« 2014年5月 | トップページ | 2014年7月 »

2014年6月

2014年6月30日 (月)

緊迫のイラク③

イラク第二の都市モスルが制圧され、約50万人が国内避難民になった。
そのうち10万人がクルド自治区のアルビルに逃れてきているが、クルド自治政府は、シリア難民を抱えながらの、モスルからの難民をサポートするには力が足りないと宣言したという。
北イラクのアルビルにあるJIM-NETの事務所の榎本さんからは、
ナナカリ病院に支援してきたが、避難民が医療機関にアクセスできるようにさらなる支援が必要だ、と提案があった。
モスルから逃れてきている小児がんの子どもたちがいることもわかり、「何としても守りたい」と訴える。
医薬品や医療器材が追加で必要になってきたという。
さらに、病気をもって避難民となった人たちの医療シェルターが必要とも言う。
現場を見ているスタッフからの、必死の叫びである。

Dscn5635

モスルから来た小児がんのファーティマちゃんは、眼窩腫瘍のため左眼の摘出手術を受けた。
その後、十分なケアを受けられず、ボーダーを超えてナナカリ病院にやってきた。
術後の感染症のリスクも高い。
今後、術後のケアと、化学療法を行っていく予定。
お母さんは、身ひとつでファーティマちゃんを抱いて逃げてきたため、何も持っていない。
携帯電話すら置いてきたという。
泣きじゃくるファーティマちゃんを、あやすことしかできなかったという。
北イラクで起きている、この悲しい現実を知ってほしい。
                       ◇
JIM-NETではイラクの子どもの医療支援や、シリア難民支援をしています。
ぜひ、ご支援をお願いします。
詳しくは、JIM-NETのHP

|

原発事故565

福島第一原発から約50キロ離れた三春町で、
2011年から3年間、小中学生約1500人を対象に体内被曝の検査が行われた。
ぼくが名誉理事長をしているひらた中央病院の公益財団法人 震災復興支援放射能対策研究所のデータでみると、
2011年は1494人中54人が検出限界の300ベクレル/ボディを上回った。
最大で1400ベクレル/ボディを検出した。
2012年は1383人、2013年は1383人が受診し、全員が検出限界以下だった。
2012年からは検査前に検査着に着替えて検査しているが、2011年は着衣の交換をしていなかったので、着衣からの影響もあった可能性がある。

14060312___2

検出限界以下というのは、ゼロではない。
300ベクレル/ボディの場合、体重30キロの子では、1キロ当たり10ベクレルとなる。
検出限界以下の子は、ゼロに近いの可能性が高いと思うが、
ゼロと断定できないということに関して要注意である。
ぼくたちは自然放射能としてカリウム40の体内被曝を受けている。
カリウムは人間が生きるためにどうしても必要なもの。
カリウムが足りなくなると不整脈や、筋肉の収縮に影響が起きたりする。
その自然放射線カリウム40を、野菜などからとっており、年間の体内被曝量は0.18ミリシーベルトといわれている。
検出限界の10ベクレル/キログラムの預託実効線量は0.04ミリシーベルトなので、
自然放射線の被曝量よりも少ないことがわかる。
これで大きな問題が出るとは思えないが、子どもの命を守るためには万全を期すことが大事。
検診と、年間3週間程度の保養、放射能の見える化を継続していかなければならない。

|

2014年6月29日 (日)

紫龍テント

新宿梁山泊に行ってきた。
唐十郎の名作「ジャガーの眼」を、金守珍が演出している。
主役は、大鶴義丹。
少年の役を大鶴美仁音が演じた。
140618___3
美仁音はすばらしい空気をもっている。
力のある役者群のなかで、負けずに輝いていた。
よく訓練された声で、セリフ回しもうまい。
お父さんの唐十郎をほうふつさせる。
新しい舞台女優になるかもしれない。
要注目だ。

140618___2

140618___1

140627___3

大鶴義丹は雰囲気はいいが、長台詞をこなすのが大変そうだった。

|

2014年6月28日 (土)

子どもたちの給食を守る

JCFの食品放射線測定所では、信州大学の大学院生が中心になっているチームめとばが、厳密な測定を行っている。
松本市の給食は、調理前に材料の測定を行い、子どもたちが常に安全なものが食べられるようにしている。
この測定で、干しシイタケから17.3ベクレル/キログラムが検出された。
産地は関西に近いところだった。
この干しシイタケを水に戻したものは、1.50ベクレルだった。
干しシイタケの場合、容量がかなり小さくなるために、放射線量が高いように見えることがある。
実際には6分の1くらいと考えていいといわれてはいる。
事前にわかったために、配膳直前に止めることができ、給食事前測定の役割をきちんと果たすことができた。

