”はない! Lattice」(寺山守・高橋靖著、YMS教育企画、2100円)
若い医師や医学生たちが、アウシュビッツを見たり、パレスチナの難民支援をしている国際連合パレスチナ難民救済事業機関の診療所活動を見に行く。
医学生たちがパレスチナ西岸地区に入るときに、指導しているのが、ぼくもお世話になったUNRWAの清田ドクターだ。
そのほか、ミャンマーで活躍している日本人の外科医・吉岡先生を訪問したり、韓国との共同プロジェクトで一緒に研修したり、台湾と交流したり・・・。
国内では、大阪のあいりん地区で厳しい生活をしている人たちの健康問題を考えたり、ハンセン病の実態を学んだりしている。
若い医療人たちが、自分の腕を磨くことだけでなく、世界に目を向けることは本人にとっても、この国にとっても、とても大事である。
いい本だ。
ちなみに、Latticeの協力団体ということで、JIM-NETやJCFが紹介されている。
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女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが乳腺の切除手術を受けたことが話題になっている。
彼女は、母親を乳がんで亡くしている。
そのため、遺伝子検査を受けたところ、BRCA1という遺伝子に変異があり、乳がんになる可能性が87%あることがわかった。
両側の乳腺を切除したことを告白したのは、女性を守りたいというメッセージでもあるということだ。
現在、6万人の人が毎年、乳がんになっている。
そのうちの5~10%が、遺伝性の乳がんといわれている。
特徴は、若くして発症すること。そして、進行が早く、命の危険性も高い。
予防的な切除は、日本では難しいと思うが、遺伝子検査はもっと普及してもいいと思う。
たとえば、母親が乳がんの場合、その娘は保険で遺伝子検査ができるようにし、年3回など、乳がん検診をして、超早期発見できるようにすることで、命を守ることができる。
アフリカの西海岸にあるナミビアに行ったとき、A・ジョリーが出産の保養のために、B・ピットと数ヶ月滞在したホテルに泊まった。小さいがすてきなホテルの食堂(上)と、ホテルから見える風景
もちろん、予防的な乳腺の切除は、保険では使えない。
しかし、日本にも、A・ジョリーさんのような選択肢があっても、倫理的におかしいとはぼくは思わない。
それくらい遺伝性の乳がんは怖い。
命を守る手段は、多様であっていいはず。
大事なのは自己決定である。
今後、日本でも、食の欧米化にともなって、乳がんは多くなる。
遺伝子検査は約30万円かかるといわれているが、せめて、乳がんの母親をもつ娘に対しては、遺伝子検査が保険適応になればいいと思う。
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以前、紹介した「絆ぐるぐるプロジェクト」は、東日本大震災の被災者支援のためにいただいた衣類を、石巻の方の申し出により、シリア難民に送ろうというプロジェクト。
あたたかい支援を、ぐるぐるまわしていこうというものだ。
1ヶ月間で30万円の寄付を募るのが目標だったが、みなさんの厚いご支援により、16日間で目標を達成した。
最低目標額は達成したが、今も応援を求めている。
ぜひ、ご協力をお願いいたします。
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「ありがとう和ちゃん-母の介護を終えて」(野田明宏著、プラス出版、1365円)
母を思う息子の愛情がほとばしっている。すさまじい本だ。
著者はフリーライター。
バックパックを背負って世界を旅する彼を、理解し、旅に行かせてくれたのがお母さんだった。
そのお母さんのやさしい思いをずっと胸に、10年間も認知症介護をしてきた。
どんな状況になっても、母の絶対的な理解者だ。
7、8年前、ぼくは、この野田さんとある介護雑誌で対談したことがある。
岡山からやってきた「がんばる介護」の野田さんと、「がんばらない介護」の鎌田の対談である。
