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2014年9月

2014年9月30日 (火)

カマタの怒り9

~子どもの虐待

2013年度の児童虐待の相談件数は、7万3765件。
前年度の10.6%増である。
児童相談所の所長が、虐待する親の親権停止を家庭裁判所に申し立てたのは、16自治体で23件あった。
性的虐待をしていた父親が出所後、施設から子どもを取り戻し、また性的虐待を繰り返す。
ネグレクトで、子どもが脱水や栄養不足のため腎不全になり、透析や臓器移植が必要になっても、臓器移植の登録を取り消そうとする親がいる。
虐待には、身体的暴力だけでなく、言葉による暴力や、子どもの目の前で家族に対して暴力をふるうDVなど、心理的暴力、無視、差別なども含まれる。

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ぼくたちは心をもったやっかいな動物である。
そのやっかいな動物が、どう生きたらいいたらいいのかは「人間らしくヘンテコでいい」(集英社)で思う存分書いた。
子どものころから「相手の身になる」ということを、徹底的に教えることである。
「1%の力」(河出書房新社)の帯に、「誰かのために生きなさい」と書いたが、
誰かのために生きることが、心を暴走させないための最後の砦になる。

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2014年9月29日 (月)

カマタの怒り8

~省エネ大国ニッポンからの脱落

アメリカのNPO米国エネルギー効率経済協議会が、エネルギー効率をめぐる評価を発表した。
それによると、日本は6位。
なんと、今まで省エネでは遅れているとみられていた中国が4位に入っている。
2020年までに、電気自動車やハイブリッドカーの販売台数を500万台に引き上げる政策などが評価されたという。
中国ではオフィスや住宅で省エネ化も進んでいる。
日本では40年前の石油ショックのときに、省エネ大国になったが、
その後、経済優先に戻り、省エネへの気力を失いだしている。
ただし、2011年の震災後、約8%の電力消費を削減できたことは評価していい。
やればできるのである。

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しかし、大きな流れを見れば、政治の壁がある。
日本の再生可能エネルギーの資源量は、日照時間などを考慮すると、ドイツの9倍になるが、
ドイツは、2020年に原発を止めることを前提として、再生可能エネルギーに力を注いでいるため、圧倒的な差をつけている。
日本がドイツより恵まれた日照時間を生かすことができないのは、電力会社が送電網を支配し、再生可能エネルギーを売電しようとする新規の事業者を事実上、排除してしまうからである。
政権が、電力会社のいいなりになっていては現状を変えられない。
欧米では、原子力の安全性を満たすためにコストが上昇しており、経営戦略上も原発に頼る選択肢はなくなりつつある。
にもかかわらず、日本は再び原発重視に戻ろうとしている。
原発の核廃棄物も無視できない問題だが、
省エネという観点からも、もう一度、エネルギー政策を考え直す必要がある。

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2014年9月28日 (日)

カマタの怒り7

~感染拡大は、貧困も一つの要因

西アフリカを中心にしたエボラ出血熱は、感染者が3000人に広がっている。
WHOは最悪の場合、2万人を超えると想定している。
シエラレオネやリベリアでは医療関係者が感染しており、
医療関係者自体が、医療現場から離脱することが多くなっている。
エボラ出血熱で多くの死者が出ているが、栄養状態が悪いことも要因の一つと考えられる。
感染を抑え込むには、この地域の貧困を解決することも重要になる。

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本来、そうした貧困の状況を見にいこうとして、
今年の春先から西アフリカ旅行を計画していたが、
こんな形で感染爆発を起こすとは思わなかった。
感染防止のための知識を広げ、マニュアルを徹底させるとともに、必要な水や食料を送り、地域の栄養状態の改善するよう、世界各国からの応援が必要だ。

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2014年9月27日 (土)

カマタの怒り6

~列強の横暴や、不満により膨れ上がった「イスラム国」

シリアとイラクを我がもの顔で歩くスンニ派過激派集団「イスラム国」は、世界の脅威になろうとしている。
彼らはサイクス・ピコ協定で決められた国境を無視し、破壊することを哲学としている。
世界大戦の後、フランスとイギリスが国境を決め、フランスがレバノン(現在のシリア)を、イギリスがイラクやイランの地域をとった。
列強の勝手な帝国主義が、今もアラブに悲劇をもたらす原因になっている。

