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2014年7月

2014年7月31日 (木)

4回目の夏

JCFは震災後、福島支援を行ってきた。
健康診断、保養、放射能の見える化を訴えながら、福島の子どもたちの健康を守る活動を行っている。
2011年から毎年、福島の子どもたちを信州に呼んで支援してきたが、
今年は福島ジュニアオーストラの子どもたちを、信州に呼ぶことにした。
長野県とタイアップしながら、松本でのサイトウキネンフェスティバルに参加できるよう準備をすすめているところだ。
長野県や松本市の支援、フェスティパルのスタッフのご厚意で8月に実現しそうだ。
子どもたちにとって、世界的な音楽家の指導を受けられ、夜には本物のオペラを鑑賞できるという体験はすばらしいものになると思う。
もしかしたら、小澤征爾さんが体調さえよければ、子どもたちに会ってくれるのではないかとの話も。
ありがたいことである。

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JIM-NETでも、福島のある地域の子どもたちを支援しているが、
今年は、保養もかねて、富士山麓での英語合宿を実施することになった。
震災から4回目の夏になり、ただ福島を離れればいいというプログラムでは、参加しにくい雰囲気がある。
知らない場所に行き、知らない人たちと出会って、見聞を広げ、人生の土壌づくりになるような夏の思い出になれば、と思う。
JCF、JIM-NETともにご支援をお願いいたします。

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2014年7月30日 (水)

私はガザ市民である

ガザ地区で、多くの子どもたちが犠牲になっている。
人口密集地で、子ども4人が死亡したが、そのときは一回は無人機による攻撃、一回は空爆によるものだった。
無人機は、画像を見ながらコントロールしているので、子どもかどうかわかっているはず。
避難所になっている学校も砲撃している。
イスラエル軍の攻撃はかなり問題がある。
こういう攻撃を繰り返しているから、世界からの共感が少ないのだろう。
ハマスのロケット弾攻撃には、納得できない気持ちもわかる。不安もよくわかる。
しかし、このままでは暴力の応酬がつづき、子どもを含む多くのガザ市民が犠牲になるばかりだ。

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米国大統領のケネディは1963年、壁に囲まれていた西ベルリンで、「私はベルリン市民である」と演説し、自由を訴えた。
いま、パレスチナも壁に囲まれ、イスラエルによる占領と入植に苦しんでいる。
「私はガザ市民である」と、ガザの現実に共感してみることが大切だ。
ガザ市民一人ひとりに「生活」があったはずだ。
それは、イスラエル人も、パレスチナ人も、そして日本人も世界の国々も同じように尊いはずだ。
暴力と憎しみに拘束されたイスラエルとパレスチナ。
この暴力と憎しみから自由になるには、双方とも相手の身になって、勇気をもって、攻撃を止める決断をしてほしい。

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2014年7月29日 (火)

「憎まない」という処方

「それでも私は憎まない」(亜紀書房)の著者でもある医師イゼルディン・アブエライシュさんは、2009年のイスラエル軍のガザ攻撃で3人の娘を殺された。
その彼が、グローブ・アンド・メール紙に手記を寄せている。
その一部を紹介する。

「歴史が繰り返されるようで、私は怒りと痛みを感じる。
2009年に殺害された3人の娘の血は乾かなったし、傷はいやされなかった。
そのために我々は尊厳、正義、そして平和への対局にある病気に苦しんでいることを認める勇気が必要なのだ。
戦いはパレスチナ人、イスラエル人として私たち全員にとって、脅威と敵である占領に対して向けられるべきである。
イスラエルの指導者は、軍事的手段によって紛争を終わらせることに失敗したことを、勇気をもって認めなければならない。
やるべきことは占領を終わらせることだ。

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情熱的で有能な医師として我々はまず病気を食い止める必要がある。
病気を食い止めるために我々は両側における暴力の停止を処方する。
しかし、たとえ、一方の側でも、暴力が停止すれば、暴力の食い止めははじまる。
我々が処方できることは一つに、占領と爆撃から来る、より大きな暴力の停止である。
それはまた、ある程度、相互の憎しみと暴力を停止し、
両側の憎しみを食い止める。
もう一つは憎しみの抵抗である。
患者は勇敢、公正であり、だれかが暴力行為にさらされたとしても、憎しみにとりつかれてはならない。
それでもって、私たちは、病気を治癒しはじるめることができる。
その治療は、人々がお互いに尊重し合い、人権侵害・剥奪、屈辱、嫌がらせ、非難、悪口、ヘイトスピーチに
終止符にを打つことが要求される。