Dsc_0004001

JCFではチェルノブイリやイラク、福島の子どもを支える活動を続けてきた。
昨年の事業報告があり、今後も活動を続けていくには約1000万円不足している。
放射能汚染地域のベトカ地区に心電図計2台、ゴメリ州立病院の付属産院に生化学分析器の試薬一年分を寄付するなど、
今後も医療支援が必要である。
今年の夏は松本で開催されるサイトウ・キネン・フェスティバルに、音楽をしている福島の子どもたちの保養に40数名を招待する予定だ。
サイトウ・キネン・フェスティバル側も準備をすすめてくれており、長野県も応援してくれるている。
小澤征爾さんが体調がよければ、子どもたちに会ってくれるかもしれない。
今後も保養と健診、放射能の見える化を徹底していきたい。
ぜひ、JCFの応援をお願いいたします。

|

2014年6月27日 (金)

梅雨に多い感染症

レジオネラ感染症で66歳の男性が死亡した。
60~80代の男性も感染した。
9年ほど前も、レジオネラ菌による肺炎で何人もの方が亡くなり、大騒ぎになった。
レジオネラ菌は、アメーバなどの原生動物に寄生し、20~50度で増殖する。
おふろのお湯でも増殖する。
この菌を含んだ湯が、湯気や霧状になり、人が吸い込んで肺に取り込まれたときに感染する。

14042123___3

レジオネラ感染は、日本では高温多湿の梅雨や秋に多い。
入浴施設などでは、循環ろ過装置などの清掃は注意しなければならない。
塩素消毒に弱いので、塩素消毒を徹底することが大事だ。
レジオネラ症が起きても、肺炎にならなければ数日で治る場合がある。
症状は発熱、寒気、筋肉痛など。
肺炎になると急激に悪化し、死亡することがある。
レジオネラ菌はエリスロマイシンやリファンピシン、ニューキノロンなどの抗菌薬が効く。
疑いがあるときには、すぐに受診しよう。

|

2014年6月26日 (木)

繰り返される虐待

日本子ども家庭総合研究所は、親の虐待などにより児童相談所で一時保護した子どもの実態を調査した。
それによると、一時保護した子どもの半数近くが、過去にも一時保護された経験があり、
保護した後、親子関係が改善せず、虐待が繰り返されている現状が明らかになった。

14060311___1

子どもにとって親は、最も助けてもらいたい、愛してもらいたい存在。
その親に虐待を受ける子どもたちの気持ちを考えると、とてもつらくなる。
部屋に鍵をかけて閉じ込められ、週一回しか帰ってこない父親を待ちながら、餓死した子がいた。
どんな思いで、おかなをすかせて、父親を待っていたのかと思うと胸がしめつけられる。
訴えることができない子どもたちの声を、しっかりとキャッチできるような国にならなければいけない。

|

2014年6月25日 (水)

泥沼化するウクライナ

6/12、ウクライナ東部ドネツク州にロシア製の戦車3両などが侵入。
ウクライナ政府軍と交戦したという。
プーチンははっきりしたことを言っていないが、おそらく、戦っているのは親ロシア派ウクライナ人。
ロシア側が兵器を提供している可能性が高い。
その後も、ロシアやウクライナ政府軍、アメリカからさまざまな情報が流れている。
一時停戦に同意したと発表があったばかりだが、政府軍のヘリが、親ロシア派武装集団に撃墜され9人が死亡したというニュースも入っている。

140610___2

このままだと内戦状態になっていく。
治安が悪化すると、それに乗じてテロリストが入ってくる。
テロリストの思うツボだ。
親ロシア派と親EU派がいても、なんとかぎりぎり話し合いのなかでやっていけるようにしていく必要がある。
そのためには外国が手をつっこまないことが大事だと思う。
昨年12月にウクライナに行ったときから危惧していたが、その通りになってきてしまい、
ウクライナもシリアと同じような状況になっていくのではないかと心配である。

|

2014年6月24日 (火)

癒着

ノバルティス社の元社員が、高血圧の薬ディオバンの臨床データを改ざんしていた容疑で逮捕された。
本人は、容疑を否認しているようだが、ディオバンを使わない高血圧の患者が、脳卒中になる確率が異常に高いなど、とんでもない改ざんを行っていた可能性が高い。
証拠隠滅も図っているようだ。
東京慈恵医大など5つの大学が、ノバルティス社から11億円の寄付をもらい、臨床研究をしていた。
そのうち4つの大学で、データが操作されたと疑われている。
統計的な処理は、ノバルティス社の社員にまかせ、「脳卒中や狭心症のリスクを減らす」というディオバンの偽りの効果を宣伝した。
とんでもないことだ。
産学の癒着の構造がみてとれる。
一説には、製薬企業から医療研究者への寄付は、約5000億にのぼるといれる。