L1050796 イラクの難民キャンプ(2008年撮影)

今年3月、「イスラム国」の兵士は1万人といわれていたが、現在は5万人といわている。
シリアやイラク以外の国々からも、約7000人の若者が集まってきている。
この若者たちが戦場経験をもち、母国に戻ったときが心配である。
「イスラム国」は油田をいくつか制圧し、石油を密輸することで一日10億円を稼いでいるという。
これが武器などを調達する資金源になっている。
武器は、トルコ国境を越えて、シリアに入ってきているらしい。
この兵士の数と潤沢な資金で、「イスラム国」はアルカイダ以上の危険な存在になる可能性が高い。
アメリカは、「イスラム国」を標的に空爆をはじめた。
イラクでは、政府軍のまとまりが悪く、戦意が低い。
これまでのマリキ政権が、自分たちのシーア派を優遇し、金儲けに走ったり、権力を握ってきたことが、この悲劇を呼んでいる。
新しい政権樹立へと動いているが、イラクは今、国の形をなしていない。
非常に危険である。
シリアのアサド政権も、自分の命を守るために必死だ。
志のないリーダーの下では、「イスラム国」を制圧するのは難しいように思う。

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2014年9月26日 (金)

カマタの怒り5

~なしくずしの「1ミリシーベルト」

チェルノブイリの放射能汚染地域に100回医師団を出してきた。
昨年12月は、ぼく自身もがウクライナに行き、ウクライナ政府の「緊急事態報告書 チェルノブイリ事故から25年」をまとめたエフゲーニャ・ステバーノバ医師と会うことができた。
その報告書では、236万人の被災者データを分析している。
たとえば、貧血は、46.5%(2009年)の子どもにみられた。
慢性疾患をもつ人は、78.5%(2008年)に上る。驚くべき数字である。
しかし、ステバーノバ医師は、これらがすべて原発事故と関係しているとは言わなかった。
貧血などは、ウクライナの経済状況の悪化により、子どもたちに十分な栄養がいきわたらなかったことも影響してるという。
ただし、放射線被曝の影響とわかったこともある。
ステバーノバ医師はアメリカとの共同研究でミトコンドリアの研究をしていたが、
低線量被曝によってミトコンドリアが傷つくことで、甲状腺がんや慢性疾患を引き起こす可能性があるという。
どのような基準作りが必要か、と質問すると、
ステバーノバ医師は、低線量被曝はだいじょうぶと思わず、年間1ミリシーベルト以内にすることが大事と答えた。
ここはとても大事なところである。

Dsc08096001 チェルノブイリ原発事故で、廃墟となったプリピャチの遊園地(昨年12月撮影)

田村市の一部の地域で、毎日新聞が「許容できる被曝線量」を聞いたところ、
「年間1ミリシーベルト以下」とする回答が、66.3%を占めた。
この住民の感覚は実に正しいと思う。
しかし、政府は20ミリシーヘルト以下を避難指示解除準備区域としている。
ウクライナやベラルーシでは、年間1ミリシーベルト以下は厳重放射線管理区域にしている。
1~5ミリシーベルトは、移住する権利を与えて、自己決定により移住したい人には土地と家を与えている。
5ミリシーベルト以上は、強制避難区域としている。
それなのに日本では、20ミリシーベルトまで大丈夫というムードをつくりだしている。
とんでもないことである。
年間1ミリシーベルトは、毎時0.23マイクロシーベルトに当たるとして、
各地の空間線量をこれ以下にしようと目標にしてきたが、
国が方針転換し、実測の被曝量で毎時0.6マイクロシーベルトと、“基準値”を甘くしている。
放射線は見えない。
じわじわと甘い基準に慣れてしまうことは、避けたい。
あらためて「年間1ミリシーベルト」という目標を設定すべきである。

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2014年9月25日 (木)

カマタの怒り4

~除染、結局儲けるのはゼネコン

東日本大震災と原発事故以降、国が行う除染に計1兆4081億円の税金が投じられた。
だが、この除染には大きな疑問がある。
その一つは、ゼネコンしか親受けができない構図ができあがっていること。
地元の建設会社などが、下請けで雇われているところも若干あるが、
基本的にはゼネコンが儲かるようなしくみになっている。