自分の命を削るような介護をしているなと思った。
今回、この本を読み直してみて、ますますその思いが募った。
なかなかこれだけのことはできない。
介護サービスを使いながらも、最後の最後まで自分でお母さんを看ることを続けた。
見事なものである。
今は、野田さんは介護関連の講演活動や執筆をしている。
男性の目を通して、日本の介護や生き方を見直していくことは大事だと思う。
日々介護をしている人、これから介護をする人、介護を終えた人にぜひ読んでもらいたい本である。
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福島県平田村にあるひらた中央病院は、震災直後、20キロ圏内の200人弱の寝たきり老人を受け入れて、命を守った。
そして、今は福島県の子どもたちを守るために、甲状腺の専門医による甲状腺検診を受けられるシステムを整え、体内被曝を測定できるホールボディカウンタをそろえた。
岩次郎小屋の庭に咲くムスカリ
小さな子どもをもつお母さんに対しては、お母さん自身と、母乳の放射能測定もできるようにしている。
できるだけたくさんの人に受けてもらい、安心できるようにしたいと、検査はすべて無料でおこなっている。
こうした取組を、多くの人に理解し、協力してもらおうと、映像にまとめた↓
http://www.youtube.com/watch?v=rGkyME5wfCQ
アラブ諸国の大使夫人たちが、東京でバザーを行い、その売上金の一部を本日20日、公益財団法人 震災復興支援放射能対策研究所を併設するひらた中央病院に届けてくださるという。
ありがたいことである。
ぜひ、この映像をごらんいただき、多くの方々に理解し、応援していただきたいと思っている。
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以前、このブログで紹介した映画「天使の分け前」が大ヒットしているらしい。
大入り袋が送られてきた。
鎌田實のコメントは、
「笑って、笑って、泣いた。
人生に何度失敗しても大丈夫と思わせてくれる希望に満ちた映画だ。
さすが、ケン・ローチ! 」
俳優の藤村俊二さんは
「人と人、人と物とが熟成され、ユーモアの樽からひとしずく・・・。
スコットランドからおこぼれ頂戴、笑った後の分け前は、何と感動」
ファッション評論家のピーコさんは、
「“天使の分け前”というタイトルで、何の情報もないのに観てみたいと思いました。
タイトル通りの観終った後味の良かった事!
100万ポンドもするスコッチ味が口の中に広がるような素敵な作品です」
みなさんもぜひ、笑いと感動の分け前をもらってください。
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「通販生活」2013年夏号の「あの日のあのお弁当」という特集で、ぼくのコロッケ弁当が紹介されている。
子どものころ、母につくってもらったコロッケ弁当。
前日の晩ごはんで残ったコロッケを甘辛く煮て、汁ごとたっぷりごはんにのせている。
決して見栄えはよくなくて、友だちに見られたくなかったが、味は抜群だった。
母のやさしさがたっぶりつまった弁当である。
ぼくの話をもとに、このコロッケ弁当を再現している。
とても似ているが、思い出の中のコロッケは、もっと大きかった。
ごはんの上にドンとのっているコロッケは、すごい存在感をもっていたのだ。
「青春と読書」5月号の巻頭エッセイを書いた。
セロトニンとオキシトシン、二つの幸せホルモンがもつ、人生を変える可能性。
脳のクセを変えれば、健康と幸せが手に入るかもしれない。
そんなお話だ。
90円。本屋さんで売っているところもある。
「がんサポート」5月号巻頭対談は、カリスマ美容師の篠田久男さん。
末期がんから奇跡の復活した。
男と男の約束を果たし、鎌田がまな板の上の鯉になった。
彼に、ヘアメイクを任せたのだ。
そのときの写真がいい。
鎌田實も、もしかしたらファンキーに変身するかもしれない?
