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2013年9月

2013年9月30日 (月)

お知らせ

10月1日から3日間、NHK・Eテレの「ハートネットTV」に、鎌田がコメンテーターとして出演。
新しい介護のあり方を、紹介します。

「ワザあり“介護” 旅・食・アートの力」

10/1 旅の力
10/2 食の力
10/3 アートの力

放送時間 午後8時から30分間。
再放送  8、9、10日の午後1時05分~。

http://www.nhk.or.jp/hearttv-blog/2200/

旅や食、アートという刺激が、介護される人を変える。
その姿は、楽しく、感動的です。

ぜひ、ご覧ください。

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2013年9月29日 (日)

朝のコーヒー

ガラパゴスのコーヒーは、お気に入りの一つ。
朝起きると、豆を引いて、丁寧に淹れ、岩次郎さんと半分ずつ分け合って飲む。

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音楽は、マイルス・デイビス。
激しく、むせび泣くようなジャズを聞きながら、信州の早い秋を感じている。

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2013年9月28日 (土)

住民参加のほろ酔いカフェ

ほろ酔いカフェの第1回が先日、開かれ、あふれるほどの人が集まった。
あたたかな地域の人たちだ。

健康な町にするにはどうしたらいいか、みんなで知恵を出し合った。
「子どもを大事にする町」
「1人暮らしの人を孤独にさせない町」
「車中心ではなく、歩くのを中心にした道路をつくったほしい」
など、面白い提案がされた。
茅野には日帰り温泉がいくつもある。
料金を、400円から100円にすると利用者が増え、たくさんの人が健康になるのではないか、という意見もあった。

13091915__

政府はおそらくTPPを妥結するだろう。
そうすると、生きがいや収入源、健康という多方面から高齢者を支えてきた長野県の小さな農業が少なからず影響を受ける。
農業に対して、バラまきが行われるだろうが、へんなハコモノや不要なコンクリートができるのではなく、
「歩く人のための道路」やコミュニティを支える「日帰り温泉の利用料の補助」など、農業が支えてきた健康な暮らしを守るような方向に進めばいいという意見が出された。
農村地帯にある諏訪中央病院にも、健康カフェみたいなものをつくってはどうか、という提案も。
展望食堂は景色がよくて、おいしいと評判だが、いくつかのテーブルは減塩食の定食などを出してはどうか、という面白い声も上がった。

13091916__ 健康な町にするために、地域住民が議論し、提案したほろ酔いカフェ

諏訪中央病院はこのところ元気がいい。経営も改善している。
産婦人科はユニセフの「赤ちゃんにやさしい病院」の認定を受けた。
循環器や消化器などにはベテランの医師が集まっている。
眼科の手術も再開されるようになった。
呼吸器も今年度末には、再開のメドが立った。
おおむね、この規模の病院で必要なかがそろってきた。

さらにこれまで以上に地域の人たちを巻き込んで、地域みんなで健康な町をつくろうという機運が高まっている。

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2013年9月27日 (金)

お知らせ

PHPスペシャル11月増刊号で、吉行和子さんと鎌田が対談。
吉行さんの健康法と鎌田の健康法のいい点を合わせて紹介している。

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このスペシャル号は、通常の号より大判で、文字も大きく読みやすい。
ここ数年で人気が高かったインタビューやエッセイを「いつまでも輝いて生きる人の秘訣」と題して掲載した完全保存版。
ぜひ、お読みください。

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2013年9月26日 (木)

複雑化するシリア情勢

シリア情勢が混沌としている。
シリア難民は200万人を超えた。
毎日約5000人が国外に逃れている。
北イラクにも難民が入ってきている。
JIM-NETの事務所があるアルビルの郊外にも難民キャンプができ、4つの難民キャンプに毎日1000人ちかい難民が流れてきている。
その4分の3は女性や子どもだ。

JIM-NETでは、妊産婦のサポートを行ってきた。
イラクの病院と協定を結び、難民が治療を受けたときの費用を払う約束をしている。
子どもや妊産婦を何とか守りたい。

アメリカのシリア空爆の危機はいったん回避されたが、シリア情勢は複雑になっている。
12年前の9月11日、悲劇が起こったニューヨークで、シリア武力介入に反対するデモが行われた。
その様子を、アメリカに住むテムラク歩美さんが報告してくれた。

