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2014年11月29日 (土)

鎌田實の一日一冊(222)

「ネルーダ事件」(ロベルト・アンプエロ著、早川書房、1836円)

1973年、南米チリが社会主義政権が崩壊の危機を迎えていた時代の、ラテンアメリカ的混沌を描いた傑作。
とにかくめちゃくちゃおもしろい。
主人公の探偵は、革命の指揮者で詩人、ノーベル文学賞を受賞したネルーダから、ドクターを探してくれと依頼される。
だが、探しているのは、そのドクターではなく、妻とその娘ということがわかってくる。

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ネルーダの「二〇の愛の詩と一つの絶望の歌」を読んだが、
この本では、欲望と情熱、狡猾、光と影に満ちた矛盾するネルーダという人間が、
推理小説の形で描かれている。
舞台は、チリからメキシコ、キューバ、東ドイツ、チェ・ゲバラが亡くなったボリビアへ。
チェ・ゲバラ殺害を命じた男まで登場する。
なんともダイナミックだ。
ネルーダを題材にした作品はいろいろある。
イタリア亡命時代を描いた「イル・ポスティーノ」という映画もみた。
「サンチャゴに雨が降る」という映画もある。
小説ってこんなに面白いんだ、と久々に感動した。

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