実は、この後、もう一度、彼にヘアメイクをしてもらった。
なんと、金髪! しかも、メッシュで。
ぼくにはいいのか悪いのかわからない。
とにかく、がんから復活した男に丸ごとお任せだ。
ぜひ、お読みください。
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諏訪市にある原田泰治美術館では、開館15周年のイベントが続々と行われている。
その皮切りとして、原田泰治さんと鎌田實のトークショーがあった。
たくさんの人が聞きに来てくれ、会場はいっぱいになった。
なかには、三重県など遠方から来たの方も。
特別展では、「イラク 白血病と闘う子どもたち」と題し、イラクの子どもたちがかいた原画30点のほか、絵と写真で構成させたポスター10点を展示している。
JIM-NETと佐藤真紀さんがつくったイラクの子どもたちの絵本も好評で、今のところ約10万円売れたという。
地元の新聞でも大きく取り上げられた。
特別展は5月末まで。
信州は緑が美しい季節になった。
ぜひ、諏訪市の原田泰治美術館まで足をお運びください。
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ブルゴスの大聖堂は世界遺産だ。
最も有名なのは、ステンドグラスの美しさ。
息を呑むほど美しい。
特に、青の美しさには、瞬間的に胸をつかまれた。
しかし、ナポレオンの攻撃によって、本物のステンドグラスは一つを残して全て壊されたという。
その後、新しいステンドグラスがはめらたが、ガイドによると美しさがまるで違うらしい。
大聖堂は、いくつもの礼拝堂を有し、カトリック教会の荘厳さが見事に現れている。
その美しい装飾品をつくった職人たちは、自分の名前を残すことはない。
だが、聖者の像に、おやっと思った。
サンマルコが、メガネをかけている。
もしかしたら、これをつくった職人は、聖者のなかに、自分の顔をもぐりこませたのではないか。
「おれは、ここにいるぞ」
職人の存在証明。自己顕示だ。
アルタミラの洞窟にも、何十もの左手のサインが残されている。
その「おれは今生きているぞ」という自己顕示と、聖者のメガネには、ホモサピエンスの強い自我が感じ取れる。
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ピースボートでは、船上グローバルスクールを展開している。
引きこもりや不登校、いじめなどの経験をもつ若者たちが、何かを発見し成長していくきっかけをつかんでほしい、というのが目的だ。
前々回の船上グローバルスクールで、僕も授業も行なった。
そのとき僕は「自由」について語った。
参加した若者たちのなかには、自由に気が付いて、数名でオーバーランドの計画を立てたり、引きこもりの子たちがヨーロッパを一週間、予定なしで旅をした。
現地の言葉もろくにしゃべれないのに、その町へ行ってホテルを見つけたり、食堂に入ってご飯を食べた。
船のスタッフは皆心配したが、一週間後に彼らが無事に帰船したときは、感動の拍手の嵐だった。
ナポリの評判のピザ屋さんからテイクアウトし、みんなでピザパーティー
今回は、グローバルスクールの若者たちと夕食を共にした。
皆、才能が豊かだ。
ある女の子は、話をしただけで、この子は天才なんだろうなと思えるほどだった。
中学も、高校も、成績はいつも一番。
IQも極端に高いが、それゆえにいじめにあって学校に行けなくなった。
ハンサムな男の子は、有名国立大学を卒業して、そのままその大学の大学院へ進んだ。
ずっと365日全力で勉強したという。
この子も、きっと天才だと思う。
豊かな才能を持った子たちは、それぞれちょっと変わっている面がある。
ちょっと変わっていると、生きづらい。
特に僕たちの社会は、上手に空気を読まないと生きづらくなる。
それができないと、いじめを受けたり、一方的にレッテルを貼られてしまう。
日本が元気な国になって、新しい発明や新しい製品の開発が出来るようになるためには、それぞれのユニークな生き方を大事にしないといけないのではないだろうか。
ちょっと変わった人、ユニークな発想をもつ人を排除してしまうような世の中は、息苦しい。
ノーベル賞を取った日本人の多くは、外国で研究を開花させているのは残念だ。
才能を持ちながらつまずいた子どもたちにとって、旅はいい時間になるのではないか。
このグローバルスクールの取り組みも、もっと社会に知られるようになるといいと思う。
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古代ローマ時代にすでに発見されていたという「青の洞窟」。
不思議な光を発する洞窟である。
洞窟には、小さな穴から入る。
お客さんが4人しか乗れない小さなボートでも、穴を通に抜けるときには、全員がボートの上で身を伏せなければならない。
その小さな穴が、光を屈折させて、あの独特の緑色とエメラルド色の美しい色を見せる。
光の屈折が、不思議な色に見せているのだ。
ローマ時代の人たちはすでにこの不思議な洞窟に気付いていたというからすごい。
我々の祖先は、美に対して敏感。
その不思議な色の向こう側に何かを感じ、祈った人もいたのではないだろうか。
洞窟のなかに身を潜めていると、美や神や言葉といった抽象的思考が広がっていく。
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引率者のドクター・スルタンから若者たちと話をしてほしいと頼まれた。