テムラク歩美さんは、大統領官邸や下院議員に電話やメールをして、シリア攻撃反対のメッセージを出し続けている。
「シリア情勢、そして中東に本当の暴力のない日常が戻るには、利権を持つ、利権を狙う、近隣諸国、国際企業がまさに、Hand off(手を離せ)する必要がある」ともいう。

すべての戦争には、いいことがない。
武力介入ではない方法で、シリア国民の命を守る方法を探すべきだ。

・・・以下は、テムラク歩美さんの報告です・・・

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Peace Action Report 9/11/2013

ケリー国務長官が舌を滑らして、ニューヨーカー誌でも「Accidental Hero(予期せずしてヒーローになってしまった)ヒーロー」となり、一旦武力介入はお預けとなっている911事件から12年の今日ですが、アメリカの市民団体は「これはウォール街らの戦争屋が仕切り直しをしているだけなので、予断は許さない」と警告しています。

2年半も前から多くの犠牲者と難民を出しているシリアの内戦ですが、ここにきて急に「化学兵器の使用を罰する」という名目でオバマ大統領自ら「軍事介入」を表明したので、アメリカ市民は驚きました。

沢山の平和団体、人権団体から「シリアへの停戦に向けて軍事介入ではなく、外交努力をするべきだ。」というアクションアラートが送られてきました。大統領宛ての署名、自分の選挙区の両議院へのメール、ホワイトハウスのホームページへの書き込み、両議院への電話作戦を求めるメールが受信箱に洪水のように押し寄せました。

そして市民は応えました。議員の地元事務所に直接陳情に行き、電話回線やメールの容量を超えるくらいに働きかけたのです。議員はやはり次の選挙をにらみ地元有権者の声を気にかけます。日本でも市民一人一人がその力に気づいて直接行動に出るようになってほしいものです。

さて、下院議員が召集される前の週末、9月7日にアメリカの主要都市で「Hand Off Syria」(シリアに手をだすな)デモが開催されました。主催者(International Action Center, World Can't Wait, Syrian American Forum and United National Antiwar Coalition発表によると数万人がデモに参加したそうです。

私はニューヨークで開催されたデモに参加しました。主催者発表ですと約3000人が歩いたそうです。46丁目からブロードウェイの目ぬき通りを通ってユニオンスクエアまで歩くルートです。IAC主催の集会は、さすがIAC!平和のための退役軍人、緑の党から低所得地区でコミュニティー環境向上のために働く活動家、フィリピン人の連合、シリアアメリカ人の連合まで様々なスピーカーが、「これは軍産複合体、ウォール街が引き起こす戦争だ。戦争よりも、教育、医療、福祉にお金を!」と叫んでいました。

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シリア人女性は「これは私の父と叔父の写真です。彼らは家にいたところを射殺されました。これが現実です。内戦が引き起こされています。」と涙ながらに軍事介入阻止を訴えていました。

太陽は眩しいですが、既に涼しい秋の風のマンハッタンは夏を惜しみ屋外のカフェなどでくつろぐニューヨーカー、観光客も飛び入り参加。一緒に「Hand Off Syria!」と声を上げていました。

小さな子ども連れの夫婦から杖をついて歩くおばあちゃんまで(Granny For Peace平和のためのおばあちゃん)歩きます。おばあちゃんのかぶっている帽子にはたくさんの缶バッジが。。。きっとベトナム戦争時代から反戦運動をされている方です。ありがたし。

Photo

私はサブリーンのキルトに真紀さんの作成したMarwaちゃんの「私をころさないで」の絵をプリントアウトし持って歩きました。たくさんの参加者がこのキルトと絵を褒めてくださり、写真を撮っていきました。

International Action Centerのウェッブからも写真が見れます。

http://www.iacenter.org/actions/syria090813/

 

翌日の9日にはMoveOnなどのProgressive(進歩主義者)の団体が呼び掛けたアメリカ全土での平和を祈るキャンドルライトヴィジルに地元ニュージャージー、キャルドウェルで参加しました。約20人の教会の牧師さんも含める地元の方たちがキャンドルを持ってシリア情勢の平和解決を祈ります。
ベトナム戦争から活動している、という年配の女性は「
We Shall Overcome!」を歌おうと提案し、一人の女性が自分のI-phoneでジョーン・バエスの「We Shall Overcome!」を流し、それに合わせて私たちは歌いました。(We Shall Overcomeはもともと黒人霊歌で、公民権運動で歌われ、それから平和運動があるたび歌われています。)
 