Dsc_0001001

ぼくは、ある大学の臨床研究に関係している病院から講演を頼まれている。
そのぼくの講演料を、ある製薬会社が出すといわれ、それを拒否した。
その病院には知人の医師がおり、友情で講演で行くのであり、わずかなお金でも、製薬会社からはもらわないようにしようと思っている。
ぼくは週一回だが外来をしている身。
薬を処方している人間にとっては、利益相反の関係にある。
そういう製薬会社には、NPOなどに寄付してもらうなど、スマートな支援ができるようになるといいと思う。
ディオバンの売り上げは、年間1000億円、今まで1兆円近いといわれている。
ノバルティス社の元社員の犯罪を明確にするとともに、会社の幹部も当然知ってたはずで、そのあたりも明らかにしてほしい。
そして、でっちあげたデータをもとに、ちょうちん持ちのような論文を発表してきた研究者も、過失がなかったか詳しく調査してもらたいものである。

|

2014年6月23日 (月)

管理された混合診療

保険診療と自由診療を組み合わせる混合診療の全面解禁を目指してきた安倍首相は、
一定の基準下で混合診療を受けられる「患者申し出療養制度」(仮)を創設すると表明し、2016年度からの実施を目指している。
安倍首相は、混合診療を全面解禁するよう規制改革会議などにプレッシャーをかけてきた。
「選択療養制度」(仮)という形で、混合診療の事実上の全面解禁をすすめようとしたが、患者団体などから反対の声が大きく、難航していた。
混合診療の枠を広げすぎてしまうと、治療効果がまったく期待できない代替医療や、リスクの高い治療法、副作用の調査が不十分な治療法などが、
安易に保険診療と組み合わせて行われてしまうのではないか、というのが主な反対の理由だ。
ぼくも、国民皆保険制度の根幹をゆるがすのではないかと懸念、日経ビジネスや週刊ポストなどで、混合診療は大幅解禁に反対してきた。

14052915___5

安倍首相が表明した「患者申し出療養制度」は、実より名をとる形で、妥協したといっていいだろう。
現行の保険外併用療養制度では、最先端の治療や医療機器など約100種の混合診療を認めているが、
「患者申し出療養制度」は、ほとんどこれに近い。
ぼくの主張は、管理された形なら混合診療を認めてもいいというものなので、ほぼこれに近い形である。
大幅な混合診療の解禁では、患者さんが効く可能性の低い治療に高額な費用を払うなどの問題が大きいが、
管理された混合診療である「患者申し出療養制度」はまあまあの制度だと思う。

|

2014年6月22日 (日)

緩和ケア病棟家族会

第7回緩和ケア病棟家族会が開かれ、約40人のご遺族が参加した。
1分間の黙祷の後、この小さな町に緩和ケア病棟をつくった理由を語らせてもらった。

どんな人もいつか必ず死がやってくる。
その死を、痛くて、苦しく、つらいものにしたくない。
愚痴や恨み言ばかりで、最後の大切な時間をすごしてほしくないと思った。
できるだけその人らしく最後まで生きてもらいたい。
そして、「生きてきてよかった」「ありがとう」という時間をつくれるといいなと思った。

1406145___1 愛犬とともに参加したご家族

「最期までにこにこしていた」
「本人も自分の命のことがわかっており、この緩和ケア病棟に入れたことをよろこんでいた」
「原先生や看護師さんがやさしくてどれほど救われたか」
「ここで看取れて幸せでした」
ご遺族の方が、たくさんの感謝の言葉を口にしてくれた。
緩和ケア病棟や在宅ホスピスをやってきてよかった、とつくづく思う。

|

2014年6月21日 (土)

霧ヶ峰へ

京都の帆布かばん屋さんの一澤さんが久しぶりに信州に来て、霧ヶ峰のコロボックル・ヒュッテにコーヒーを飲みに行った。
霧ヶ峰の名前のとおり、霧が立ち込めていて、大湿原は見通すことはできなかった。
ニッコウキスゲの時季にはまだ早いが、オレンジ色のヤマツツジが咲き誇っていた。
140609___4

その後、お蕎麦を食べに行くと、おやじさんが気合を入れて、八割、九割、十割そばをつくってくれ、食べ比べをさせてくれた。
山菜のこしあぶらのてんぷらやこごみ、たけのこなどの料理にも舌鼓。

|

2014年6月20日 (金)

