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2014年9月26日 (金)

カマタの怒り5

~なしくずしの「1ミリシーベルト」

チェルノブイリの放射能汚染地域に100回医師団を出してきた。
昨年12月は、ぼく自身もがウクライナに行き、ウクライナ政府の「緊急事態報告書 チェルノブイリ事故から25年」をまとめたエフゲーニャ・ステバーノバ医師と会うことができた。
その報告書では、236万人の被災者データを分析している。
たとえば、貧血は、46.5%(2009年)の子どもにみられた。
慢性疾患をもつ人は、78.5%(2008年)に上る。驚くべき数字である。
しかし、ステバーノバ医師は、これらがすべて原発事故と関係しているとは言わなかった。
貧血などは、ウクライナの経済状況の悪化により、子どもたちに十分な栄養がいきわたらなかったことも影響してるという。
ただし、放射線被曝の影響とわかったこともある。
ステバーノバ医師はアメリカとの共同研究でミトコンドリアの研究をしていたが、
低線量被曝によってミトコンドリアが傷つくことで、甲状腺がんや慢性疾患を引き起こす可能性があるという。
どのような基準作りが必要か、と質問すると、
ステバーノバ医師は、低線量被曝はだいじょうぶと思わず、年間1ミリシーベルト以内にすることが大事と答えた。
ここはとても大事なところである。

Dsc08096001 チェルノブイリ原発事故で、廃墟となったプリピャチの遊園地(昨年12月撮影)

田村市の一部の地域で、毎日新聞が「許容できる被曝線量」を聞いたところ、
「年間1ミリシーベルト以下」とする回答が、66.3%を占めた。
この住民の感覚は実に正しいと思う。
しかし、政府は20ミリシーヘルト以下を避難指示解除準備区域としている。
ウクライナやベラルーシでは、年間1ミリシーベルト以下は厳重放射線管理区域にしている。
1~5ミリシーベルトは、移住する権利を与えて、自己決定により移住したい人には土地と家を与えている。
5ミリシーベルト以上は、強制避難区域としている。
それなのに日本では、20ミリシーベルトまで大丈夫というムードをつくりだしている。
とんでもないことである。
年間1ミリシーベルトは、毎時0.23マイクロシーベルトに当たるとして、
各地の空間線量をこれ以下にしようと目標にしてきたが、
国が方針転換し、実測の被曝量で毎時0.6マイクロシーベルトと、“基準値”を甘くしている。
放射線は見えない。
じわじわと甘い基準に慣れてしまうことは、避けたい。
あらためて「年間1ミリシーベルト」という目標を設定すべきである。

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