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もう一つは、質の問題だ。
今、約3000億円を投入して、20キロ圏内の除染が行われているが、
労務者には、ゼネコンで集められ、他県からやって来た人たちが多い。
南相馬市だけでも、約3000人という。
地元の人間の場合、自分の地域を丁寧に除染しようという気になるが、
他の地域の人の場合、どうなのか。
少なくとも地域愛というものは期待できない。
もちろん、モラルをもって働いている人が多いだろうが、
見えない放射能に対して、どれだけモチベーションをもって作業することができるか。
本当にこんな除染のあり方でいいのだろうか。
ぼくたちの税金が使われている以上、もっと考える必要がある。

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2014年9月24日 (水)

カマタの怒り3

~不透明な、償いの方法

原子力損害賠償紛争解決センターで、あきれた文書が見つかった。
避難中に死亡した人に対して、原発事故の影響の度合いを「一律5割」とするという内容の文書である。
今まで文書はないといいながら、文書が見つかったのである。
同センターは、原発事故の賠償問題を裁判外で解決する国の手続き(原発ADR)の実務を担っている。
いかにも被災者の身になって、裁判するのは大変だろうから、裁判ではなく話し合いで解決できるようにしてあげるというような雰囲気にしておいて、
実は裏では、勝手に「一律5割」と決め込んでいたようだ。
一律5割となると、遺族や死亡理由を書いた医師の意見は尊重されない。
とんでもないことである。
これでは話し合いもクソもない。

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原発事故は、多くの人たちの人生を突然変えた。
不条理である。
その結果、亡くなった人に支払う額をできるだけ抑えようというマニュアルがあったということだ。
こんなことが許されるのだろうか。
原発ADRに関係する文書はすべて開示すべきである。
透明性のある仕組みにしなければ、弱い人たちを守ることはできない。

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2014年9月23日 (火)

カマタの怒り2

~許せないヘイトスピーチ

国連人種差別撤廃委員会は8/29、日本政府に対してヘイトスピーチ問題に対して毅然と対応するように勧告した。
在日韓国・朝鮮人などを誹謗中傷するヘイトスピーチは、
デモだけでなく、ネットなどでも拡散している。
なんとかしなければいけない。

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「1%の力」(河出書房新社)でも書いたが、自分の国の主張を徹底することはいいことだが、1%でも相手の国のことを考えることは、戦争を回避するために大切だと思う。
日本は、中国や韓国と戦争していいことなんて、何ひとつない。
パレスチナや、イラク、ウクライナも見てきたが、
紛争が始まるとまっさきに傷つくのは、子どもや女性、高齢者たちだ。
ヘイトスピーチに対して、外務省は発言の自由を妨げるおそれがあると言っている。
権力に対してもの申そうとする動きには、秘密保護法などで取り締まろうとしているのに、
ヘイトスピーチに対しては、先進国のなかでは最も脇が甘く、許してしまう。
本当に、なんとかしなければならない。

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2014年9月22日 (月)

カマタの怒り1

~医療の信頼を失墜させた“ブラック”企業

高血圧の薬ディオバンで虚偽事件を起こしたノバルティスファーマ。
血圧を下げることはできても、脳卒中や心筋梗塞に関して何らいい影響を与えていないのに、データを改ざん。
ディオバンは、日本一の売り上げを上げた。
そのノバルティスファーマは白血病治療薬グリベック、タシグナ、がんの骨転移などによく使われるゾメタなどで、
なんと2579件の重篤な副作用を公表していなかった。
なかには死亡例もあるという。
さらに現在評価中の6118例と併せると、8697例が未報告であったという。
薬事法では副作用情報の報告義務があるが、これに違反している。

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公表されなければ、医師は注意のしようがない。
ノバルティスは社員に対してではなく、医療界に対してブラック企業である。
悪辣な企業といっていいと思う。
体質改善を徹底してほしい。

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2014年9月21日 (日)

鎌田劇場へようこそ!(179)