浸透性農薬の影響についての研究発表

浸透性農薬とは、植物の表面から吸収され、植物全体にいきわたる農薬。
水によく溶け、長い期間効力を発揮する特徴があり、水田や家庭菜園などでも使われている。
土壌や池などに入ると数か月から数年、無毒化されないことがあり、繰り返し使うと環境中に蓄積する可能性がある。
ミツバチの大量死や鳥など生態系への影響や、人の健康への影響が疑われている。

14060317___3

この浸透性農薬に関する研究発表が、6月26日午後3時~、参議院議員会館で行われる。

呼びかけ人は、菅原文太さん(代表)をはじめ、養老孟司さん、鎌田實ほか。
内容は、世界自然保護連合の浸透性農薬タスクフォースが、ネオニコチノイドなどの浸透性農薬の影響等に関する科学的調査研究成果を「世界総合評価書」としてまとめたもの。
日時 2014年6月26日(木) 午後3~5時
会場 参議院議員会館B-107会議室
<議事次第>
開会あいさつ 菅原文太氏
ショートフィルム
世界総合評価書の説明
 レクスモンド博士、フルラン博士、ルマウィグ-ハイツマン氏、平久美子氏、山田敏郎氏ら(逐語通訳あり)
質疑応答
閉会あいさつ 安田喜憲氏
参加希望者は、下記メールアドレスまで連絡をお願いします。
≪連絡先≫
 〒100-0006 東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館6F
      TEL 03‐5224‐4588  FAX 03‐5224‐4589
E-mail: fukuzoe@furusatokaiki.net
 担当: 福添重幸(ふくぞえ・しげゆき)

|

2014年6月19日 (木)

緊迫のイラク②

イラクの混乱が続いている。
ISISという過激派は、スンニ派の組織である。
油田を自分たちの資金源にし、勢力拡大しながら、国境を越えて、イラク、イラン、シリアと勢力を拡大したいらしい。
現在のマリキ政権はシーア派が握っている。
シーア派は優遇され、蓄財していることに対して、不満がどうにもおさまらなくなっている。
かつて、スンニ派とシーア派は共生できていた。
宗派を超えて結婚することも稀ではなかったはずなのに。
さらに、北イラクでは、マリキ政権と対立してきたクルド人が強い。
これらスンニとシーア、クルドが北イラクにある油田の利権をめぐって、三つ巴の血なまぐさい戦を繰り広げている。

1405291___1

イラクは、石油埋蔵量世界2位、産出量世界8位といわれている。
特に、イラクが親日的であることもあって、日本とイラクは大事なパートナーだ。
この国が平和で安定していることは、日本にとっても大事なことだ。
マリキ政権がもっとおとなになって、クルドやスンニ派を大事にするなど、治安の安定を図る必要がある。
そして、断固としてテロリストを入れないことである。

|

2014年6月18日 (水)

緊迫のイラク①

「イラク・シリア・イスラム国」(ISIS)という過激派組織が、イラク北部の中心都市モスルやキルクークを支配下におき、首都バグダッドに迫る勢いだ。
モスルには、JCFが支援し、4年間信州大学で遺伝子研究をしていたリカア先生がかつて部長を務めていた病院がある。
JIM-NETも以前、この病院に支援を行っていた。
一時期、治安が悪化し、キリスト教徒のリカア先生は、日本に脱出してきたが、再びモスルが過激派によって制圧され、
イラクは厳しい状況になっている。
リカア先生とお母さんのことを守るために、必死に支援中である。

140603___2

最近の北イラクは比較的平和で安定していたが、シリアが不安定になり、そこに集まったテロリストが北イラクにも行ったり来たりするようになった。
これからどんな状況になっていくか、とても心配である。
こうやってみると、やはり10年前のイラク戦争の罪は大きい。
化学兵器や核兵器などがあると主張し、アメリカはイラク戦争を開始したが、その結果が今の取り返しのつかない状況を招いている。
いつも、イラクのふつうの人たちが苦しめられている。
イラクに平和をもたらすために、まだまだ応援が必要である。

|

2014年6月17日 (火)

敗因は?

