鎌田實の一日一冊(227)
『「役に立たない」と思う本こそ買え』(森田正光著、dZERO、1728円)
お天気キャスターの森田さんは、実はものすごい読書家。
ぼくたちは、ついつい役に立ちそうな本を買うが、その逆をすすめている。
役に立たない本の代表作として「137億年の物語」(クリストファー・ロイド、文藝春秋)をあげている。
実はこの本、めちゃくちゃ面白い。
厚くて高いが、ぼくは買って、食い入るように読んだ。
自分が今生きているのが、生命体の歴史のなかで、どんな歴史の一コマなのかがわかる。
自由主義の極致みたいな本だ。
全部規制をとっぱらったほうがいい、たとえば医師免許もいらないとフリードマンは言う。
そんなんでいいのかなと思いながら、
ライセンス主義は、ライセンスさえあれば切磋琢磨しなくてもいいという問題を生み出すが、
ライセンスなしの実力を、一般の消費者がどう判断するのか難しくなる。
ということで、結局、ライセンスを信じるしかなくなってしまうのだ。
この本には、もちろんぼくも読んでいない本もたくさん紹介されている。
森田さんおすすめの「浮気人類進化論」(竹内久美子著)とか「ワニはいかにして愛を語り合うか」(日高敏隆、竹内久美子)など、
読んでみたくなった。
ぼくは子どものころから本をよく読んできた。
本が人生を変えたと思ってる。
今でも、外国や国内の講演に行くときに、数冊の本を持ち歩く。
本に対して、過度な期待はしないので、あまりがっかりすることもない。
いい本もあれば、それほどでもない本もある。
どんな本にも、ちょっとはいいところがあると思って読んでいる。
読む側の受け取り方や能力、気分で、本の存在価値はいくらでも変化する。
本、大好き。
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