市民であり、医師である私たちの責任は、正しい診断を行い、思いやりと勇気をもって正しい処方を書くことだ。
患者が絆創膏のような対症療法を許してはならないし、我々が絆創膏のみを処方するように誘惑されてもいけない。
我々はそうする医師に対して批判的でなければらない」

今年2月、来日した彼と講演会を開いたが、彼は「憎しみは病気」だと語っていた。
憎しみは、屈辱や嫌がらせ、剥奪、拷問によって引き起こされる。
そして、その憎しみは次なる暴力によって仕返しされていく。
この繰り返しのなかで、憎しみと暴力は増幅されていく。
現在のイスラエルとパレスチナの関係をつくっている憎しみのおおもとは、イスラエルの占領にあると彼は主張しつづけている。
その通りだと思う。
イスラエル側の占領がなくなれば、パレスチナ側からロケット弾攻撃もなくなる。
暴力の応酬を根本的に止めるためには、イスラエル側が占領を止めること。
これがイゼルディンさんの主張である。
ぼくも同感である。

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2014年7月28日 (月)

緊迫のイラク⑫

イラクの首都バグダッドにいるJIM-NETのスタッフのアブサイードさんからメールが入った。
ファルージャに住むアイド君(14歳)は、ISISの総攻撃が始まった時、バグダッドに避難した。
ファルージャに戻ろうと、チェックポイントを通過しようとしたとき、政府の警察官から疑いをかけられた。
「ISISのメンバーだろう」と、脅されたのだ。
お母さんが、「ISISとは関係ない」と必死に泣き叫んで、やっと解放されたという。

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14歳の子どもまでもが、スンニ派の過激集団ISISの兵士と疑われている。
イラク国内は、シーア派、スンニ派、クルドの3つに分かれ、お互いが疑心暗鬼になっているのだ。
自爆テロや想像を超えた攻撃が不安を生み、その不安がさらなる暴力を生んでいる。
地獄である。

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2014年7月27日 (日)

ロシア料理店で

新宿のスンガリーというロシア料理店に招待され、
加藤登紀子さんと画家の田村能里子さんらと食事をした。
ボルシチも、肉料理もおいしかった。
特に壺焼きのクリームスープは絶品だった。
ぼくはチェルノブイリ医療支援のために、ロシアやベラルーシ、ウクライナなどを訪ねるが、どんなに小さな町の小さな店でも野菜の豊富さに驚く。
なかでもグルジア料理はおいしい。

140722__ 左から田村能里子さん、カマタ、加藤登紀子さん(ロシア料理スンガリーで)

田村さんの壁画はもともと好きだったので、どんな方なのか楽しみにして行った。
映画やアフリカの話など、話は転々。
一つひとつの中身が濃い、楽しい時間となった。

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2014年7月26日 (土)

格差社会

厚生労働省の国民生活基礎調査によると、17歳以下の子どもの貧困率が過去最悪の16.3%となったことがわかった。
大人も含めた相対的貧困率は16.1%で、こちらも過去最悪である。

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今回の等価可処分所得の中央値、つまり貧困線は年間122万円。
この122万円に満たない人が16.1%いるということである。
日本の貧困問題も、大きくなってきたことがわかった。

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2014年7月25日 (金)

緊迫のイラク⑪

リカア先生がモスルから日本に来ることが決まった。
キリスト教徒のリカア先生は、モスルでは危険にさらされている。
スンニ派のISISは、キリスト教徒の家に、キリスト教徒であることを示すマークを書き、
電気を止め、食糧やオイルの配給をしない、給料のカットするという差別を行っている。
いつ惨殺されるかわからないという恐怖のもと、リカア先生は国を去ることを決めた。
File_237 以前訪れたときの、イラク・アルワリードの難民キャンプ

自由が認められない世界は、必ず衰退し、本格的な戦争になる。
この世界をなんとか変えないといけない。
とにかく、リカア先生とお母さんの命を守りたい。

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2014年7月24日 (木)

健康寿命をどう延ばすか

厚生労働白書によると、健康寿命(平成22年)が男性で70.42歳、女性が73.62歳であることがわかった。
健康寿命とは、介護などを受けずに自立して生活できる期間。
平均寿命との差が大きいほど、介護や医療が必要になる。
平均寿命まで男性は約9年、女性は約13年となり、この期間は0.4年拡大している。
いかに健康寿命を延ばすかが重要だが、
食生活に注意していない人が31.2%いるというのも見逃せない。
厚生労働省は健康寿命を延ばして、医療や介護の費用を抑えるために、生活習慣病の予防に重点的に取り組む必要があると方針を打ち出すことにしているという。