サッカーW杯、コートジボワール戦について考えてみた。
日本にとって格上の相手だったが、チャンスがあっただけに残念だった。
長谷部から遠藤への交代が痛かった。
0対0ならば、この交代はものすごく大切。
遠藤を起点にした、新しい感覚のパス回しは、意表をつく攻めにつながっていく。
しかし、1対0で勝っているときはどうだろう。
ミッドフィルダーが頭の中で、どれほど守りに意識を置いているか、ここが大事なところだ。
後半は、相手のシュートをゴール前からどうそらすか、というのが大事なところ。
だが、遠藤が入ったことで、メンバーが無意識のうちに、「さらに一点」と前のめりになっていった。

140603___1

このところ、日本チームは、前半戦に点をとられることが多かったが、
今回はしのいでいた。
このまま、守りに意識を集中していてもよかったのではないか。
長谷部がピークを過ぎた選手であることはわかっている。
いつもの交代のように、長谷部のお疲れの時間が来たから遠藤に交代というのは、ちょっとお手軽すぎたように思う。
人間は、心をもった動物。
ほんのちょっとの交代で、11人のメンバーの意識が微妙に変化する。
その意識の作り方を失敗したことが、敗因になったとぼくは思う。
ぼくが監督なら、中盤と後衛はいじらない。
負けたのは残念だが、次のギリシャ戦に期待したい。

|

2014年6月16日 (月)

鎌田實の一日一冊(208)

「「あの世」の準備、できていますか?」(矢作直樹、田口ランディ著、マガジンハウス、1404円)
「人は死なない」(矢作直樹著、バジリコ、1404円)
「霊魂だけが知っている」(メアリー・ローチ、日本放送出版協会)
あの世のことを考えてみた。
ぼく自身は、あの世があるとは思っていない。
霊があるとも思っていない。
死んだら終わり、と思っている。
しかし、大いなる何かがこの世を見ているとは思っている。
自分の命は縦の大きな流れのなかで生かされていると思っている。
縦の命とつながっていると感じると、ほっとする。
以前、恐山のイタコに会い、ほんとうの父親の声を聞いたことがある。
ただ捨てられたわけではないという言葉に、ほっとした。
よく会いに来てくれた、いつもお前のことを心配していた、といわれ、不思議なほど安心した。
つながっていることは、安心を生み出す。

Photo_4

Photo_2


東大の教授で、救急部・集中治療部の部長をしている矢作さんと対談した。
365日、病院のなかに居室をつくってもらい、生活しているという。

この人は霊性が強く、いろんなことを感じているようだ。
「3000年前の前世の姿」を覚えているという。
矢作先生はいつ死んでもいい、自分の霊魂は生き続けていると信じているようだ。
この考え方は、実にパワフルである。
怖いものがなくなる。
「人は死なない」という本のタイトルは、人は決して「死」を迎えないという意味ではなく、
霊的なものは残り、つながっているということを言おうとしている。

Photo_3

ローチの「霊魂だけが知っている」はとてもおもしろい本だ。
霊的体験談を集めている。
これがなかなかおもしろく、わくわくさせられるが、証拠があったためしがない。
ときには大笑い。
だが、読んでいくうちになんとなく霊魂はある?という気になるから不思議だ。
著者の、信じているような信じていないようなスタンスもいい。

|

2014年6月15日 (日)

試合をみて、感動したら募金!

サッカーW杯が始まりました。
JIM-NETでは、戦争の影響でがんや白血病になったイラクの子どもたちを救う活動を10年間、続けてきましたが、
最近は、シリアからイラクへ脱出してきた妊婦や、小児がんの子ども15人も応援しています。
子どもたちには、毎月100~200ドルの支援が必要です。


試合を見て、感動したら募金!
イラクやシリアから避難してきた小児がんの子どもたちが病院に通えるように、どうかご協力ください。
募金の方法はこちら↓
イラクの小児がんの子どもと一緒に、サッカーW杯日本代表を応援しよう、という
JIM-NETの呼びかけは、朝日新聞にも大きく取り上げられました。
イラクの子どもたちに贈るユニフォームは3着集まり、募金の振込もいただいていますが、
さらなるご支援をお願いいたします。

1406039___3

JIM-NETの活動は、たくさんの方々に支えられてきました。
通販生活では10年間、ご支援いただき、延べ8万8982人の読者から、2億46万8842円のカンパをいただきました。
あらためて深く感謝いたします。
この支援活動の報告は、通販生活のHPにアップされています。

|

2014年6月14日 (土)

7/23仙台で講演

認知症の患者数は462万人、予備軍といわれる軽度認知障害は400万人。
徘徊などで行方不明になる人は、年間1万人を超え、社会問題となっています。
超高齢社会のなかで、どうしたら安心して老いることができるのか。
鎌田實が「がんばらない介護」について講演します。

あんしん財団福祉講座【宮城】
「がんばらない介護でいきいき暮らそう」
日時 2014年7月23日(水) 17:30~(開場16:45~)
会場 仙台サンプラザホテル3階 クリスタルルーム
第1部 「認知症サポーター養成講座~認知症を正しく理解するために」
     講師 NPO法人宮城県認知症グループホーム協議会会長 蓬田隆子氏
第2部 鎌田 實 講演(60分)
定員 300人
   参加は無料。事前の申し込みが必要です。
主催 財団法人中小企業災害補償共済福祉財団(あんしん財団)
申し込み 電話03-5362-2335
     FAX03-5362-2063
     HPからも申し込みができます 
詳しくはこちら↓
ぜひ、ご参加ください。

|

2014年6月13日 (金)