「TOKYO TRIBE」
園子温は、「愛のむきだし」や「冷たい熱帯魚」などで高く評価されている日本の若手監督。
「ヒミズ」では、数々の国際映画祭で評価された。
今度の作品は、漫画の実写化。
町を暴力で支配しているトライブ(族)たちの戦いを描く。
若者たちの屈折した思いや肉体、暴力、欲望などを、ラップという音楽で、軽快に表現している。

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かつて赤塚不二夫が「天才バカボン」という漫画のなかで漫画を否定する壮大な挑戦をしていたが、
園子温は、映画のなかで映画を壊していく。
映画祭で賞を受賞し、高い評価を得ると、落ち着いた質の高いものをつくろうとするが、
園子温は激しくやんちゃである。
映画のお約束事や文脈など、まったく気にしない。
勢いと空気で観客をぐいぐいとひっぱっていく。
穏便になっていないところがいい。

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2014年9月20日 (土)

鎌田實の一日一冊(216)

「愛と笑いの夜」(ヘンリー・ミラー著、福武文庫)
吉行淳之介の訳である。
自由の国アメリカでさえ、発禁書が7冊あるヘンリーミラー。
その激しいミラーの小説のなかでも、「初恋」「マドモアゼル・クロード」は柔らかくて美しい。
抒情的な一面が、吉行淳之介の訳でうまく出ている。
ミラーはデストロイヤー破壊者だ。
自分を破壊し、周囲の人間を破壊する。
ぼくは「人間らしい」ということにこだわってきたが、
ミラーを読んでいると、人間らしさの深さが見えてくる。
人間がどれほど暴力的で、狂気に満ちているか。

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「初恋」は、そんなミラーが、恋する男として自分自身を見つめている。
17歳のときの初恋が、この小説の材料になっているようだ。
一人の女性を愛しながら、何もできないミラー少年が初々しくていい。
「マドモアゼル・クロード」は、クロードという娼婦の話。
彼女の純粋無垢なエンジェルのような心の美しさにふれ、男は自分の汚れが、彼女をむしばむのではないかと恐れる。
こんな静かなヘンリー・ミラーがいる。

いつか近々、小説を書きたいと思っている。
ヘンリー・ミラーの影響が大きい。
自分の生き方にも迷いが出てきた。
もっと、自由に、と自分に言い聞かせている。

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2014年9月19日 (金)

講演会のお知らせ

いい介護をするには、コツがあります。
やさしさや愛情だけで全力疾走する介護は、長続きしません。
がんばりすぎる介護は、不眠や食欲不振、高血圧、介護うつ・・・など、介護者の健康を脅かします。
また、自分のなかの“獣”を暴れさせ、暴力や暴言、介護放棄などにつながることも。
長年、鎌田は「がんばらない介護」を主張してきました。
来月、栃木で講演します。
ぜひ、ご参加ください。

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あんしん財団福祉講座【栃木】
「がんばらない介護でいきいき暮らそう」

日時 2014年10月22日 17時30分~(開場16時45分~)
会場 コンセーレ(栃木青年会館)
定員 300人 無料
主催 財団法人中小企業災害補償共済福祉財団
お申し込みはこらちから↓

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2014年9月18日 (木)

本日、新刊発売

9月18日、新刊「1%の力」(河出書房新社)が発売されます。

「1%」はわずかな数字だけれど、大きな可能性をもっています。
たとえば、健康づくり運動でも、はじめから生活習慣を100%変えようとしても、だれもやろうとしません。
でも、1%なら変えられます。
1%ずつ続けられます。
その結果、長野県は健康長寿の県になりました。
1%だけでも、だれかのために生きていると、生きる意味が見えてくるかもしれない。
「1%なら」「1%ずつ」「1%だけ」
この1%で、人生が変わりはじめることをたくさん見てきました。

1「1%の力」 河出書房新社、1000円+税

ゲラの段階でたくさんの人に読んでもらいましたが、
「泣けた」「心を揺さぶられた」と感想をいただきました。
本読みのプロや本好きが多い書店の方たちに事前に講演しましたが、反応は好評でした。
ある図書館員の方からは、すでにたくさんの図書館利用者から「1%の力」をそろえてほしいという要望が届いていると聞いています。
「1%の力」のムードが湧き上がってくれると、とてもうれしい。

