ノーベル文学賞
今年も村上春樹の受賞はならなかった。
毎年、期待されているが、実際に候補にあがっているかはわからない。
ノーベル賞は、人間の核心をつくような文学をうちたてる作家に送られる傾向がある。
村上春樹は大衆作家ではないが、大衆作家のように売れすぎていることもマイナス要因になっているのではないか。
今年は、カナダの作家が選ばれたが、発表当日、ある新聞社から電話がかかってきた。
スベトラーナ・アレクシェービッチが、受賞しそうだというのだ。
日本ではほとんど知られていないこの作家のことを調べていたら、鎌田が過去に対談していることを知った。
もし、アレクシェービッチが受賞したときにはコメントをほしいという電話だった。
アレクシェービッチはぼくと同い年。
ウクライナ生まれである。
国立ベラルーシ大学を卒業し、ジャーナリストになった。
「アフガン帰還兵の証言」「戦争は女の顔をしていない」「穴ボタンから見た戦争」など、
おもしろい本を書いている。
「チェルノブイリの祈り」では、動員された兵士や原発の労働者、強制疎開に従わず村に居残っているサマショーロウなど、
見落とされた歴史について語っている。
チェルノブイリ原発事故の概要を伝えることよりも、まったく未知なる巨大事故に遭遇したとき、人々は何を感じたかを描こうとしている。
彼女は、未来のことを書き記している、と今から5年ほど前の対談で語っていた。
その言葉どおり、2011年3月、福島第一原発事故がおきてしまった。
来年は、アレクシェービッチなのか、村上春樹なのか。
ノーベル文学賞に注目したい。
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