同時通訳が付くことになった。
僕の活動を知りたいといわれたので、20分ほどのプレゼンテーションをした。
東北支援、チェルノブイリやイラクの子どもたちの医療支援、そして、パレスチナの子どもの心臓移植の話をした。
大きな体の彼らが、目を輝かせて聞いてくれている。
感動しているのが、こちらにも伝わって来る。
その後のディスカッションも次々に手が上がり質問が飛んだ。
多くの若者が自分たちも困っている人のために何かをするべきだと本気で考えているようだ。
この若者たちはもともと、社会貢献をしているグループの中から選ばれている。
学生もいるが、多くは医師や歯科医師、コンピュータエンジニアなど、仕事を持っている人が多い。
なかには数ヶ月後、日本に2ヶ月ほどの短期留学をする若者もいた。
「鎌田先生の活動のなかで喜びは何ですか?」
「子どもを助けることも大事だが、例えば戦争や事故が起きないように原則的な対応を何かしていますか?」
「なんでこれほどの活動が出来るのですか? その活動の動機を教えてください」
的確な質問が飛んだ。
1つ1つ丁寧に応えると、拍手をしてくれる。
賛同を表現してくれている。
終わった後も、握手攻め。
「泣くのを抑えて涙腺が痛くなりました」という青年もいた。
全員で記念写真を撮った。
彼らは、文化・宗教間対話を心掛けている。
日本とサウジアラビアは宗教も文化も違うが、船の上で十二分にお互いの理解を深める事が出来た。
こうやってたくさんの人が、旅をとおして異国の人や違う宗教の人と触れ合う事で平和は一歩前進するのだと思う。
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Discussion Session with Saudi Arabia Youths on board
Doctor Sultan, the coordinator for the Saudi Arabian youth participants asked me to talk to them. We had discussion session with simultaneous interpretation. I talked about myself for 20 minutes: about my North East Earthquake aid, supporting the children of Chernobyl,Iraq, and heart transplant of Palestinian boy. Despite their manly appearances, they were listening to my story bearing their tears. After my presentation, they asked me some questions. Many of them are seriously thinking about what they can do to contribute to those who suffer.
These participants were selected from group of social contribution. Among the group, there is a student, but many have jobs such as doctors, dentists and computer engineers. One participant is going to Japan to study Japanese for 2 months.
“What is your joy and happiness in your activity?”
“Is it important to support the children, however, have you tried to approach those who are responsible for the cause of the problem?”
“What is your motivation to do this kind of hard activity?”
These questions were focused to the point. I tried to explain and answer each questions respectfully. Their applause was sign of their support.
After the session, we shook hands and took a group photo.
They are aware of importance of interfaith and intercultural dialogue. Japan and Saudi Arabia are very different culturally and religiously, however, we could come to deep understanding of each other onboard.
I believe that as many people are able to come in touch with different people from different background, it will be a step toward peace.