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自分自身の最期はどこで迎えたいかという問いに、約50%が「自宅」と答えているが、
実際には8割が「病院・診療所」、という調査も気になった。
厚生労働省の国民生活基礎調査では、老老介護の実態も見えてきた。
65歳以上が65歳以上の人を介護する割合は51.2%、75歳以上が75歳以上を介護する割合は29%にもなり、
年々増加している。

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2014年7月23日 (水)

死の商人

国家安全保障会議(日本版NSC)で、ミサイルの部品をアメリカに輸出することが決まった。
この部品は、迎撃ミサイル・パトリオット2の部品になり、イスラエルやカタールに売られていくらしい。
完成品の販売先は、アメリカの責任という。
とんでもないことだ。
日本の部品がアメリカ経由でイスラエルでの戦闘に使用される可能性がある。
ガザ地区の市民たちを殺す武器になってもよいのだろうか。

Dsc_0758 2010年に訪れたガザ地区

戦後、日本は「武器輸出三原則」により、武器を売らない方針を貫いてきた。
が、この4月に゛防衛装備移転三原則」が導入され、はじめて武器の部品が輸出される。
有り余った兵器は、世界中に戦争の火種を作っている。
ときには、その兵器を売らんがために、リーダーをそそのかし、戦争に持ち込む。
膨大な利益が、武器産業に転がり込むのである。
日本は、そのお先棒を担ぐことになる。
今の政府は、この国をいったいどんな国にしようとしているのだろうか。

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2014年7月22日 (火)

お知らせ

●Peace On Earth【未来への村】ダイアログ勉強会
- 南相馬“騎馬武者ロックフェス”応援企画 -

「今、福島そして南相馬で生きること」

日時: 8月12日(火)19時ー21時半
会場: 代官山 風土カフェ「山羊に聞く?」 http://yagiii.com/
参加費: 1000円+ワンドリンク

お話し: 鎌田實(医師)、加藤登紀子(歌手)、近藤能之(南相馬よつば保育園)、鎌田千瑛美(福島ピーチハート)、SUGIZO(音楽家/LUNA SEA)、 花男(フェス出演者/太陽族)、南相馬から、 騎馬武者ロックフェス実行委員会のメンバーも参加します!
ファシリテーター:森雅浩(日本ファシリテーション協会)

予約: 風土カフェ「山羊に聞く?」http://yagiii.com/
TEL: 03ー6809ー0584(14時以降) 
Eメール: info@yagiii.com

最大でも定員60人程度を想定しています。

「311東日本大震災 市民のつどいPeace On Earth」では盛大な集いとなった3年目のこの春の開催で、あらためてこれからも、震災復興と、自然エネルギーの未来へ、社会とアーティストの場づくりを続けていくことを確認しました。 その後も実は、これまでも関係者で小さな勉強会を続けてきたのですが、今回、はじめて色々な方々に広く参加してもらえるダイアログ勉強会を開催します。

詳しくはこちら:http://www.peaceonearth.jp/

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ガザ地区、一刻も早い停戦を

ガザ情勢が深刻化している。
イスラエルの空爆と地上戦による一連の戦闘の犠牲者は、500人を超えた。
地上戦がはじまる前、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の保健局長、清田先生にガザの情勢を聞いた。
ガザの北側と東側に住んでいる人たち2万3000人が、イスラエルの空爆や今後行われるかもしれない地上戦を恐れて、
UNRWAの運営する学校に避難している。
紳士協定で、学校には攻撃しないことになっているという。
その後、地上戦がはじまり、避難民は6万人にもなっている。

Dsc_0742 ガザ地区の子どもたち(2010年撮影)

エジプトが停戦案を出し、イスラエルは受け入れたが、ハマスは拒否している。
アメリカのケリー国務長官も停戦に向けて動いているが、基本的にイスラエル側についているので、
ハマスを説得することができない。
ハマスに資金援助をしているカタールを訪問するなど停戦を探っている。
資金が途絶えると、停戦の可能性が出てくるからだ。
ハマスがなかなか停戦に応じないのは、それだけ追い込まれているからだと思う。
ハマスはエジプトとガザをつなぐトンネルに通過税をかけて収入としてきたが、
エジプトのシシ政権はトンネルを封鎖。
収入源を絶たれた。
そのため、この3か月、ハマスは公務員に給料を払っていないという。
教育も社会保障も追い込まれている。
ハマスは戦争をすることで、意識を外に向けさせようとしているのではないか。
戦い続けることで、ハマスの存在を必要とさせようとしている。
しかし、いちばんはイスラエル側がパレスチナ自治区に占領を続けていることが問題だ。
占領を止めさえすれば、いくらハマスでも停戦に合意するだろう。
この地に平和をもたらすには、両者が歩み寄り、大人になることだと思う。