自殺を防げ

ぼくは、よりそいネットワークの評価委員をしている。
1034の電話拠点があり、相談員2600人、連携団体518が対応している。
特に被災地には電話拠点をおき、相談員300人の体制で、できるだけつながりやすくしている。
全国では、2年連続で自殺件数が減っている。
だが、被災地での自殺念慮の相談は、他の地域12%に対して、28.4%と高い。
昨年から福島では自殺が増えるのではないかと心配していたが、やはりそのような報告が出てきた。
国の統計をみると、福島の自殺件数は平成23年10件、24年13件、25年23件と増え続けている。
岩手県や宮城県は減っているのを考えると、福島では見えない放射能の問題があり、未来が見ないことが関係しているように感じる。

14052913___3

電話相談の件数も多い。
相談で自分の思いを語りながら、自殺を思い留まっているうようだ。
だから、よりそいネットやいのちの電話は大事なのだ。
電話は匿名が守られるため、心配や不安を話しやすいというメリットがある。
先週ぼくは、仙台いのちの電話の石巻支所ができたことで、応援に行ってきた。
石巻では、震災から3年経ち、長期戦のなかで、むしろつらい状況を迎えている。
つらいのにつらいと言えない。
特に、福島では放射能の問題について語りづらい雰囲気があり、みんな何もなかったように蓋をしている。
この臭いものに蓋という風潮は、不安感をつのらせ、精神的な負担や自殺へと追い詰めていく。
こんな状況が続いているのは、まずいことだと思う。
もっと、自分の心配や不安、放射線への思いを語りえるような地域にしていく必要があると思う。

|

2014年6月12日 (木)

はいてみました

アテントのおむつの開発にかかわっている。
ジーパンの下に、薄型のおむつをはいてみたが、どうだろう。
外見的にはまったく違和感がないと思う。
140609___3140609___2

立ちながら、おしっこもしてみた。
まったく漏れない。
においもない。
吸収が早いので、肌もベタベタした感じがない。
テープ式おむつのシェアは、アテントが一位を占めている。
パンツ式や、それに使うパッドなどを改良しようと、排尿障害などを専門にする「失禁ナース」の西村さんや、介護のプロ、心理のプロなどが集まり、開発会議を開いた。
失禁が多くなると、外に出ることに対して臆病になるといわれるが、紙パンツやおむつに抵抗がある人も多いだろう。
だが、ぼくも実際にはいてみて思うが、これは紙パンツというよりも、スポーツパンツのよう。
心理的な抵抗は少ない。
温泉やゴルフに行くなど、自由に外出したり、好きなことを続けていくために、当たり前の道具として使えるようになればいいと思う。

|

2014年6月11日 (水)

鎌田實の一日一冊(207)

「いのちが喜ぶ生き方」(矢作直樹著、青春出版社、1458円)
著者は、東京大学教授で、救急部・集中治療部の部長。
祈りや、魂の大事さ、生かされていることに気づくと人生が変わるとか、見えない世界があるんだということを主張している。
あの世について、ぼく自身は信じていないが、考えさせられるものがある。

Photo

同感はできないが、彼のような医学者が出てきたことは実におもしろいと思う。
近々、「がんサポート」で対談する。

|

2014年6月10日 (火)

鎌田劇場へようこそ!(168)

劇団唐組「桃太郎の母」
21年前の作品である。
桃太郎の母はどんな人だったのか、という唐十郎の勝手な空想から芝居ははじまっていく。
母親という存在につきまとうイメージを、唐流に飛躍させ、ときには笑いで、ときにはぐっと迫るようなセリフで、
新たな異空間を展開する。
唐十郎の作品は本当におもしろい。

140609___1

2年前、脳挫傷で倒れたが、ついに復活。
花園神社での千秋楽、唐は衣装を着て、化粧をし、客席のいちばん後ろに座っていた。
その存在感は、テントのなかに緊張を生む。
最後に舞台に上がると、観客は大騒ぎ。
一曲、歌い、大歓声を浴びた。
写真は、芝居が終わった後、唐さんの楽屋を訪ねたときのもの。

|

2014年6月 9日 (月)

鎌田写真館~JIM-NET10周年

Photo1

Photo2

JIM-NETが10周年を迎えました。
応援してくださる皆さまのおかげです。

|

2014年6月 8日 (日)

ドリームフェスティバルin福島・裏磐梯

Banner_df20l

第20回鎌田實と行くドリームフェスティバル3日間
~山形のおもてなしと裏磐梯での集い~

◆出発日:2014年9月16日(水)

◆出発地:新宿、上野、東京、さいたま新都心、横浜

    ※現地集合プランもあります

旅をあきらめない!夢をあきらめない!

