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2013年5月 8日 (水)

恋人ルーシーに会った

ルーシーは、320万年前のアファール猿人といわれている。
直立2足歩行をしているが、まだ腕が長く、足の親指は木の枝も使いやすいように、第2~5指とは少し離れている。
「君は、なんで立ったの?」と聞いてみたが、もちろん答えはない。
深い森が草原化したことが理由だという人もいるが、そんな単純な理由だけではないはずだ。

Photo_6 アディスアベバ国立博物館で、ルーシーのレプリカと

Photo_7 恋人ルーシー

エチオピアでは、アルディとよばれている、440万年前のラミダス猿人の骨も発見されている。
この頃にすでに、強い男は食べ物をたくさん採って、女性に貢いでいる、という「プレゼント仮説」がある。
猿人の時からもしかしたら、愛は始まっていたのかもしれない。
ここから象徴的思考が始まっていく。
350CCの脳が、食べ物を分け与えることで、愛を成立させ、我々の祖先から大きな犬歯がなくなっていく。
パートナーを得るには、犬歯よりもプレゼントが有効であった。
そして、数百年後には、言葉がパートナーを掴むために必要になってくる。

Photo_8 ラミダス猿人のアルディと

我々の体を構成している細胞の一個一個は利己的な遺伝子に支配されているが、単なる適者生存だけではないように思える。
人間だけの複雑な愛や共感や共存が、アルディやルーシーの時代から始まっていたのではないか。

最大の疑問は、やっぱり、なぜ我々は立ったのか。
ここから我々の歴史がはじまっているのは間違いようだ。
おそらく500万年くらい前に遺伝子の突然変異が起き、2本足で立ってみたら立てたのではないだろうか。
感動的だったと思う。
人類の苦しみも喜びも立つことから始まったように思えてならない。

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