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2014年7月21日 (月)

100回目

JCFではチェルノブイリの放射能汚染地域への医療支援を続けているが、このほど100回目の医療支援団を出し、無事に帰国した。
今回は、医療技師でもあるJCFの理事と、神谷事務局長が、ベラルーシの汚染地域の地区病院に、心電計や血液検査の試薬などを届けた。

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地区病院では、ウクライナ製の心電計を使っていたが、情勢混乱のため心電図の記録用紙が手に入らなくなってしまった。
今回は、心電計に記録ソフトをセットアップし、記録用紙がなくても、コンピュータの画面上で波形を確認できる。
一日50件の検査が行われており、心電計は大活躍だ。
また、ゴメリ州立病院の産婦人科小児科病院にはナージャ院長の要望により、一年分の血液検査の試薬を届けた。
この様子はこちら↓
ナージャ院長は100回目の支援を記念し、地区病院の庭に2本の桜を植樹。
一本はこれまでの支援に感謝を、もう一本はこれからの友情を込めたという。
これもJCFを支援してくださる多くのみなさんのおかげで、ここまで続けることができた。
今後も支援を続けながら学んだことを、福島での支援につなげていきたいと思う。

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2014年7月20日 (日)

お知らせ

「いのちの伴走者として生きる」(監修・鎌田實、ドリームシップ社、1512円)

諏訪中央病院の看護師や理学療法士、作業療法士、助産師ら若き医療人たちの姿が紹介されている。
患者さんにもそれぞれの物語があるように、患者さんを支える医療者たちにも物語がある。

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2児の母から看護師になった女性は、子育てをしながらも、なぜこんなに全力投球できるのか、看護という仕事の魅力を語る。
心を閉ざしていた難病男性が打ち解けた瞬間に、「その人の内側に少しだけ近づいた」と表現する看護師もいる。
ときにはいい笑顔、ときには真剣な顔で、患者さんと接しながら、
生きがいをもって仕事をしているプロフェッショナルの姿が見えてくる。
進路を迷っている高校生や、医療を志した卵たちにも、ぜひ読んでもらいたい。

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2014年7月19日 (土)

内閣人事局の力

霞が関に女性局長が次々と誕生している。
女性が活躍できる場が広がるのは、とてもいいことである。
しかし、心配なこともある。

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この人事は、昨年秋に成立した公務員制度改革関連法に基づいて創設された「内閣人事局」による、初めての人事である。
安倍首相の「女性力の活用」が実現したのはいいが、官僚の人事に、首相や官房長官が力を持ちすぎるというのは問題も大きい。
現政権に協力的ではない官僚などは、おそらく要注意のマークが貼られるだろう。
官僚も、政治家のいいなりになっていくのではないかという懸念がある。
そうやって、政治家と官僚が一体となり、自分たちの“特権階級”を維持していこうとするのではないか。
さらに、経済人の一部がコミットし、経済という力を武器に、彼らにとって都合のいい国になっていく。
政治主導で、「決断できる政治」ととらえるか、「安倍さんのいいなりの人事」ととらえるか。
言いたいことが言えるシステムをつくっていかなけば、いずれ日本は大きな過ちを犯す。

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2014年7月18日 (金)

ヘンな人

総務省がおもしろいことをはじめた。
ヘンな人を募集するという。
情報通信分野で独創的なアイデアをもつ人材を発掘し、育成する事業「異能ベーション」だ。
アップル社のスティープ・ジョプズのような、ちょっと変だけど、独創的な発想ができる人を対象に、一人当たり年間300万円を上限に、研究開発費を助成する。

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近刊「人間らしくヘンテコでいい」(集英社)では、変な人の力が、元気でいきいきとした活力を生むということを書いた。
総務省もやっとそのことに気が付いたようだ。
何から何までできないと、日本では○をもらえないが、
一つだけ特別に何かができるというのはとても魅力的なのだ。
そんな異能の人が生き生きと活躍できる世の中になったらいいなと思う。

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2014年7月17日 (木)