高齢でも、障がいがあっても、決してあきらめることなく、旅という夢を実現してほしい。

障害のある人も、ない人も、どなたでもご参加いただけます。

障害があっても、東北を応援することができるんです!

今年のドリームフェスティバルのポイントは
(1)鎌田實の講演会を開催!
(2)弊社Aランクホテル星野リゾート裏磐梯ホテルに宿泊!2日間クラブツーリズム全館貸切!
(3)大村みのりさんの癒しの叙情歌コンサート開催!
(4)山形・長井線100周年!山形鉄道・フラワー長井線貸切車両に乗車!
(5)夏だけの期間限定!田んぼアートを見学!田んぼアートをつくり上げる農家の方々との交流も!
(6)山形名物のお振る舞いも楽しみ!
(7)全体サポーター(現地サポーター)の入浴介助で温泉入浴もお楽しみいただけます!

詳しくはクラブツーリズムのサイトをご覧ください

|

鎌田實の一日一冊(206)

「女のいない男たち」(村上春樹著、文藝春秋、1700円)
村上春樹の久々の短編集。
6つの短編のオムニバス。
つながらないような、つながるような、うまい構成でできている。
4話目までは、うーん、かったるいなと思った。
あとはノーベル文学賞をもらうだけの村上なのに、失礼な言い方だが、まるで直木賞作家の上手な小説を読んでいるようで、かったるかった。
ところが、5、6話目は、それまでのかったるさを見事に覆す。
村上ワールドがちらっちらっと出てくる。
渡辺淳一が亡くなった。
ぼくは、渡辺淳一が最後の「流行作家」だと思っていたが、
村上春樹もそうではないかと思った。
うまい。

51cnudzy69l_sl500_aa300_

暗喩が見事。
「孤独はフランスから運ばれ、傷の痛みは中東からもたらされる。
女のいない男たちにとって、世界は広大で痛切な金剛であり、そっくりそのまま月の裏側なのだ」
「女のいない男たちになるのはどれくらい切ないことなのか、心痛むことなのか、それは女のいない男たちにしか理解できない。すてきな西風を失うこと」
特に最後の「女のいない男たち」はわかりにくいが、「すてきな西風を失うこと」というのは見事な表現だ。
本の種明かしはできないが、自分もいつかすてきな西風を失う日がくるんだろうと思った。
本質を書こうとしている村上春樹の作品から、読者なりの本質を読み取れればいい。
一歩間違えれば、通俗小説のようだが、ぎりぎりのところで人間の不思議な心やどろどろした心を表現している。
やっぱり村上春樹は村上春樹だ。

|

2014年6月 7日 (土)

鎌田写真館~夏じたく

岩次郎小屋のニセアカシア。

2月には、大雪に覆われたが・・・

Dsc_5569


いまは、青々と葉を茂らせている。

Dsc_0007

一面の銀世界は・・・

1404061___1

お田植えがすんだ田んぼが、水をたたえて反射している。

Dsc_0011

もうすぐ夏。
岩次郎小屋は夏じたく。

Dsc_0005

|

2014年6月 6日 (金)

「福島を生きる」シンポジウム

加藤登紀子さんと久しぶりに福島でイベントを行った。
おトキさんのミニコンサートと、鎌田の講演。

1405312___2

それから、飯舘村の菅野村長と、詩人の和合亮一さんも加えた4人で、
「福島で生きる、福島を生きる」と題したシンポジウムを行った。

|

2014年6月 5日 (木)

カレー礼讃

ぼくはカレーが大好き。
週1~2回必ず食べる。
自宅ではスープカレーが多い。
オクラやトマト、ニンジンなどの野菜をチンして、これにレトルト(350円くらいの)のスープカレーをかける。
ちょっと痩せようと思っているときには、ご飯なしで食べる。
ご飯が好きなので、あまり続けない。
いいかげんな炭水化物断ちなのである。