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船内で、ドクター・スルタンと夕食をとった。
ドクターは、サウジアラビアの国際文化・宗教間対話を促進しているセンターの学生10人を引率している。
初めは、イスラム教のシーア派とスンニー派の対話を試みていたが、今ではキリスト教やユダヤ教の対話を行なっているという。
僕の『アハメドくんのいのちのリレー』を差し上げた。
そのセンターがあるウィーンに持っていきたいという。
殺されたパレスチナ人の少年の父イスマイルさんや、心臓の移植を受けたイスラエルの少女サマハさん、そして、絵本を書いた僕を招待できるよう努力したいという。
仏教は、宗教というよりは哲学や生きるための倫理に近いので他宗教に対して寛容である。
仏教徒が間に入るのは、とてもいいことのように思う。
世界中で文化・宗教間対話が行なわれ、世界が平和になるといいと思う。
ピースボートはおもしろい出会いを作ってくれる。
僕も、おもしろい出会いだと思ったが、ドクター・スルタンももう一回夕食をとりたいと望んでいるようだ。
友だちになれるかもしれない。
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Interfaith Dialogue
Through the Aegean Sea, we have arrived in Pireus,Greece, after embarking from Port Said,Egypt. As I entered the Sea from desert country of Egypt, I can feel my skin is reviving.
I had a dinner with Doctor Sultan, the coordinator for 10 young participants from Saudi Arabia.
I gave him my book, “Ahamed-Gift of Life”.
Doctor said that he would like to bring the book to Vienna where they have the International Center for Interfaith and Intercultural Dialogue.
Doctor said that he would like to try his best effort to invite the people who appear in this book such as Ismail, the father of Palestinian boy who’s been shot by the Israeli army, and Samaha, the Israeli girl who received the heart from this Palestinian boy, Ahamed, and the author of the book, myself.
It is my true desire that the whole world will have this interfaith dialogue and bring peace. Buddhism is more like philosophy and the way of life than being a religion, and is tolerant toward other religions. Having Buddhist in between the religions maybe a good idea.
Peaceboat brings interesting encounters. We promised to have another dinner together again soon. Maybe we can become good friends.
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ヘファイストス神殿
今から2400年ほど前、この古代アゴラでソクラテスはたくさんの市民に向かって「生きるとは何か」「愛するとは何か」などと、なかなか答えが見つからない問題を問いかけていたのではないだろうか。
そのうちに市民がいろいろな事を考えることは為政者にとっては、邪魔になり処刑された。
命がけで考える人だったんだろう。
アゴラを歩いていると「考える」ということがどれほど大事なのか思い知らされる。
ホモサピエンスは、ある時から「死」という概念を感じ取ったり、「愛する」ということを知りはじめたり、「家族」などの抽象的思考をはじめた。
これが人間を人間たらしめる。
この時代頃からこのアテネでは、硬貨が使われはじめた。
お金は、バーチャルだ。
抽象的概念がなければお金は出現しない。
アテネを見下ろす丘
ホモサピエンスが脳を大きくしながら考えついた1つの形が、このギリシャで花を開き始めたことが分かった。
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アテネのパルテノン神殿は混んでいるのでパスした。
ソクラテスやアリストテレスが哲学をしたというアゴラの廃墟を歩いた。
歩き疲れて、プラカの町に出た。
喉が乾いて道に広がっているカフェに入った。
アコーディオンを持った女の子がすぐに寄って来た。
チップが欲しいんだと思った。
なんとなく聞いてあげたくなって、アコーディオンの演奏を聞いてあげた。
「何歳なの?」「9歳」「学校は?」「行ってない」
これ以上は悲しくて聞けなくなった。
児童労働なのだろうか。
旅芸人をしているロマ人なのだろうか?