「がんばらない」のカマタから、「1%」のカマタに変わるかもしれません。
ぜひ、お読みください。

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2014年9月17日 (水)

パキスタンでも・・・

世界中がおかしい方向に走り出している。
パキスタンでも、反政府デモと政権側の仲裁に軍が乗り出した。
仲裁というとていがいいが、反政府デモと軍が連携している可能性があり、
軍がクーデターでない形で、政治に介入しようとしているようだ。
パキスタンは核保有国。
この混乱の隙をついて過激派が入り込んだりすると、世界の脅威になっていく。

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世界の各地で次々と闘いをはじめる人間。
自分も含めてであるが、人間の愚かさに鬱々としてくる。
とんでもない生き物であることを自覚しながら、
人間の狂気をぎりぎりのところで暴れさせないようにするにはどうしたらいいのだろうか。

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2014年9月16日 (火)

3年半後の保育園

南相馬にあるよつば保育園では、子どもたちの命と健康を守るため、健診や保養、放射能の見える化を徹底している。
保育園の中に、放射能の測定所を設け、給食の材料は測定して合格したものだけを使っている。
食材は、ほとんど県外のもの。
というのも、園児の母親たちの多くが、「野菜は県外産のものを選んでいる」ということで、
保育園でも保護者の考え方を尊重している。
飲み水はペットボトルを使用している。

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園庭は、毎日、放射能の測定をしている。
以前は毎時1マイクロシーベルトだったが、0.09マイクロシーベルトまで下がった。
繰り返し除染し、子どもたちが安心して跳び回れるようにしている。
ただし、無理強いはしない。
外で遊ばせるか遊ばせないかは、保護者の判断に任せている。

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ぼくが訪ねた8月末のこの日、子どもたちはニコニコ生き生きと跳び回っていた。

                     ◇

同じ南相馬にある絆診療所に講演に行くと、応援団の人たちが、ほっきご飯をつくってくれた。
絆診療所でのぼくの講演会は5回目。
いつもおいしい昼食付で、仮設住宅の人たちが集まってくる。

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絆診療所は医師と看護師、管理栄養士、OTとで仮設を回り、「負けない体操」を普及させたりしながら、楽しく健康増進活動を続けていた。

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2014年9月15日 (月)

原発事故569

九州電力の川内原発の再稼働を、原子力規制委員会が許可した。
とんでもないことである。
原発から5キロ圏内の人々が迅速に避難する準備もされていない。
30キロ圏内の高齢者や要介護者などの避難先も決まっていない。
福島第一原発の事故で痛い思いをしたばかりなのに、すでに忘れてしまっている。

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薩摩川内市には年間約5億円の核燃料税が入ってくる。
お金に群がり、結果として、福島でも悲劇が起きたのである。
                 ◇
そろそろお金にきれいな政治にしないといけないと思う。
経団連は、企業献金再開を決定。
法人税の実効税率の引き下げとリンクしている。
企業の大型の政治献金がこの国を毒していると考えて、国民の税金から政党助成金をつくったはずなのに、
政党助成金をもらったままで、さらに政財界癒着の温床となる企業献金を再開しようとしている。
政治が先祖返りをして、悪い方向へ向いている。
なんとか食い止めなければと思う。

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2014年9月14日 (日)

仮面の女神

ぼくは茅野市に40年間住んでおり、茅野市縄文大使に任命されている。
日本最古の国宝として「縄文のビーナス」が指定されていたが、
今年、もう一つ土偶が国宝に指定された。
「仮面の女神」である。

Photo_2 仮面の女神

三角形の仮面をつけている女性像で、約4000年前の縄文後期前半の作品と考えられている。
仮面道具としては国内最大級。
縄文ビーナスも仮面の女神も、優れた造形美である。

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2014年9月13日 (土)

鎌田劇場へようこそ!(178)

「ガンズ&ゴールド」
ユアン・マクレガー主演。
ノンストップ・クライム・サスペンス。
450万ドルの金塊を狙う若きチェスの名手、伝説の強盗犯、ロシアンマフィア。
悪いのはどいつだ。