1403301___1 このスープカレーは、北海道のお店で食べたもの

カレーは、アメリカとインドの医師の共同研究によって、ターメリックのなかのクルクミンが認知症の予防になるのではないかといわれている。
この研究によると、アルツハイマー型の発病率は、75~84歳で、アメリカで25.8%に対して、カレーを日常的に食べるインドでは4.89%とかなり低い。
金沢大学の研究でも、クルクミンがアミロイドβタンパクの凝集を防ぎ、40%に抑えることができるという結果が出た。
ただし、マウスでの実験なので、人間に効果があるかは、これだけでは何とも言えないが、
アルツハイマー病の予防の鍵がありそうだ。
ともあれ、おいしいカレー、大好き。

|

2014年6月 4日 (水)

福島の子どもたちを応援

JIM-NETでは、福島県伊達市にある富成地区の子どもたちの「動く英語教室」を応援することにした。
これは、慶応大学が中心に行っているアカデミックキャンプ。
富成小学校に呼びかけた結果、4~6年の18人中15人から応募があった。
みなさんから応援をいただいているお金を活用し、この「動く英語教室」をバックアップしようと考えている。
1406036___2_2
JCFでも、郡山市の音楽をしている子どもたちに呼びかけ、サイトウキネンフェスティバルの時期に、信州でクラシック音楽合宿をしようと計画している。
夏休み、福島の子どもたちに英語や音楽、スポーツなどを通して、他県の子どもたちと交流することはとてもいいことだと思う。

|

2014年6月 3日 (火)

鎌田實の一日一冊(205)

「女優」(渡辺淳一著、集英社文庫、907円)

渡辺淳一が亡くなった。
性愛もので人気を高める前には、医療ものや伝記ものをたくさん書いている。
この本は、松井須磨子という伝説的な女優の恋愛と破局を書いている。
「失楽園」を書いたときの渡辺淳一の雰囲気とはまるで違う。

51k14yszhql_sl500_aa300_


ベストセラーになった「鈍感力」も買って読んだが、あまりおもしろい本ではなかった。
ネーミングのうまさや、小泉さんがふれたことが大きいのだろう。
渡辺淳一の真骨頂は、「失楽園」や「愛の流刑地」なんだろう。
もう5年ほど生きて書いていたら、谷崎潤一郎みたいになったのではないか。
渡辺淳一さんの担当編集者から話を聞くと、とにかくやさしくて面白く、やんちゃ。
酒好き。女好き。
書くために女性を口説いていたのか、女性が好きだから書けたのか。
どっちが先がわからないが、それでも憎めない人。
そういう魅力のあった人なんだろう。

|

2014年6月 2日 (月)

原発事故564

福島県の県民健康管理調査検討委員会が、久しぶりに健康調査の結果を発表した。
それによると、福島県内の18歳以下の子どもで、甲状腺がんと診断された人数は50人、疑いのある例は39人となった。
今までの経過から、疑いのある例の8割くらいはがんの可能性が高い。
しかも、これは、福島県の37万人の子どものうち、29万人の検査を行った段階での話である。
今後も、まだまだ数は増えるだろう。

1405162___2

相変わらず検討委員会は、甲状腺がんと福島第一原発事故は関係ないだろうと言っている。
その大きな理由に、他県との比較がある。
青森、山梨、長崎三県の18歳以下の4365人のうち、甲状腺がんと診断された人は1人だった。
この割合は、0.02%となる。
今回の福島の発表では、50人+39人=89 を29万人で割ると0.03%。
この違いは大きな開きがなく、特に福島県の子どもに甲状腺がんが多いとはいえないとしている。
ただし、4365人というのは分母が少なすぎる。
これで比較するのは正確ではないと思う。
記者会見のとき、検討委員会全体が当初、チェルノブイリでは4年経たないと甲状腺がんは発生していないから、それ以前に発生したものは関係ないと言っているとすれば大きな間違い、それでは検診の意味がなくなる、とある委員が発言していた。
正しい視点である。
「4年」というのは単なる思い込み。
チェルノブイリでは検診が行われていなかったため、発見できなかったにすぎない。
結局、今のところ、福島の子どもの甲状腺がんと原発事故の因果関係は、あるともないともいえない、というのが科学的なスタンスである。
しかし、わからないからこそ、早期発見をするために、検診の質とスピードを高めていくことが大事なのである。

|

2014年6月 1日 (日)

「ほうれんそう」増刷

「ほうれんそうはないています」(ポプラ社)の増刷が決まった。
「原発事故をこれだけのものにまとめた鎌田さん、長谷川さんに拍手です」
「鎌田さんの文と、長谷川さんの迫力ある絵がうまくコラボしています」
「原発事故は子どもたちへの負の遺産。わかりやすく伝えてくれている」
この絵本を実際に手にした方が、ブログ、ツイッターなどで紹介してくれている。
5/23の日本海新聞でも、紹介された。

20140528_001_2

|

« 2014年5月 | トップページ | 2014年7月 »