後でそのI-phoneでジョーン・バエスを検索した女性はダマスカス出身のシリア人ということを話しました。彼女は「現大統領のアサドは歯科医でもともと大統領を継ぐために育てられた人物ではないの。父の死後、後継者の兄の“事故死”によって急遽大統領になった人物。内戦は外国から流れ込む傭兵、テロリストによって行われているわ。使われたという化学兵器もサウジアラビアによって反政府軍に供給されたもの。」と話していました。
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11日は、今日以降、「人類が武力を使わずに紛争を解決した日」として記憶されることを祈ります。

 

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2013年9月25日 (水)

お知らせ

9/26、「ニュースの深層」(CS朝日、夜8時~)に出演。
元気のうちに遺言を書こう」をテーマに、ファイナンシャルプランナーの灰谷健司さんと鎌田が、最後のあり方やお葬式、相続について話します。

9/27、「大竹まこと ゴールデンラジオ」(文化放送)に午後2時25分から出演します。

ぜひ、ご視聴ください。

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秋刀魚

宮城県気仙沼の方からたくさんの秋刀魚をいただいた。
ほんのちょっとお手伝いをしただけだが、それを忘れずにいてくださる。
ありがたいことだ。

1dsc00048 気仙沼から届いたサンマ、さっそく塩焼きに

今年は秋刀魚が高いという。
おいしい秋刀魚、ありがたくいただいた。

これからも東北支援を続けていこうと思う。

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2013年9月24日 (火)

棚上げという方法

軍事ジャーナリストの田岡俊次さんは、中国が尖閣諸島の領有権を主張しながらも棚上げでいいというのは日本の実効支配を認めるに等しい、と言う。
そういう読み方もあるのかと思った。

1309193__ 空気がすがすがしい秋の空

同時に、財政が逼迫するアメリカは、日本に集団的自衛権を認めさせようと思っていない。
中国や韓国と小地域であれ戦闘になることは望まず、日本が中国や韓国などアジアの国々とうまくやってくれることを望んでいる。
日本に集団的自衛権を認めると、アジア全体の空気が乱れる、と指摘する。
なるほどなと思った。

田岡さんが言うように、棚上げという形で実効支配を続け、そのまま実効支配を明確にしていくという方針もある。
棚上げという玉虫色的な方法も、一つの解決法だと思う。

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2013年9月23日 (月)

鎌田劇場へようこそ!(152)

「ハンナ・アーレント」

1960年代初頭、ナチス戦犯アイヒマンの裁判レポートをした哲学者ハンナ・アーレントの実話である。
アーレントは、どのような人間がこの途方もない犯罪を担ったのかを知ろうとして、裁判を傍聴した。
人間の根源的な悪を追究しようとしたのだ。
そして、多数のユダヤ人を殺し、悪の権化のように言われていたアイヒマンを、凡庸な悪、陳腐な悪と論評した。

Photo

アイヒマンはいかにも、ジェントルマン風だが、決まりも文句を繰り返すだけで、適切な思考力や判断力があると思えなかった。
自分がやった仕事がどのような結果をもたらすか、考えなかったし、考えられなかったのではないか。
上官の命令どおり、機械的に行う役人的な人間。
盲目的に服従し、考えることを放棄した人間。
彼女は、アイヒマンをそう分析し、悪の凡庸さと表現した。

この論評は当時、世間で受け入れられず、批判された。
アーレントは友人を失い、大学もやめざるを得なくなる。
しかし、彼女の学生に向けた8分間のスピーチはすばらしかった。
「生きるということは、考えることだ」

ハイデッガーとアーレントの隠れた恋も映画では描かれているのもおもしろい。
前回紹介した「もうひとりの息子」と、この映画はオススメ。

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2013年9月22日 (日)

緩和ケア病棟でお月見会

浜口院長や若いドクターたちがやってきて、患者さんたちとお月見会をした。
月見団子を並べ、ボランティアが作ってくれた栗きんとんや牛乳寒天をいただきながら、楽しい会になった。

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お知らせ

9月23日(月)から5日間、「高嶋ひでたけのあさラジ!」(朝5時~、ニッポン放送)に出演します。
鎌田の出演は、朝5時50分からの「ラジオ人間ドック」のコーナー。
初日のテーマは「正解ではない、別解力とは?」
ぜひ、早起きしてお聴きください。

