リンゴ談義
青森市場からタクシーに乗った。
「先生のいのちの対話のラジオを聞いていました。
八戸から放送された回は、津軽三味線を流しながら、お父さんの話をされ、圧巻でした」
よく昔の話を覚えているなあと思った。
空港に着くと、空港ポリスが「鎌田先生ですか」と声をかけてきた。
「先生の本のファンです。握手してください」
警察官に握手を求められたのはじめてだ。
おもしろい人だった。
「青森県は日本一の短命県。長野県は日本一の長命県。私の持論を聞いてください」という。
「青森も長野もリンゴが名産。
しかし、青森の人はリンゴを食べない。
まず、買って食べる人はほんどいない。もらうと仕方なく食べる。
リンゴ農家の人もあまりリンゴを食べないようだ。
おいしいリンゴをつくることには夢中なのに、積極的に食べようとはしない。
長野はどうですか」
そう言われて、
長野の人はリンゴをよく食べるなと返事をした。
この空港ポリスの持論はおもしろい。
リンゴの生産量と消費量を調べてみた。
リンゴの生産量の1位はやはり青森。
青森の生産量は457,300トンで、全国の生産量の54%にあたる。
2位の長野の160,000トンをはるかに上回っていた(2009年)。
では、リンゴの消費量はどうか。
生産量に比例して、全国1位は青森、2位は長野であった。
青森では、一世帯あたり年間35,877グラム、長野では33,620グラムと、毎月3キログラム近いリンゴを消費している(2010年)。
空港ポリスの持論は、統計上裏付けられなかった。
だが、リンゴは「医者いらず」と言われ、昔から健康にいいとされてきたのはたしか。
皮の直下のところにいちばんポリフェノールが含まれてるので、皮ごと食べるのがいい。
ホテル青森の朝食ビュッフェでは、リンゴを八分の一に割って、皮つきで盛られていた。
この食べ方がいちばんうまいと思う。
青森の人は人なつっこい。
ぼくは青森を第二のふるさとと思っているので、青森の人もそれを感じてくれるのかもしれない。
今年はもう一度、青森に行く予定がある。
父のふるさと、青森、大好き。
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