エボラ出血熱流行

西アフリカでエボラ出血熱が流行している。
実は、今年の夏はモロッコに行った後、シオラレオネに行く予定だった。
シオラレオネは世界の最貧国で、平均寿命が最も短い国といわれている。
長寿国日本と何が違うのか、自分の目で見てみたいと思ていた。
しかし、ギニアで3月から流行したエボラ出血熱は西アフリカに拡大。
今回の渡航は断念した。
WHOによると、感染が疑われる人は888人、このうち539人が死亡したという。

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エボラ出血熱は、2~21日の潜伏期があり、感染に気づかないまま移動し、感染を広げている可能性がある。
症状は40度近い発熱、激しい下痢、嘔吐、全身倦怠、筋肉痛などが起こり、進行すると口腔、結膜、皮膚、消化管など、全身で出血する。
血液が凝固ができなくなり出血が止まらず、多臓器不全を起こす。
ウイルスの致死率は高い。
ジビエなどからも感染するという。
予防のためのワクチンはない。
当初の計画では、シオラレオネの後、ピースボートに乗船する予定だった。
西アフリカからピースボートに乗り、洋上で講演して、スペインから飛行機で帰ってくる予定だった。
しかし、万が一、感染し、ほかの人に迷惑をかけてはいない。
今回のシオラレオネ行きは断念し、ピースボート乗船は日程を変更しなおしている。

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2014年7月16日 (水)

緊迫のイラク⑩

北イラクのモスルがISISに支配されているが、モスル大学にあったウラン化合物40キロが
過激派組織に奪われたという。

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ぼくたちは、このモスルにある地区病院で白血病の子どもたちを支援してきた。
もともとスンニ派の人たちが多い地域である。
そこへ、スンニ派過激派組織がってきて制圧した。
シーア派のイラク政府の手が届かなくなり始めている。
なんとかしないと大変なことになる。

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健康長寿のヒミツ

「元気いちばん」(2014年8月号、芸文社)では、長野県民を長寿日本一にした5つの秘密大公開と題し、
健康長寿のコツを特集している。
鎌田は、減塩アイデアや海なし県でもいい油をとるコツなどについて、
信州大学の能勢先生は、インターバル速歩について紹介している。

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興味のある方はぜひ、お読みください。

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2014年7月15日 (火)

緊迫のイラク⑨

イラクのアルワリードの難民キャンプが崩壊し、難民たちはシリアやヨルダンの国境に逃げている。
ヨルダンはゲートを封鎖して、難民が入ることを拒んでいる。
行先を失った難民たちの支援のため、JIM-NETの佐藤真紀事務局長が現地に入った。
一方、シーア派のシリア政府軍は、スンニ派の過激派集団ISISの攻撃のため空爆している。
しかし、その犠牲になるのは罪のない一般人だ。
佐藤事務局長によると、近くにヨルダン軍、イラク軍の戦車も見え、いつシリア軍の空爆がはじまるかわからない状態だという。

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ボスニアヘルツェゴビナはかつてボシュニャク人とクロアチア人、セルビア人の3民族で割れ、
凄惨な内戦を繰り返していた。
いまシリアとイラクで起きているのは、スンニ派の過激派と、それを抑え込もうとするシーア派、そして長い歴史のなかで迫害されてきたクルド人という三つ巴の戦いだ。
その戦いの犠牲になるのは、一般人であり、子どもである。
人類はそろそろ民族や宗教、宗派の違いを乗り越える力を身につけなければいけない。
そうしない限り人類の未来はないように思う。

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2014年7月14日 (月)

中東が危ない

イスラエルとパレスチナが大変な状況になっている。
このブログでもきな臭い状況は時々、触れてきたが、
ついに不完全燃焼でくすぶっていた状態から発火し、一気に燃え広がりそうだ。
中東が危ない。

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パレスチナのハマスは、イスラエル側の原発のあるディモナ市に向けてロケット弾を2回発射した。
対空防衛システムで迎撃できたが、その報復にイスラエル軍はガザ全域を爆撃している。
ガザでは、死者は少なくとも80人、負傷者は600人を超えている。
イスラエル軍は予備役1万4000人を招集し、地上戦も考えているようだ。
早く手を打たないといけない。
両者は不信感を募らせている。

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お知らせ

7/29、30、東京ビッグサイト西3・4ホールで、「高齢者住宅フェア2014 in東京」が開かれる。
そこに出展する積水ハウスは、高齢者住宅セミナーを同時開催。
セミナーでは、鎌田實が健康や命の絆について講演する。
高齢者住宅セミナー
 「生きているってすばらしい~住まい・健康・命・絆を考える」
日時 2014年7月30日 14.0~15.30
入場、セミナー聴講無料