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2013年9月21日 (土)

お知らせ

ぼくはカレー大好き。
ぼくが死んだときには、蓼科のナマステのマスターに来てもらい、参列者にふるまってもらおうと思っている。

1309053__ 鎌田家の野菜たっぷりのスープカレー

9月22日、「菅原文太 日本人の底力」(朝5.30~、ニッポン放送)に出演する。
文太さんとカレー談義になった。
以前、ナマステにお連れしたら、クセになったということで、また行きたいということになった。
カレーの話は、放送では切られてしまうかもしれないが、ぜひ、聞いてください。

同日「日曜はがんばらない」(朝10.0~、文化放送)は、鎌田の新刊「○に近い△を生きる」にちなみ、正論や正解ではない、多様な別解について話す。

ぜひ、日曜の朝、ラジオの前でお会いしましょう。

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2013年9月20日 (金)

オスロ合意から20年

イスラエルとパレスチナの2国家共存による和平の道のりを進めるはずのオスロ合意。
しかし、この20年間でテロは570件。
イスラエルは相変わらず、パレスチナ自治区に入植し、分離壁を築いている。

イスラエルの平和活動家ロビ・レムリンは兵役中だった二男を、パレスチナ人の狙撃手に殺された。
逮捕された犯人に、「殺人よりも、イスラエル人とパレスチナ人が協力するほうが価値がある」と手紙で語りかけた。

パレスチナ人の医師は、イスラエルの空爆により、ガザで3人の娘を殺された。
にもかかわず、憎まないと言っている。
来年2月には「それでも私は憎まない」という本が出版される。

1img_9421 秋晴れの八ヶ岳

イスラエルにもパレスチナにも、憎しみを横に置いて、平和を求める人たちがいることは間違いない。
ロビさんは、イスラエルはパレスチナ人が国を持たないかぎり、決して自由にならないと述べている。
イスラエルが自由になるために、パレスチナの自由を認めることが大切なのだ。
もう一度、オスロ合意の原点に立って、この紛争を早く終結させる必要がある。

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2013年9月19日 (木)

新刊、好評です

昨日発売した新刊『○に近い△を生きる 「正論」や「正解」にだまされるな』(ポプラ新書)が、早くもご好評いただいているようだ。
紀伊國屋書店の売れ行きを示すパブラインでは、新書部門で第5位。
これを受け、重版が決まり、合計5万部を出すことになった。

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明日からいろんなメディアで広告宣伝が展開されるが、ご興味のある方はぜひ、お読みください。

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暴力の根絶を

天理大柔道部で暴力が日常化していることが明らかになった。
世界柔道選手権男子73キロ級で優勝した大野将平選手も関与していたことがわかり、大きな波紋を呼んでいる。

大野選手は以前、大学の調査で、現場にはいたが止められなかった、ふがいなく申し訳ない、と述べている。
ウソはまずい。
スポーツマンシップに反する。
悪いことをするとその後、次々に悪いことの連鎖が起きてくる。
だから、悪いことをしたと気が付いたときには、過ちを認め、謝る必要がある。

1dsc00084 グリーンカーテンのゴーヤとフウセンカズラ

大学側も、適当なところでお茶を濁そうとするからいけない。
徹底的に膿を出さないとダメ。
これだけ、この一年、スポーツと暴力の問題について語られているにもかかわらず、大学側はニュースを見ないのだろうか。
ここにも大きな問題がある。

世界的な選手になる人は、ほんの一握りだ。
それ以外の人たちは、スポーツを通して、体力を鍛え、チームワークやルールを守る精神を学び、弱い人を守るという本当の強さを学ぶ場であるはず。
そこに暴力があっていいはずかない。
非暴力トレーナーを要請し、日本のスポーツ界に非暴力トレーニングという技術を広めてほしい。
そのほうが強く、感性豊かな選手を育てていくことができると思う。

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2013年9月18日 (水)

村上さんが・・・

ブログで、新刊「○に近い△を生きる」(ポプラ新書)のことを書いてくれました。

http://ameblo.jp/nobu630/entry-11615311395.html

ことばの種まきおじさんこと、村上信夫さんのブログ、おもしろいです。

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がんばらない経済学25

保育園などの待機児は約2万2070人。
経済的に共働きをせざるを得ない、子育て世帯にとって、深刻な問題だ。
若者たちが結婚して子どもをつくりやすい、そして子どもを育てやすい環境に、一刻も早くすべきである。