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精神的にも肉体的にも最も悪いやつが生き残る。
人間の悪さが見えてきておもしろい。
単なるアクション映画ではなく、最後のどんでん返しで、人間の深いところが見えてくる。
粋な映画だ。
11/1からロードショー。

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2014年9月12日 (金)

お知らせ

9/13の「世界ふしぎ発見!」(TBS系列、夜9時~)
「黒柳徹子 不老不死伝説 100歳まで元気に美しく生きる方法」。
鎌田が、VTR出演します。
先日、諏訪中央病院にて取材がおこなわれました。
ぜひ、ご覧ください。

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英語合宿

福島県伊達市の子どもたち15人が、静岡県の富士山麓で英語合宿に参加した。
2013年11月の調査では、伊達市は毎時1~2マイクロシーベルトという場所が散在している。
学校の周辺でも0.8マイクロシーベルトという値が出た。
「保養」は大事だが、その言葉を使うと、出づらい雰囲気があるようだ。
子どもたちの命を守るためには、実をとり、「動く英語教室」という呼びかけをした。

201409005 動く英語教室に参加した子どもたち

子どもたちにとってはとてもいい経験になったようだ。
みんなが楽しめて、いろんな土地を知り、ためになるようなプログラムがたくさんあるといいと思う。
保護者の方からね、「来年もぜひ」という声も出た。
今回、JIM-NETでは資金応援をした。
日ごろ、たくさんの方々からいただいている応援の一部を、実行委員会にお渡しした。
感謝です。
                     ◇

こちらは、以前、紹介した郡山ジュニアオーケストラの子どもたちの“保養”の様子。
サイトウキネンフェスティバルin松本に参加し、小澤征爾さんに会うサプライズもあった。

Photo 会田中で演奏する郡山ジュニアオケのメンバー

Photo_2 会田中応援団が、郡山ジュニアオケと福島へエールを送る

Photo_3 最後の日、安曇野のスイス村で、以前から子どもたちが楽しみにしていた乗馬の体験も

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2014年9月11日 (木)

鎌田劇場へようこそ!(177)

「ザ・テノール 真実の物語」
「100年に一人の声をもつテノール」と、英国タイムズ紙でも絶賛された、韓国の天才オペラ歌手チェチョル。
甲状腺がんになり、その手術のとき反回神経を切れらてしまい、横隔膜や声帯を動かすことができなくなった。
オペラ歌手としては絶望的である。
そんなとき、かつてチェチョルに助けられた日本人の音楽プロデューサーが登場する。
「ぼくらは友人」といって窮地を救ってくれたチェチョルに対して、
彼は、声を取り戻すための治療を行っている医師を紹介する。
チェチョルに声が戻り、クライマックスは感動の涙。
2014年上海国際映画祭でワールプレミア上映で喝采を受ける。

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日韓合作の映画。
お互いに感謝を忘れず、相手のことを考えると、人間と人間の関係はこんなにすばらしくなるという、お手本のような映画である。
いま日本と韓国の関係はギスギスしているが、こんなときこそ観てもらいたい。
俳優もすばらしい。
10/11から全国でロードショー。

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2014年9月10日 (水)

鎌田劇場へようこそ!(176)

「シャトーブリアンからの手紙」
「ブリキの太鼓」で知られるドイツの世界的巨匠シュレンドルフ監督の作品。
ナチ占領下のフランスで、ドイツの将校が暗殺される。
その報復として、ヒトラーは収容所にいるフランス人150人の死を要求した。
映画は、暗殺事件の前日からの4日間を切り取って、見事に人間を描いている。
ドイツ人のなかにも、それを必死に防ごうとする良識ある人もいた。
だが、その一方で処刑される人質のリストが作られていく。
リストのなかには、17歳の少年もまじっていた。
少年は、収容所の外にいる女の子に恋心を寄せていた。
27人は、手紙を残す。
その手紙を預かった神父の存在感がすごい。
フランスを代表する俳優ジャン=ピエール・ダルッサンが演じている。
この人の映画は何本も見た。
「キリマンジャロの雪」「サン・ジャックへの道」「画家と庭師とカンパーニュ」。
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死んでいく27人は泣くのを耐えた。
27人が残した手紙は、人を泣かした。
人間はときにとんでもない邪悪な行いをし、ときに崇高な行いもする。
いい映画を見るとうれしくなる。
10/25からロードショー。