ぜひ、お出かけください。

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2014年7月13日 (日)

泣きながら抵抗を始めよう

7/10の毎日新聞に、なかにし礼さんの詩が掲載された。
とてもいい詩である。
若者を戦場へ送っていけないという、ゆずれない強い思いが伝わってくる。
この国はおかしい方向へ向かっているのではないか。
どんなことがあっても、戦争に巻き込まれたりしない国にしたい。
69年間、戦争をしなかった国。
これをどう続けるか。
いまぼくたちの国は土俵際に立っている。

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なかにし礼さんの詩の一部を紹介しよう。
平和の申し子たちへ! 泣きながら抵抗を始めよう

二〇一四年七月一日火曜日
集団的自衛権が閣議決定された
この日 日本の誇るべき
たった一つの宝物
平和憲法は粉砕された
(中略)
そしてまたあの
醜悪と愚劣 残酷と恐怖の
戦争が始まるだろう
ああ、若き友たちよ!
巨大な歯車がひとたびぐらっと
回りはじめたら最後
君もその中に巻き込まれる
いやがおうでも巻き込まれる
しかし君に戦う理由などあるのか
国のため? 大義のため?
そんなもののために
君は銃で人を狙えるのか
君は銃剣で人を刺せるのか
君は人々の上に爆弾を落とせるのか
若き友たちよ!
君は戦場に行ってはならない
なぜなら君は戦争にむいてないからだ
(中略)
もっともか弱きものとして
産声をあげる赤児のように
泣きながら抵抗を始めよう
泣きながら抵抗をしつづけるのだ
泣くことを一生やめてはならない
平和のために!

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2014年7月12日 (土)

夏休みの本

「ほうれんそうはないています」(ポプラ社)が、第47回夏休みの本「緑陰図書」に指定された。
これは、全国学校図書館協議会が、夏休みにこそ読める長編、気軽に読める短編、夏の季節を味わえる図書などを、
小学校の低・中・高、中学、高校のグレードごとに8冊、計40冊を毎年選定しているもの。

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学校図書館速報版や図書館通信、毎日新聞などで紹介されている。
ありがたいことだ。
夏休み、子どもとお母さん、お父さんが一緒に読んで、考えてもらえるとうれしい。

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2014年7月11日 (金)

お知らせ

7/13の「久米書店」(BS日テレ、18.0~18.54)に鎌田實が出演する。
「下りのなかで上りを生きる」(ポプラ新書)について、久米宏さんと壇密さんが斬り込むインタビュー番組だ。
お二人とも、ぼくの本をしっかり読みこみ、付箋をたくさん貼って質問の嵐。
壇密さんは本好きということで、クレバーな方だと思った。
久米さんは相変わらず直球勝負。
楽しい一時間だった。

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収録は、スタジオではなく、好奇心の森「ダーウィンルーム」という都内のすてきな本屋さん。
撮るだけで、見ていない。
どんな番組になるか、ぼく自身も楽しみだ。
ぜひ、ご覧ください。

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2014年7月10日 (木)

鎌田實の一日一冊(209)

「へいわってすてきだね」(安里有生、長谷川義史、ブロンズ新社、1512円)


6歳の少年の詩を、長谷川義史さんが魂で描いた。
すごい絵本だ。
少年が自分の暮らしのなかで見た「平和」。
この豊かな時間をどうしたら続けることができるか、問いを投げかけている。

        へいわってなにかな ぼくはかんがえたよ。
おともだちとなかよし。
かぞくがげんき。
えがおであそぷ。
ねこがわらう。
(中略)
ああ、ぼくはへいわなときにうまれてよかったよ。
このへいわがずっとつづいてほしい。
みんなのえがおがずっとつづいてほしい。
へいわなかぞく、
へいわながっこう、
へいわなよなぐにじま、
へいわなおきなわ、
へいわなせかい、
へいわってすてきだね。

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長谷川義史さんの絵は、大胆で明るくて悲しく、思いやりがある。
「ほうれんそうはないています」(ポプラ社)も迫力であったが、今回の絵本もとてもすてきだ。
イラクやシリア、ウクライナ東部の町など世界のそこらじゅうで、平和が危うくなっている。
みんながもう一度、平和な日々を守らなければならない。
もちろん、この大好きな日本の平和も。

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2014年7月 9日 (水)