イースターに入るので、学校に行っていないというのは、学校が単に休みということなのか、学校に行けていないかは、実際のところ分からない。
チップはあげたが、なんだか悲しくなった。
この旅の始まりは、ケニアのキベラスラムだった。
ここよりもっと貧しいが、それでも子どもたちには勉強をするチャンスが与えられていた。
教育はすべての子どもに与えられるべきチャンスで、僕自身、教育によるチャンスがなかったら、与えられた環境から脱出することは出来なかった。
すべての子どもに、教育が与えられる世界になってほしいと思う。
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エジプトの港ポートサイドから地中海に入り、エーゲ海へ。
砂漠の国エジプトから海に入っただけで、肌がじわっと回復してくるのが分かる。
ここからは、ピースボートでの旅である。
船の上は、哲学的な時間になる。
何もない海を見ていると自然と内省がはじまる。
エジプトのガイド、ハニーさんからいただいた分厚いコーランを読み始めた。
予想外にユダヤ教やキリスト教の事に触れているのに驚きである。
毎日、これから少しずつ読んでいこうと思っている。
夜になると、ウクライナ人のサーシャのピアノ。
彼は、ずーっとこの船に乗り続けている。
一年中この船で生活しているようだ。
ピアノのタッチは、優しくて軽やか。
洋上のピアニストとしては最適。
サーシャのピアノを聞いていると、再び内省の時間がはじまる。
海を見ても、コーランを読んでも、ピアノを聴いても、自分の中へ中へと思いが深まっていく。
至福の時。
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ルーシーは、320万年前のアファール猿人といわれている。
直立2足歩行をしているが、まだ腕が長く、足の親指は木の枝も使いやすいように、第2~5指とは少し離れている。
「君は、なんで立ったの?」と聞いてみたが、もちろん答えはない。
深い森が草原化したことが理由だという人もいるが、そんな単純な理由だけではないはずだ。
アディスアベバ国立博物館で、ルーシーのレプリカと
恋人ルーシー
エチオピアでは、アルディとよばれている、440万年前のラミダス猿人の骨も発見されている。
この頃にすでに、強い男は食べ物をたくさん採って、女性に貢いでいる、という「プレゼント仮説」がある。
猿人の時からもしかしたら、愛は始まっていたのかもしれない。
ここから象徴的思考が始まっていく。
350CCの脳が、食べ物を分け与えることで、愛を成立させ、我々の祖先から大きな犬歯がなくなっていく。
パートナーを得るには、犬歯よりもプレゼントが有効であった。
そして、数百年後には、言葉がパートナーを掴むために必要になってくる。
我々の体を構成している細胞の一個一個は利己的な遺伝子に支配されているが、単なる適者生存だけではないように思える。
人間だけの複雑な愛や共感や共存が、アルディやルーシーの時代から始まっていたのではないか。
最大の疑問は、やっぱり、なぜ我々は立ったのか。
ここから我々の歴史がはじまっているのは間違いようだ。
おそらく500万年くらい前に遺伝子の突然変異が起き、2本足で立ってみたら立てたのではないだろうか。
感動的だったと思う。
人類の苦しみも喜びも立つことから始まったように思えてならない。
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エチオピアの首都アディスアベバから50キロほど南下。
アワッシュ川の上流にある、小さな村メルカ・クンチュに行った。
このアワッシュ川流域は、タンザニア、ケニア、エチオピアにひろがる大地溝帯につながる。
80万年前のホモエレクトスや数万年前のホモサピエンスの骨が発見されているところだ。
アワッシュ川から50メートルくらい離れたところに、無数の旧石器時代の石器ハンドアックスが一カ所に集められているのが発見された。
一説によると、200万年前ぐらいの石器だという。
料理をした跡もあるが、料理だけではとても不必要なほどの石器がごろごろしている。
おそらく、獣をしとめるために投げた石器を集めていたのではないか。
さらに10メートルくらい離れた上流に、カバの骨が集中的に見つかっている。
しとめたカバを屠殺する場所だった可能性が高い。
この時期すでに我々の祖先は、石器を作る場所や屠殺する場所を持っていたようだ。