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2014年9月 9日 (火)

鎌田實の一日一冊(215)

「私の好きな原田泰治の絵」(講談社、2160円)
懐かしい風景を描く原田泰治さん。
33人の著名人が、泰治さんの絵からとっておきの一枚を選び、それぞれの思いを語る。
建築家の安藤忠雄さんは「友禅流し」
歌手の岩崎宏美さんは「けやき並木」
放送タレントの永六輔さんは「路地」
歌手のさだまさしさんは「ジャカランダの丘」
ラジオパーソナリティの大沢悠里さんは「小さな電車」
鎌田實は「獅子舞」

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それぞれの記憶に残る風景が、原田泰治さんの絵とシンクロする。

いい本です。

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2014年9月 8日 (月)

緊迫のイラク⑭

過激組織「イスラム国」の暴れ方がひどくなってきている。
米軍は、空爆120回によって、イラク軍とクルド自治政府軍の共同部隊を後方援護し、北部アメルリを「イスラム国」から奪回した。
ドイツは96億円分の自動小銃1万6000丁などを、クルド人部隊に供与するという。
ナチス時代の過去を反省し、紛争地域への武器供与を自粛してきたが、例外的な措置だという。

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ブッシュがめちゃくちな形でイラクに侵攻したことで、アラブ一帯のバランスが崩れ、
オバマは何もしないため、シリアとイラクで「イスラム国」という過激派を増長させた。
そして、ウクライナでもロシアにやりたい放題のことをさせている。
暴力は嫌いであるが、過激派を抑え込む必要はあると思う。

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2014年9月 7日 (日)

おでんで待つ

香川へ講演に行った際、うどんを食べに行った。
高松市内にあるわら家といううどん屋さん。
江戸時代末期のわらぶき屋根の民家で、雰囲気がいい。
釜あげうどんを頼んだ。
結局、かまあげうどんがいちばんうまいと思う。
おでんも食べた。

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四国や関西などでは、お好み焼き屋さんやうどん屋さんに、おでんを置いていて、
お好み焼きやうどんができるまで、おでんをつまんで待つ。
なかなかいい文化である。

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2014年9月 6日 (土)

鎌田劇場へようこそ!(175)

「アルゲリッチ 私こそ、音楽」
今世紀最高のピアニストともいわれているマルタ・アルゲリッチのドキュメンタリー映画。
おもしろい。
天衣無縫、自分の感情の赴くままに生きてきた。
16歳で、2つのコンクールで優勝。
24歳で、ショパン国際ピアノコンクールで優勝。
私生活でも、二度の結婚、離婚を繰り返し、父親の違う娘を3人産んだ。
この映画は、三女が撮っている。

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アルゲリッチが22歳のとき、中国人の指揮者との間に生まれたリダ・チェンは、
事情があり一緒に暮らすことができなった。
二女アニーは、母親の代わりに妹の面倒を見てきた。
映画をとった末の娘ステファニーは、有名なピアニストを父にもつ。
その彼女も、母に反発し、近づきつつ離れる複雑な関係を築いてきた。
それぞれの家族が傷つき、もがき、苦しんでいる。
アルゲリッチ自信も、自由に生きるがゆえに人を傷つけ、自らも苦しみ、そのなかから新しい形の芸術を生み出している。
聴衆を圧倒する力強い演奏。
スキャンダラスな私生活。
気分屋で情熱的な性格。
彼女のすべてが芸術の一部だと感じた。
9/27からBunkamuraル・シネマでロードショー。

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2014年9月 5日 (金)

おしらせ

9/7の「日曜はがんばらない」(10.0~10.30、文化放送)のゲストは、「里山資本主義」の藻谷浩介さん。
藻谷さんとお会いするのは、2度目。
1度目は、今年元日のNHKのスペシャル番組で、これからの日本を語り合った。
里山にあるおいしい水、新鮮な野菜、魚、地域の絆といった資本をどう利用しながら、
これからの日本をつくっていくか。
スローフード、B-1グランプリ、地産地消・・・みんな里山資本主義につながっている。