原発事故567

各電源の発電コストを比べると、
石炭火力が1キロワット当たり10.3円
液化天然ガスが、10.9円
原子力は、製作コストと福島第一原発の事故対策費11兆円を加えると、11.4円となり、いちばん高くなる。

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原発が最も安いというのは、もはや幻想である。

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2014年7月 8日 (火)

電子書籍「がんばれなくて、いいんだよ」

Ganbarenakuteがんばれなくて、いいんだよ

電子書籍にて、新刊が発売されました。

キクタス『10分で読めるモバイル講演録』シリーズの 第10回ゲストとして鎌田のインタビューが掲載されています。

厳しい養父に育てられた幼少時代、 患者さんに「がんばれ」と言えなくなった理由、 パニック障害になって分かった人間の限界から、 日本はなぜ世界から遅れだしているのかまで、色々なお話をしました。

特典として、お申込みいただいた方には書籍の元となったインタビュー音声も無料でついてきます。 スマートフォンなどでぜひお気軽にご覧ください。

■がんばれなくて、いいんだよ。/鎌田實 (10分で読めるモバイル講演録第10巻) http://j.mp/10mobile_kamata_10

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命の授業

「教科書にない一回だけの命の授業」はぼくのライフワーク。
全国の学校を回り、生徒たちに命の大切さを伝えている。
震災の後からは福島、岩手などの学校を訪ねてきたが、
今年は宮城。
東北学院榴ケ岡高校では1000人、仙台南高校では100人の父兄聴講を含めて1000人の高校生らに、自由の大切さについての授業をした。
自分の自由を大切にしなければいけない。
そのためには他人の自由を認めること。
他人の自由を認められるようになるには、相手の身になること。そして、自分の自由を守るためにときには勇気が必要なことを語ってきた。

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生徒も父兄も、熱心に聞き入ってくれた。
特に、仙台南高校は中間試験の最終日だったが、ほとんどの生徒が目を輝かせて聞いてくれた。
いい反応があるとうれしくなる。
6月29日は母校の東京都立西高、30日は地元の茅野市立東部中学でも講演。
若い人たちと触れ合うのは楽しみでもある。

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2014年7月 7日 (月)

緊迫のイラク⑧

シリア軍が越境攻撃を開始し、10年前からJIM-NETが支援してきたアル・ワリードのキャンプが崩壊した。
ここにいた100人以上の難民は、とりあえずヨルダン側のノーマンズランドに避難したが、テントもない状態だという。
難民ヨルダンへの入国を希望しているが、ヨルダン側は入国を拒んでいるとのこと。

File_247 以前のアル・ワリードの難民キャンプの様子

シリアはシーア派、イラク北部で次々に町を制圧しているのはスンニ派の過激派集団ISISである。
いよいよシリアとイラクの両国にまたがって、内戦に近い状態になりはじめている。
ISISが制圧したモスルでは、イラク軍の空爆がはじまったという。
空爆がはじまると、一般市民の被害は拡大する。
内戦状態はさらに混乱していく可能性がある。

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2014年7月 6日 (日)

小銭入れ

手帳カバーやトートバッグなど、いろいろなパッチワーク作品を作ってくれる遠藤さんが、
今度は、小銭入れを作ってくれた。

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ファスナーを開けると、中は3つに仕切られ、とても使いやすそう。
恒例のカマタのイラストも刺繍されている。
ありがとう。

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2014年7月 5日 (土)

緊迫のイラク⑦

イラク北部3県からなるクルド自治政府が独自に原油輸出を始めた。
これは、イラクの崩壊の第一歩になる可能性がある。
ISISによる混乱の機に乗じて、クルドが独立しようとすると、
イラクは内戦状態になる可能性が高くなる。

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現政府は、北部にある油田が命綱である。
クルド自治政府は、自治を認められていないキルクーク油田に軍を進駐させ、
自治区外の石油利権も手中に収めようとしている。
これはかなり厄介なことである。
イラクが一つの国に治まるかどうか、重要な土俵際に来ていると思う。
                        ◇
  
アルビルのJIM-NET事務所はてんてこ舞いだ。
看護師の田村さんが応援に入ってくれていたが、交代で、JCFの理事である看護師の国井さんが応援に入る。
JIM-NETからは澤田さんが北イラクへ向かい、ジャーナリストの村田さんが取材や支援のためにアルビルに入ってくれている。
シリア難民の支援に加え、今回、北イラクから避難してきた人々の支援をしているJIM-NETに、
ぜひ、ご支援をお願いします。

