鎌田劇場へようこそ!(152)
「ハンナ・アーレント」
1960年代初頭、ナチス戦犯アイヒマンの裁判レポートをした哲学者ハンナ・アーレントの実話である。
アーレントは、どのような人間がこの途方もない犯罪を担ったのかを知ろうとして、裁判を傍聴した。
人間の根源的な悪を追究しようとしたのだ。
そして、多数のユダヤ人を殺し、悪の権化のように言われていたアイヒマンを、凡庸な悪、陳腐な悪と論評した。
アイヒマンはいかにも、ジェントルマン風だが、決まりも文句を繰り返すだけで、適切な思考力や判断力があると思えなかった。
自分がやった仕事がどのような結果をもたらすか、考えなかったし、考えられなかったのではないか。
上官の命令どおり、機械的に行う役人的な人間。
盲目的に服従し、考えることを放棄した人間。
彼女は、アイヒマンをそう分析し、悪の凡庸さと表現した。
この論評は当時、世間で受け入れられず、批判された。
アーレントは友人を失い、大学もやめざるを得なくなる。
しかし、彼女の学生に向けた8分間のスピーチはすばらしかった。
「生きるということは、考えることだ」
ハイデッガーとアーレントの隠れた恋も映画では描かれているのもおもしろい。
前回紹介した「もうひとりの息子」と、この映画はオススメ。
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