2dsc00085 今年の夏、緑と白のゴーヤがグリーンカーテンとして大活躍

安倍首相は消費税を上げる決意をしたようであるが、消費税を上げるならば、社会保障の一体改革という約束を守るべきだ。
まず、この1、2年で、待機児童ゼロをテコ入れして達成すべき。
国土強靭化対策の200兆円や、オリンピックのためのにジャブジャブとお金をつぎ込むだけでなく、
子どもや母親を守る施策をカタチにすべきである。
そうしないで、ただ消費税だけ上げるのは犯罪的だ。

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2013年9月17日 (火)

新刊のお知らせ

明日18日、鎌田實の新刊「○に近い△を生きる 「正論」や「正解」にだまされるな」(ポプラ新書)が発売される。
ポプラ社が新書を創刊することになり、社長から何度も説得され、書下ろしで書いた。

混沌とした厳しい時代のなかで、常識や昔流の正論にこだわっていては、生きていくのは難しい。
多くは、○と×の両極端に分かれ、ヒステリックに言い合って、意見がまとまらない。
エネルギー問題もしかり、TPPもしかり。
○か×かという両極端な選択肢ではなく、その中間にある多様な答えをみんなで考えていくのが、民主主義だと思う。

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まあまあこれでいいだろうという、お互いが妥協できる△を探すことが大事。
ぼくはいつもとんがった△になろうとしてきた。
みんなとは違う、○でも×でもない、とんがった△。
これがぼくの生き方。

医療も、脳卒中になったとき、病院で治そうという一つの「正解」に対して、
地域で健康づくり運動をして病気の予防する「別解」を実践してきた。
勉強の仕方も、仕事の仕方も、別解力が問われているように思う。
○ではない△、ときには×でなければいいやと考えて△を探すと、面白い生き方が見えてくる。
ぜひ、お読みください。

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2013年9月16日 (月)

鎌田劇場へようこそ!(151)

「もうひとりの息子」

2012年東京国際映画祭グランプリ。
イスラエルとパレスチナの間で、新生児の取り違え事故が起きた。

民族とは、宗教とは、家族とは何かを考えさらせる。
子どもの取り違えに気づかなければ、アラブ人夫婦の子どもがユダヤ人として育ったかもしれない。

ゆれ動く両親と18歳の2人の若者。
兄弟間でも亀裂が生じる。

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分離壁がいろんな場面で出てくる。
アラブ人の自治を認めていているヨルダン川西岸地域にも、イスラエル人はどんどん入植して分離壁を築き、そのなかにイスラエル人の高級住宅を作っている。

だが、ユダヤ人もアラブ人も、見分けがつかない。
ユダヤ人のラビという宗教指導者は特徴的なひげをはやしているのでなんとなくわかるが、一般の人はほとんどわからない。
結局、ユダヤ人とアラブ人の違いは、言語や宗教、文化という後から分かれたものの違いにすぎない。
その違いを許し合うことができすが、戦争が今も続いている。

Original

2つの家族は理解し合おうとする。
18歳の2人の青年も、もう一つのありえたかもしれない人生を想像しながら、自分の人生を精一杯生きている。
自分のなかで、2つの世界を行ったり来たりしながら生きている。
こういう人たちが、この紛争の地を変えてくれるのではないか、と思わせてくれる。

映画としてすぱらしい。
映像も美しい。
どちらの民族にも肩入れしない視点がいい。

監督は、ロレーヌ・レヴィという女性。
むずかしいテーマを、クオリティーの高い映画に仕上げた。
感動的だ。

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2013年9月15日 (日)

お知らせ

諏訪中央病院の「ほろ酔いカフェ」で、鎌田實が講演します。

テーマ「健康で長生きのために 私たちができこと」
9月18日午後2時~
諏訪中央病院 研修センター(3階) 
入場無料

「ほろ酔いカフェ」では、基調講演の後、お茶を飲みながら参加者全員で話し合います。
これまで「ほろ酔い勉強会」として、病院内外の医師らが病気や健康の話をわかりやすく講義してきましたが、
長野県が長寿日本一になり、その歩みをさらに進めていこうということで、新しい形式になりました。
楽しく、ためになる時間になると思います。

