鎌田實の一日一冊(194)
「悪医」(久坂部羊著、朝日新聞出版、1785円)
52歳、一人暮らしの男が胃がんの末期になる。
35歳の外科医は再発した時点で、やることはないという。
つきはなされたと思う患者は、いろいろな医療をわたりあるくが、なかなか満足させてくれるものには出合えない。
自分を「見捨てた」外科医を許せないと思い続けていたがん患者が、
偶然にも、その医師の思いをほんのわずか、理解できる事件が起きる。
結局、医療は納得が大事なのだ。
どう、かわりあえるか。
患者さんにわかってもらうためのコミュニケーション技術がない医師が、日本には多すぎる。
リスクコミュニケーションの一つである。
いやなことをどう正確に伝えるか。
自分が言われる側の立場になってみたとき、自分ならどう言ってもらえれば納得できるかを考えてみるといい。
テレビドラマにもなりそうないい作品である。
医療ものの小説が好きな方はぜひ。
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