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2014年7月 4日 (金)

緊迫のイラク⑥

ISISは約1万人の兵士といわれている。
イラク北部の制圧した地域は、スンニ派の地域なのでやりやすかったと思われる。
それに対するイラク政府軍は、陸軍だけで27万人、武装警察も含めると90万人近い。
長期戦になったときに、ISISが勝ち続ける可能性は低いのではないか。
ただし、問題はクルドだ。
クルドが、今までどおり、イラク内で自治を認めてもらえたらいいというのであれば、いずれ治まると思うが、
この機に乗じて、独立しようとするならば、スンニ派とシーア派、クルドが三つ巴の戦いになる可能性がある。
その意味では、クルドが大人の判断をしてくれることが鍵をにぎっていそうだ。

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今回の原因の一つは、マリキ政権がシーア派を優遇してきたことにある。
シーア派とスンニ派、クルドの3つが、バランスよく共生できるような政治をしないかぎり、
どうしてもフラストレーションがたまる。
マリキ政権は、丁寧なかじ取りが必要である。

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2014年7月 3日 (木)

ロビンス博士講演会のお知らせ

エイモリー・ロビンス博士は、40年以上にわたり、米国エネルギー省や世界各国の政府機関などでアドバイザーを務める、エネルギー政策の世界的権威。
近著「新しい火の創造」(ダイヤモンド社)では、石油・石炭・原子力を使わず、天然ガスも現在の3分の1に抑えながら経済成長を遂げる、2050年への具体的な道筋が描かれている。
そのロビンス博士が、東京で講演会を開く。

ロビンス博士が語る「新しい火の創造」
日時 2014年7月18日 15.00~16.30(会場14.30)
会場 東京都港区六本木5-11-16 国際文化会館 講堂
参加費 サポーター2000円 非サポーター2500円


主催は、一般社団法人自然エネルギー推進会議。鎌田も賛同人になっている。
当日は、代表理事の細川護煕氏、発起人代表の小泉純一郎氏も出席する。
申し込みは7/4正午までに、こちら↓申し込みフォームから

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2014年7月 2日 (水)

緊迫のイラク⑤

北イラクの混乱が始まってから、ぼくたちはリカア先生のことが気になっていた。
というのも、リカア先生は北イラクのカルクーシュにおり、お母さんや弟さん夫婦も住んでいる。
リカア先生からのメールによると、その日は48時間停電が続いていたとか。
病院もほぼマヒ状態。
自宅にいる患者とも連絡がとれない。
セキュリティーはひどい状態で、誘拐が頻発している、というかなり混乱した様子だ。
そんななかで、真っ先に苦境に陥るのは病人や子どもなど。
慢性骨髄性白血病の薬であるタシグナがなくなり、まったく手に入らなくなって困っていると、リカア先生は訴えていた。
ぼくたちも、この薬を北イラクへ送ることを考えているが、カルクーシュはISISに制圧され、大変な事態になってしまった。

Img_1293 無事にカルクーシュから逃れてきたリカア先生とそのご家族


まずは、リカア先生とご家族をどうやって助けたらいいのか。
現地のスタッフも、日本のスタッフも心配していたが、
先日、JIM-NET事務局のあるアルビルまで無事に避難することができた。
しばらく、この事務所で生活してもらうことになる。
まずは生き延びること。とにかく命が大事だ。

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2014年7月 1日 (火)

緊迫のイラク④

アルビルのJIM-NET事務所では急激に広がっているシリア難民の救援と、
モスルからの国内避難民のサポートにてんてこ舞いである。
モスルからアルビルに逃げてきた6歳のナダーちゃんは、1か月前から体調が悪化していた。
まともな治療を受けていない。
モスルとアルビルの間のボーダーでは、
10万人を超える国内避難民が足止めをくっている。
ナダーちゃんは、診断書があったためにボーダーを超えることができ、ナナカリ病院で白血病と診断され、治療をスタートすることができた。
少しだけほっとしたものの、お母さんは、モスル郊外の村に残してきた夫と6人の子どものことが不安でならない。

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現地の田村看護師からの報告では、当初、かなりぐったりしていたナダーちゃんだが、少し元気が出てきたようだ。
これから白血病の化学療法を開始するという。
福島の赤ベコをプレゼントしたら、牛の首をゆすって、笑顔を見せた。
                     ◇
JIM-NETではイラクの子どもの医療支援や、シリア難民支援をしています。
ぜひ、ご支援をお願いします。

ご寄付・問い合わせはこちらから

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