ぜひ、ご来場ください。

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2013年9月14日 (土)

原発事故548

ある日の早朝の東京湾。
雲がたちこめ、豪雨を降らせている。
竜巻が発生した地域もあった。
日本は、自然災害も多い。

1309054__ 朝から黒い雲がたちこめ、雨粒が高層のホテルの窓にたたきつけられている

地震、津波、豪雨、豪雪、台風、竜巻、山崩れ。
この災害の多い国に、原発があっていいのかと思う。

汚染水が問題になっている。
世界につながっている海を、汚染水で汚すことは許されない。

福島第一原発の汚染水のタンクの一帯で毎時2200ミリシーベルトの放射線量を測定した。
尋常ではない数値だ。
ここで働いている人たちの健康が心配である。
政府も、東電も、汚染水をコントロールしているとは思えない。
これからもできると安倍首相は豪語したが、その言葉はむなしい。

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2013年9月13日 (金)

秋の味覚

今年初めてのジゴボウ。
きのこ採り名人の方からいただいた。

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今年は雨が多いので、きのこも多いといいな。

ジゴボウは長野県の人たちにとって、なじみのきのこ。
みそ汁に入れると、とてもおいしい。

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2013年9月12日 (木)

お知らせ

第3回東日本大震災復興支援チャリティーアートカバンオークションが今年も行われます。

京都の[一澤信三郎帆布]のカバンをキャンバスに描いた、世界にひとつだけのカバンのオークション。売上金の全額は被災地の遺児・孤児に奨学金として寄付されます。

友人の原田泰治さんや永六輔さんも参加しています。

昨年は、ぼくと泰治さんと二人で、1つのカバンの表裏をデザインしましたが、今年は別々に参加です。

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鎌田は、風・花・夢・空・絆という字をデザイン化し、裏には、「夢や自由が入る不思議なカバン」という詩を書きました。

現実の世界から震災のことがすこし離れ始めているような気がします。
ときどきでいいから、東北のことを思い出すことが大事だと思っています。

世界にひとつだけの、ちょっとしゃれたカバンで、東北を応援するというのはいかがでしょう。

○京都高島屋プレビュー
2013年9月11日(水)-16日(月・祝)

○東京日本橋高島屋プレビュー
2013年9月18日(水)-22日(日)

○公開オークション
2013年9月23日(月・祝)16:00-
会場:日本橋高島屋8階ホール


○参加クリエイター(五十音順 敬称略)
安藤忠雄、永六輔、鎌田實、北見けんいち、木村英輝、グルーヴィジョンズ、小山薫堂、さいとう・たかを、ちばてつや、辻村史朗、椿昇、中原淳一、畠中光享、服部滋樹、原田泰治、藤本ひづる、細川護熙、松井利夫、MAYA MAXX、宮島達男、ヤノベケンジほか

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原発事故547

2020年のオリンピック開催地が東京に決まった。
ブエノスアイレスでのIOC総会で、原発の安全性や汚染水漏れ問題についての質問に、安倍首相はこう答えた。

「結論から言うとまったく問題ない。汚染水による影響は完全にブロックされている。
健康問題については、今までも現在も将来もまったく問題ない。
完全に問題にないものにするため抜本解決するプログラムを私は責任をもって決定し、すでに着手している」
と胸を張った。

1309091__ 曇天の朝。都心のホテルから

本当だろうか。
やるべきことをやっているとはとても思えない。
汚染水は深刻な問題だ。
海は、限られた範囲だけ汚れるということは考えにくい。
汚染は広がり、汚染された状態は長く続く。

健康問題についても、まだまだすべきことはある。
特に福島の子どもの健康を守るために十二分に対策が講じられているとは思えない。

廃炉についても、本当に30年という単位でできるのかどうかも、かなり疑わしい。

啖呵を切った以上、安倍首相には責任をもって、放射能の見える化や健康診断の推進など、最低限すべきことをまずカタチを見せてほしい。
福島に残った人にも、県外に出た人にも、納得する答えを見せなければ、言葉だけになってしまう。

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2013年9月11日 (水)

イラクの姉妹が見た日本

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20歳のスハッドさんと、17歳のハディールさん。
イラクの戦争で傷つきながら、必死に生きてきた。
戦争が始まってからのこの10年、子どもや若者たちの暮らしがどんなにつらいものだったかを語った。
戦争はどんな理由があっても、許されない。

