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2013年12月27日 (金)

奇跡の連鎖

以前、「週刊ポスト」の連載に、スギウラ青年のことを書いた。
彼は、28歳でほとんど治らないという腎臓がんになり、そこから奇跡的によくなり、「シンガー・ソング・ランナー」などと名乗りながら、
ホノルルマラソンなどに挑戦している。
「シンガー・ソング・ランナー」というのもなんだかわからないが、
彼のトンデモなさはユニークだ。
なにしろ入院中に、外出許可をとり、風俗店に行ってしまうのだから。
でも、こういう男が奇跡を起こすのかもしれない。

抗がん剤を使っていたので、頭はテルテル坊主。
風俗店には帽子をかぶっていった。
服は脱いだが、帽子はかぶったまま。
女性から「どうして帽子をとらないの」と聞かれたら、「ケガをしたから」という答えまで用意していった。
だが、女性は彼にこう言った。
「がんなんでしょ」
スギウラ青年は「突然、頭を殴られた」気がし、号泣した。

131213___2 都心の夜明け

女性は元看護師だった。
自身も子宮がんになり、摘出したと話し、手術の痕まで見せてくれた。
「私はがんを克服して7年、こんなに元気になったから、あなたも必ず元気になれるわよ」
そう言って励ましてくれたという。
この男、何かもっている、とぼくは書いた。
それから10年、彼は歌ったり、走ったりと「シンガー・ソング・ランナー」をやっている。

この話が、9月下旬、ヤフーのニュースポスト7に取り上げられたようだ。
それを、メキシコ在住の女性が見た。
その女性の母親は、神戸にいて、余命3か月のがんを宣告されていたという。
娘は、すぐにお母さんに連絡をした。

お母さんは、スギウラ青年と会い、「がんに負けないホノルルマラソンを走る」というイベントに参加。
なんと10キロを完走したという。
それだけではない。
来年は必ず、フルマラソンに挑戦したいと、走る練習をはじめたという。

一人の風変りな男の挑戦が、ほかの人の心にも火をつけ、奇跡の連鎖がおきはじめている。
こんな話を聞くと、人生は捨てたものじゃないと思う。

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