家を作っていたかどうかは分からないが、少なくとも数十人の集団の基地があったように思う。
厳しいアフリカの気候の中で、この大地溝帯の一帯は、生命に恵みを与え続けているように思う。
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南アフリカの端っこから旅は始まった。
大地溝帯を7万年前の我々の祖先、ホモサピエンスが歩いたように、彷徨い歩いた。
彼らが、吐き出した息を探しながらの旅だ。
空気を感じるための旅。
アフリカの大地を足で抱きしめながら歩いた。
砂漠の中でも、サバンナの中でも、人々の目は輝いていた。
輝きの中にアフリカの闇が見えてきた。
アフリカの闇の中で、死が見えてくる。
この大地溝帯でもたくさんの骨が見つかっている。
その骨は、いくつもの物語を語っている。
アフリカを旅することは、死をみつめることだ。
□
ケニアのキベラスラムにあるマゴソ・スクールの卒業生や関係者が来日し、各地でトーク&ライブを展開する。
日程は、以下の通り↓
http://www.maisha-raha.com/12ssTour.html
興味のある方は、ぜひ参加してください。
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ピラミッドに立つ荒地に無数の死を見た。
たえまなく死者たちの目がのぞいてくる。
ピラミッドをつくるために、たくさんの汗と血が流れた。
世界最大のクフ王のピラミッドの中に入った。
4750年前にこんなものをよく造ったものだ。
盗掘をする山賊との戦い。しかし、すべて山賊に負けた。
巨大なピラミッドの王の間は、主がなく空虚だった。
坑道を這い上がりながら、たくさんの死者の声を聞いた。
ピラミッドの頂点から古代エジプトの王たちは、天空に昇ることが出来たのだろうか。
バーチャルな古代都市エジプト。
ナイルの東側にメンフィスの都が広がり、西側には死者の町ギザが広がる。
ピラミッドは、4750年の時の流れのなかで少しずつ少しずつ崩れだしている。
スフィンクスが3大ピラミッドを守っている。
そのスフィンクスの鼻も少しずつ、少しずつ風化している。
死者の町ギザの砂が風に運ばれ、スフィンクスの鼻を削っていく。
4750年前のエジプシャンの声が聞こえたような気がした。
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ぼくが、名誉理事長をしている公益財団が、子どもの体内被爆を測定する機器の開発に成功した。
この財団は、無料で体内被爆の測定や甲状腺検診を行なっている。
19歳以上の人の検診も、無料にすることに決めた。
徹底した放射能の見える化が必要だと思い、ぼくも応援している。
近々、西田敏行さんと鎌田のテレビコマーシャルも福島県内で流れる予定だ。
今後も、検診や放射能測定を整備するなどして、子どもたちの健康を守る運動をしていきたいと思っている。
アラブ各国の大使夫人がバザーをして、この財団に寄付をしてくれることも決まった。
少しずつだが、理解が広がっている。
ぜひ、公益財団 震災復興支援放射能対策研究所を応援してください。
以下は、Youtubeの文章と動画像です。
http://www.youtube.com/watch?v=jejTa5ne2A0
(以下、youtubeから引用)
これまで難しかった赤ちゃん用の内部被ばくを測定する、ホールボディカウンターが2013年9月に導入されることになった。
東京大学の早野龍五教授は「県内で、今まで小さなお子さんを測れないと不安に思っていた方々には、朗報ではないかと思います」と語った。
赤ちゃん用のホールボディカウンタ、仮称「BABYSCAN」は、放射線測定器メーカーのキャンベラジャパンと東京大学の早野教授などが共同で開発している。
これまでのホールボディカウンタは検出下限値が200ベクレル(Bq)だったため、体重が4kg未満の赤ちゃんの内部被ばくの測定は難しいとされていた。
しかし、検出下限値が50ベクレルの「BABYSCAN」なら、より正確な測定が可能になるという。
「BABYSCAN」の1号機は、2013年9月をめどに、平田村にある「ひらた中央病院」に導入される。
↓こちらは、福島民報の新聞記事です。
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ダフシュールという町に、ギザの3大ピラミッドよりも古いピラミッドがある。
