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2014年5月24日 (土)

鎌田實の一日一冊(203)

「上野千鶴子の選憲論」(上野千鶴子著、集英社新書、799円)


上野千鶴子さんのお友だちが、諏訪中央病院に入院していたことがある。
それがきっかけで、ときどき本を贈ってくださる。
上野さんは、八ヶ岳の反対側に別荘をもっていて、ぼくの住む茅野からは車で40分くらい。
冬にはスキーを楽しんでいるという。
まだ一緒にスキーをしたことはない。
お会いしたのは一度、新聞での対談だった。

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この本のなかに、ふつうの人が書いた憲法前文が紹介されている。
10年以上前、「夢の憲法前文をつくろう」という月刊誌の企画があり、審査員をつとめた上野さんが優秀賞に選んだ17歳の女の子の憲法前文が載っている。
この憲法前文の全投稿は、「私たちが書く憲法前文」(大塚英志著、角川書店)という一冊にもなっている。
今、それを読み返し、上野さんは改憲をするとすれば、こんな前文がいいという。
「まったくもってタイシタコトのない世界的にみてソコソコの国がいい。
立派な国にしていこう! とかいうけど
立派だからいいなんて
いったいだれが決めたんだか・・・。
(中略)
世界なんていう単位で
立派で一番! になる必要はあるのか。
私たちから見ていちばん幸せになれる国。
そうなる必要は大いに
あり。
(中略)
何か文句でもあるかね
今の私は「これ」で幸せなんだけど」
17歳の女の子が書いた憲法前文だ。
ぼくの「下りのなかで上りを生きる」(ポプラ新書)の論調にちょっと近い。
最近、憲法をめぐり、解釈か改憲かとかまびすしいが、
非武装をやめて、ふつうの国になる必要があるのか、とぼくは大いに疑問に思っている。

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