がんばらない経済学31
元経済財政担当大臣の与謝野馨さんと対談した。
来月の月刊がんサポートに載る。
彼は、リンパ腫と前立腺がん、直腸がん、咽頭がんの4種類、再発3回、計7回がんと闘っている。
いつも前向きで、弱気にならなかった。
違うがんができても、「転移でなくてよかった」と思うようにしたという。
できるだけ温泉や新興宗教などに心がいかないように、最先端の医療を信用して、それ以上心配しないようにした。
彼は財政規律派である。
文部大臣や通産大臣などもしているが、財務・金融・経済財政担当大臣のときにいちばん腕をふるった。
今のようなばらまきに近いようなことをしていては、財政規律は守れない。
今の状況のまま貿易収支が赤字になっていくと、次に長期金利が上昇する。
長期金利が上昇したとき、1000兆円を超える赤字があることが一気にボディブローとして効いてくる。
工場をつくろうとか、買い物をしようとかというムードがないまま、金融緩和を行ってお金を出回らせても、お金の使いようがない。
株価だけを上げてしまっている。
庶民にとっては関係のない異常な好況状態である。
政治家がインフレを景気回復に使うことは、本来してはいけないことと与謝野さんは言う。
インフレにすれば、何十年も汗水たらして蓄えてきたものが下がってしまう。
一生懸命倹約して蓄えてきた人たちがだまされる結果になる。
今の若者が非正規雇用を余儀なくされていたり、低賃金のため結婚もできない状況はよくない社会だともいう。
与謝野さんは最後のブッダの言葉を述べた。
「死を恐れるな。私だっていつかは死ぬ。死にたくないと考えることは無駄なのだ」
「死を恐れない」。
それが7回のがんを乗り越える力になった。
魅力的な人間だと思った。
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