クフ王の父にあたるスネフェル王のピラミッドだ。
屈折ピラミッドは、直線的に積み上げた石が崩れそうになり、傾斜がゆるい。
その後にできた赤のピラミッドは、かなり精巧にできている。
なぜ、これほどまでに大きくて高いものにこだわったのだろう。
古代都市は、リアルな威圧感とバーチャルな空想をかき立てるように仕組まれている。
ピラミッドの一個一個の巨大な石を見れば、これを積み上げさせた権力の凄さに驚く。
ナイル川東岸の生者の町から見れば、砂漠の中にある死者の町に異様な三角形の物体ができあがっていく。
それは、古代の人たちにとって、天までそびえるように見えたのではないか。
揺さぶられた人々の心の中から宗教や政治が生まれて来る。
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サッカーラにあるジョセル王のピラミッドを見た。
今から4600年程前に造られた、世界最古のピラミッドといわれている。
大きなお墓「マスタバ墳」というのが下にあり、王の権威を示すために上部を高く積み上げた。
イムホテプという宰相がいた。
天才的な建築家で、科学的な思想も持ち合わせていたようだ。
サッカーラの階段式ピラミッドができた後の百数十年後、世界最大のクフ王のピラミッドができる。
なんといっても初めにやった人の天才的なひらめきが輝いている。
ピラミッドの裏側にまわると、倒れかかったような、分厚い石の板があり、小さな穴が二つ開いている。
その穴を覗くと、ジョゼル王の座像が見えた。
死後、ジョゼル王がこの穴から北斗七星を見るように設計されているという。
天界でも自らが主役になることをイメージしていたのではないだろうか。
この時代にすでに、天文学が始まっていた。
サッカーラのピラミッドは、泥臭いけど魅力的だ。
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エジプト料理はおいしい。
特に心を奪われたのは、モロヘイヤスープ。
日本でも、健康づくり運動でモロヘイヤが良いと言ってきたが、日本で食べるモロヘイヤとは桁違いにうまい。
牛かチキンのスープに、ニンニクとほんのちょっとのトマト、塩、そしてたっぷりモロヘイヤが入っている。
レンズ豆のスープ(左)と、コフタというラクダの肉のミンチ
気に入ってるのは、ごまのペースト、タヒーナといわれている。
スパイスをかけて食べることが多い。
パンにつけると、くせになる。
タジン料理は、チキンや牛、魚や野菜がそれぞれ煮込まれている。
日本の煮込み料理に近いのだが、複雑なスパイスが入っていてどれも少しずつ味が違い、魚などとても魅力的な味になっている。
焼きなす(左)と、カブとニンジンのピクルス
エジプト料理は野菜たっぷりでヘルシーだ。
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僕らホモサピエンスは言葉を生み出した。
トゥルカナ湖のトゥルカナ・ボーイは、多くの人骨のパーツが発見されている。
その舌骨や胸郭から想像すると、言葉を発声する力は弱かったとみられている。
少なくとも160万年前までは、言語の発生は難しかったと考えられる。
それから少し経って、我々の祖先は、山を下ってはじめて川を見たり、湖を見たりしたとき、感動表現をしたのではないだろうか。
無意識に肺から出た空気が声帯を振るわせ音を出した。
やむにやまれぬ感動が言葉を生み出したのではないだろうか。
言葉は、音声として発達し、複雑化していく。
メソポタミアや北アフリカで、文字が生まれる。
遺跡の壁面にたくさんの言葉が残されている。
ヒエログリフという象形文字は、多くが表音文字で、今のアルファベットのような役をしている。
王の名前は、カルトゥーシュとよばれている楕円形の枠の中の象形文字で示される。
ラムセス2世が何をしてきたか、克明に記録されている。
王家の谷の墓にも、それぞれの王がどんな政治をしたり、どんな戦いをしてきたかが書かれてきた。
カルナック神殿の中にあるハトシェプスト女王のオベリスクに刻まれた象形文字
僕の知りたいのは、もっと庶民の心の動き、それが知りたいと思った。
王家の谷からは、王の為の言葉の向こう側に、この谷を掘り続けた庶民の苦しみが見えてくるだけであった。
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