シリア情勢が混沌としている。
シリア難民は200万人を超えた。
毎日約5000人が国外に逃れている。
北イラクにも難民が入ってきている。
JIM-NETの事務所があるアルビルの郊外にも難民キャンプができ、4つの難民キャンプに毎日1000人ちかい難民が流れてきている。
その4分の3は女性や子どもだ。
JIM-NETでは、妊産婦のサポートを行ってきた。
イラクの病院と協定を結び、難民が治療を受けたときの費用を払う約束をしている。
子どもや妊産婦を何とか守りたい。
アメリカのシリア空爆の危機はいったん回避されたが、シリア情勢は複雑になっている。
12年前の9月11日、悲劇が起こったニューヨークで、シリア武力介入に反対するデモが行われた。
その様子を、アメリカに住むテムラク歩美さんが報告してくれた。
テムラク歩美さんは、大統領官邸や下院議員に電話やメールをして、シリア攻撃反対のメッセージを出し続けている。
「シリア情勢、そして中東に本当の暴力のない日常が戻るには、利権を持つ、利権を狙う、近隣諸国、国際企業がまさに、Hand off(手を離せ)する必要がある」ともいう。
すべての戦争には、いいことがない。
武力介入ではない方法で、シリア国民の命を守る方法を探すべきだ。
・・・以下は、テムラク歩美さんの報告です・・・
Peace Action Report 9/11/2013
ケリー国務長官が舌を滑らして、ニューヨーカー誌でも「Accidental Hero(予期せずしてヒーローになってしまった)ヒーロー」となり、一旦武力介入はお預けとなっている911事件から12年の今日ですが、アメリカの市民団体は「これはウォール街らの戦争屋が仕切り直しをしているだけなので、予断は許さない」と警告しています。
2年半も前から多くの犠牲者と難民を出しているシリアの内戦ですが、ここにきて急に「化学兵器の使用を罰する」という名目でオバマ大統領自ら「軍事介入」を表明したので、アメリカ市民は驚きました。
沢山の平和団体、人権団体から「シリアへの停戦に向けて軍事介入ではなく、外交努力をするべきだ。」というアクションアラートが送られてきました。大統領宛ての署名、自分の選挙区の両議院へのメール、ホワイトハウスのホームページへの書き込み、両議院への電話作戦を求めるメールが受信箱に洪水のように押し寄せました。
そして市民は応えました。議員の地元事務所に直接陳情に行き、電話回線やメールの容量を超えるくらいに働きかけたのです。議員はやはり次の選挙をにらみ地元有権者の声を気にかけます。日本でも市民一人一人がその力に気づいて直接行動に出るようになってほしいものです。
さて、下院議員が召集される前の週末、9月7日にアメリカの主要都市で「Hand Off
Syria」(シリアに手をだすな)デモが開催されました。主催者(International
Action Center, World Can't Wait, Syrian American Forum and United National
Antiwar Coalition発表によると数万人がデモに参加したそうです。
私はニューヨークで開催されたデモに参加しました。主催者発表ですと約3000人が歩いたそうです。46丁目からブロードウェイの目ぬき通りを通ってユニオンスクエアまで歩くルートです。IAC主催の集会は、さすがIAC!平和のための退役軍人、緑の党から低所得地区でコミュニティー環境向上のために働く活動家、フィリピン人の連合、シリアアメリカ人の連合まで様々なスピーカーが、「これは軍産複合体、ウォール街が引き起こす戦争だ。戦争よりも、教育、医療、福祉にお金を!」と叫んでいました。
シリア人女性は「これは私の父と叔父の写真です。彼らは家にいたところを射殺されました。これが現実です。内戦が引き起こされています。」と涙ながらに軍事介入阻止を訴えていました。
太陽は眩しいですが、既に涼しい秋の風のマンハッタンは夏を惜しみ屋外のカフェなどでくつろぐニューヨーカー、観光客も飛び入り参加。一緒に「Hand Off Syria!」と声を上げていました。
小さな子ども連れの夫婦から杖をついて歩くおばあちゃんまで(Granny For
Peace平和のためのおばあちゃん)歩きます。おばあちゃんのかぶっている帽子にはたくさんの缶バッジが。。。きっとベトナム戦争時代から反戦運動をされている方です。ありがたし。
私はサブリーンのキルトに真紀さんの作成したMarwaちゃんの「私をころさないで」の絵をプリントアウトし持って歩きました。たくさんの参加者がこのキルトと絵を褒めてくださり、写真を撮っていきました。
International Action Centerのウェッブからも写真が見れます。
http://www.iacenter.org/actions/syria090813/
翌日の9日にはMoveOnなどのProgressive(進歩主義者)の団体が呼び掛けたアメリカ全土での平和を祈るキャンドルライトヴィジルに地元ニュージャージー、キャルドウェルで参加しました。約20人の教会の牧師さんも含める地元の方たちがキャンドルを持ってシリア情勢の平和解決を祈ります。
ベトナム戦争から活動している、という年配の女性は「We Shall Overcome!」を歌おうと提案し、一人の女性が自分のI-phoneでジョーン・バエスの「We Shall
Overcome!」を流し、それに合わせて私たちは歌いました。(We
Shall Overcomeはもともと黒人霊歌で、公民権運動で歌われ、それから平和運動があるたび歌われています。)
後でそのI-phoneでジョーン・バエスを検索した女性はダマスカス出身のシリア人ということを話しました。彼女は「現大統領のアサドは歯科医でもともと大統領を継ぐために育てられた人物ではないの。父の死後、後継者の兄の“事故死”によって急遽大統領になった人物。内戦は外国から流れ込む傭兵、テロリストによって行われているわ。使われたという化学兵器もサウジアラビアによって反政府軍に供給されたもの。」と話していました。
9月11日は、今日以降、「人類が武力を使わずに紛争を解決した日」として記憶されることを祈ります。