姉妹は、猛暑の続く先月下旬、来日。
各地でコンサートを行った。
オーボエはぼくがプレゼントしたもの、バイオリンも日本人から寄付してもらったものだ。
演奏以上に、彼女たちとの交流はたくさんの人に感動を与えた。

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松本では大歓迎を受けた。
東京や大阪ではコンサートを行い、福島、宮城で子どもたちと交流した。

砂漠の国から来た2人は、雨に大喜び。
漁師さんの船に乗せてもらい、海も楽しんだ。
つらい経験をしてきた彼女たちの目には、日本はどんな国に映っただろうか。

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JIM-NETでは絆ぐるぐるプロジェクトを行ってきた。
東北の支援物資をシリア難民に届けたり、イラクから来た若者を東北の人たちが歓迎してくれたり。
本当に、絆がぐるぐるまわっている。

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2013年9月10日 (火)

中村哲さんの別解

先月、菅原文太さんの司会で、中村哲さんと鎌田の対談があった。

中村さんは戦乱のアフガニスタンの砂漠で、用水路建設に取り組んできた医師。
25.5の水路をつくり、砂漠を緑に変えた力はすごい。

Photo  中村哲さんと鎌田實

医者が井戸を掘る。これは、別解だ。
ぼくたちは聴診器や薬で医療をするように教育されてきたが、それだけではどうすることもできない。
仕事があり、生活が成り立てば、戦争やテロを失くせる。
病気を治す薬より食事が大事、食事ができるように働く場が大事だと中村さんは考えた。

ぼくは「丸に近い三角を生きる」という本を書き、もうすぐ発売するが、正解や正論にしばられず、別解を選んだ中村さんからは学ぶものが多い。

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2013年9月 9日 (月)

八ヶ岳山麓映像日記をご覧ください

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八ヶ岳山麓映像日記では、縄文の森を紹介している。
日本最古の国宝、縄文のヴィーナスはここから1キロほどのところで発見された。
この一帯は当時、日本全体で最も人口密度の高かったといわれている。

雑木林のこの森からは、栗やどんぐりが採れた。
この下の集落は湖東(こひがし)というが、当時、諏訪湖はもっと大きかった。
湖があり、森の恵みがあり、イノシシなどの獣をとる生活があったとさている。

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尖石というこの森は、やじりなどをつくる工場があったのではないかと言われている。
やじりをつくる尖った石が見つかっている。

ぼくの大好きな森。
ぜひ、動画を見て、雰囲気を味わってください。

左横の画面をクリックすると見られます。

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2013年9月 8日 (日)

明日から東北応援ツアー

 
明日9日から、「ドリームフェスティバルin会津」。
330人とともに、東北応援ツアーに行く。
18回目の今回は希望者がたいへん多く、はじめてキャンセル待ちがでた。

「もう年だから」「障害があるから」と旅をあきらめていた人たちに、一緒に旅をしようと呼びかけてきたドリームフェス。
9年続けてきたが、みんな旅に積極的で、意識が変わりはじめているような気がしている。
長く続けなければ、変わらないことを学んだ。

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2013年9月 7日 (土)

飛騨高山の甚六さんという郷土料理店のおやじさんが鮎を送ってくれた。
炭火で焼いて、抜群においしい。

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飛騨高山に行くことがあったら、ぜひ食べてみてください。
ここのアユほどおいしいものは、なかなかないと思う。

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2013年9月 6日 (金)

「鎌田式健康ごはん」好評です

毎日新聞の「ちょっと気になる健康本ランキング」で
「鎌田式健康ごはん」(マガジンハウス)が2位!