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藻谷さんは自分でその場に行き、自分の目で見たもの、聞いたものだけを信じるようにしてきたという。
白熱のトーク、ぜひ聞いてください。
インターネットラジでも聞くことができます。

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2014年9月 4日 (木)

鎌田實の一日一冊(214)

「あげます。」(浜田桂子著、ポプラ社、1404円)
妹が、ママに抱っこされて家にやってきた。
お兄ちゃんは不思議な気持ちになる。
パパも、おじいちゃんも、おばあちゃんも、みんな赤ちゃんのほうへ気持ちがいってしまうから。
お兄ちゃんはすねて、
「へんなのあげます」とポスターをかいて、妹をよそにやってしまう作戦に出た。
チラシもつくって、配る。
でも、だんだん、大事な妹だということがわかってくる。

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なかなかいい絵本。
きょうだいが仲よくなって、両親に平等に愛されていく。
お兄ちゃんが赤ちゃんを守って、最後に「だれにもあげないもん」というところは感動的。

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2014年9月 3日 (水)

デング熱

デング熱の感染者が拡大している。
感染者は36人。
すべて代々木公園で蚊に刺された可能性がある。
ただし、まだ蚊からはウイルスは発見されていない。
感染源と考えられるヒトスジシマカの行動範囲は100メートル四方くらいと限定されているが、
感染者は新潟や大阪、青森、山梨などでも出ている。
いずれも、代々木公園周辺を訪れていたらしい。

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デング熱の症状は、多くの場合、高熱、目の奥の痛み、関節痛、頭痛、発疹など。
たいていは1週間くらいで治る。
まれに多臓器不全などを起こすこともあるが、あまり過剰に恐れる必要はない。
知らないうちに感染し、風邪だと思っているうちに治ってしまった人もいるだろう。
デングウイルスは卵を介して感染が引き継がれることはない。
蚊の寿命は40日。
越冬はしないので、10月末ごろにはデング熱の拡大は収まると思う。
とりあえず、長袖長ズボンで蚊に刺されないようにするなど、しばらくは注意する必要がある。

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2014年9月 2日 (火)

9/27病院祭

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諏訪中央病院では、今年も「病院祭」を開催します。
院内が見学でき、医療について勉強できます。
日ごろ病院で活動してくれているボランティアさんの紹介や、
専門ナースである認定看護師たち、研修医たちがおもしろくてためになる企画を用意しています。
いろんな屋台もあり、子どもからおとしよりまで楽しめます。
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病院祭
9月27日(土)10.0~15.0
入場無料、雨天決行
やさしく、あたたかい、たしかな医療を目指す諏訪中央病院にぜひ、おでかけください。

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2014年9月 1日 (月)

鎌田劇場へようこそ!(174)

ローマの教室で~我らの佳き日々~
ローマの公立高校を舞台に、
若き熱血補助教員のジョバンニと、志の高い女性校長のジュリア―ナ、美術を教える変わり者の老教師フィオリートという個性的な教師たちと、
出来の悪い子どもたちとのかかわりを描く。
教えることと、教えられることの大切さが詩的に展開されていく。
いくつものセリフが詩で構成されていく。
文脈がとんでしまうことがあるが、なんとなく見るものの心のなかに定着していく。

Poster

老教師が魅力的。
彼の授業を受けられなかった元教え子から、「先生にあこがれていた」という手紙や留守電メッセージが入る。
元教え子は、病院で検査技師をしている女性だった。
老教師は名乗らず、血液検査を受ける。
説明はされていないが、彼はどうもがんに冒されているようだ。
老教師は好きな本を読み続けながら、元教え子に愛され、サポートを受けていることが暗示される。
熱血補助教員は、派手な落第生の女の子にてこずっている。
授業に出てこないし、出てきても、教室で投げやりな態度を示す。
熱血教師と彼女はうまくかみあわないが、やがて理解しあっていく。
この作品は、いっさいおしつけがなく、自分流の勝手な見方できる。
映画好きの人にはこたえられない作品。
何色とははっきり言えないが、やわらかで、深みのある色、そんな映画だ。
岩波ホールで上映中。

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