ホスピスの夜
諏訪中央病院の緩和ケア病棟で、カラオケと飲み会が催された。
新しい緩和ケア部長に赴任してきた専門医の片岡先生が、“ママ”になり、バーを開いた。
カラオケを指名されると、「音痴なの」といいながらカラオケのマイクを持った。
火曜日のぼくの回診にも、患者さんの説明をよくしてくれて、回診しやすい。
1月には腫瘍精神科医がやってきて、患者さんを心の面からサポートできると思う。
新病棟ができると、緩和ケア病棟もそこに移る。
さらに、質の高い医療を提供し、評判は高くなっていくだろう。
病院のリビングで、カラオケをしているとき、
ある患者さんは病室にいた。
寝たきりで出られないが、「お酒が大好き」という。
午前中の回診のとき、ぼくが「お酒も飲みたい?」と聞くと、「飲みたい」と答えた。
日本酒を4種類用意しているので、何がいいですかと聞いてみた。
男性は、「真澄」を選んび、「うめえ、うめえ」と顔がほころぶ。
そこへ、仕事を終えた息子さんがやって来た。
「一緒に飲みませんか」と看護師にすすめられた。
「こんなうれしそうな親父を見るのは久しぶり。ぼくも一緒に飲もうかな」
息子は泣いている。
男性も掛布団を顔の上までかけながら、涙を拭っていた。
暖かな雰囲気。
こんな親子のしみじみとしたお酒もいいものだ。
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