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「体脂肪計タニタの社員食堂」
「からだの中から若返るグリーンスムージー健康法」
を抜いての堂々2位(笑)

1位は「国循の美味しいかるしおレシピ」。

簡単でおいしく、健康にいい「鎌田式健康ごはん」、
ぜひ、お読みください。

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2013年9月 5日 (木)

がんばらない経済学24

TPPの二国間協議が行われているが、アメリカの一方的な要求を呑むべきではない。
自動車の関税について、アメリカは自国の自動車産業を守るために今まで通りの関税を要求している。
これではTPPに入る意味がない。
そのうえ、アメリカの保険会社アフラックが日本郵政の郵便局でがん保険を売り出す。
アフラックの利益は膨大なものになるだろう。
本来、これは日本郵政と日本の保険会社が画策していたことである。
アメリカがうまい汁を吸った。
この後アメリカは混合診療の拡大を要求してくるはず。
日本の国民皆保険制度を民間保険に切り替えたいというのがアメリカの下心である。
国民皆保険制度が崩壊すれば、富裕層は民間の高額な保険に入り、高額な医療を受けられるが、庶民は医療を受けづらくなる。
日本にとってはかなり大きな問題だ。

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2013年9月 4日 (水)

原発事故 546

現在の汚染水総量43万トン、そのうち33万トンがタンクに貯まっている。

タンクの容量は40万トン。あと7万トンで満タンとなる。

2015年までに70万トンの容量にするという。

イタチごっこである。抜本的対策が取られていない。

毎日400トンずつ貯まっていく汚染水。

セシウムを除去することはできないが、濾過したり、密封して別の場所に保管することはできる。

ストロンチウムは除去することも、濾過することも、集めて密封することもできない。

日立製作所がセシウムとストロンチウムを同時に99%除去できる吸着剤を開発したという情報もあるが、除去後の水は簡単には海に捨てられないだろう。

これで再稼働後すすめるなんて無茶なことだ。

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お知らせ

9/2の日経新聞に鎌田の対談が載った。
今週のBSジャパンのBSニュース日経プラス10(夜10時~)は、医療と経済についての話題を送る。

http://www.bs-j.co.jp/plus10/

鎌田實は、9/5に出演。
「TPPと日本の医療」と題して、TPPに参加した場合、日本の医療の質、負担はどうなるのか、
国民皆保険制度は保てるのか、などについて考える。

ぜひ、ご覧ください。

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2013年9月 3日 (火)

お知らせ

明日4日「午後のニュースルーム」(BS朝日、13:54~)に出演する。

イラクのスハッドさん姉妹が来日し、松本に遊びに来た福島の子どもたちと交流する様子や、ひらた中央病院の内部被曝の測定、食品の放射線測定などについて、放送する。
ぜひ、ご覧ください。

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鎌田劇場へようこそ!(150)

「TRASHED ゴミ地球の代償」

ゴミによる環境問題に警鐘を鳴らすドキュメンタリー。

ごみの集積場や焼却炉の回りで起こる、ダイオキシンによる出産の異常。
大量のプラスチックが海を汚染する現状。
家庭ごみの山からドロドロに溶けた有毒物質が、海に流れ出し、それを魚が食べる。
その魚を人間が食べる。

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石油の7%はプラスチック製品になる。
が、その製品の30%は3か月以内に使用されなくなる。ゴミになっているのだ。

自分ではできるだけゴミを出さないように生活しているが、
とにかくこの映画を見て、ショッピングバッグを使わないといけないと思った。

買い物すると当たり前のように入れてくれる、レジ袋。
これを捨てた後、どんな行く末をたどり環境を汚染するのか考えながら、生活しなければならない。

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2013年9月 2日 (月)

がんばらない経済学23

消費者心理が悪化している。
二ヶ月連続の悪化だ。
給与は上がらず、物価は上がっているので、当然と言えば当然のことだ。
このままではデフレから脱却できるわけがない。

企業には内部留保金が267兆円ある。
その一割を新しい設備投資に回すべき。
そうすることによって機材や建築の業界が動き出す。
雇用が生まれる。
全体の内需の底上げが起きる。
消費意識が変わる。

政府は、一定枠を超える内部留保金には税金をかけけるなど、
投資減税を行うべきではないか。

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2013年9月 1日 (日)

鎌田劇場へようこそ!(149)

「サイド・エフェクト」

スティーブン・ソダーバーグ監督の、最後の劇場用作品という。

めちゃくちゃ面白い映画だ。
久々にヒッチコックのような映画をみせられた。
人間の心の不思議さを見事に描いている。

製薬会社と医師との関係などは、ぞっとする。
こういうのが嫌で、田舎で地域医療をやってきたような気がする。

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薬には副作用がある。
その副作用を見通した犯罪。
物語は二転、三転していく。
そして、もう一度、見たくなってしまう。

久々に見た重厚なサスペンス映画だ。
サスペンスが好きな人は絶対見るべき。

9/6から公開。

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