アルビル救援活動(その2)
ヨルダンのアンマンから2時間ほどシリア国境に向かった地域に巨大なザアタリーキャンプができた。シリア内戦に巻き込まれた国外難民が150万人いると言われている。その中でも最も巨大なザアタリーキャンプはピーク時には20万人、現在は10万人が生活をしている。半分はプレハブやコンテナ、半分はテントで生活している。
キャンプには、巨大な商店街ができ、一つの街に近い。
JIM-NETでは、ここの仮設病院を応援している。特に戦争で傷つき手や足を失った人たちの機能回復訓練を行っている。
ぼくたち3人のスタッフが訪ねると、日本人が提案している女性の機能回復訓練や訪問リハなどに非常に興味を示してくれた。障害があるためリハセンターに通院するのは大変だが、そのための交通手段を応援したり、こちらから訪問することでリハビリの有効度を高めることができる。シリアのドクターや理学療法士たちは、興味をもってくれたようだ。日本で行われている普通の地域リハを持ち込もうとしているが、どうも受け入れられそうだ。
シリアから脱出した19人の医師が中心となり、10万人を対象に診療を行っていた。その中の外科医バッサームさんから「できるだけ早くシリアに戻りシリア国内で傷ついている人のために命がけで働きたい、シリアに戻ったら薬などの応援をしてもらいたい」という要請があった。
「1%の力」(河出書房新書)をもう少し売って、その印税で彼の夢を応援したいと思っている。
彼とは連絡を密にとることを約束した。
34歳の農業をしていたイサームさんはアサド政府軍の地雷を踏んで右足を切断。右手の損傷も酷い。
それでも彼はリハビリをやってその後義足を作り、家族が待っているシリアに帰りたいという。
どんなに危険でもシリアに帰りたい人たちと、アサド政権の圧政と「イスラム国」が暴れている不安定なシリアには二度と戻りたくない人と、それぞれである。
ひげ面のイサームさんは時折笑顔を見せて、「シリアに帰る」と言った。
10万人の難民キャンプを去る時、診療所の責任者から、スタッフ3人に感謝状が渡された。数日後、難民キャンプのニュースには、日本のNGOが支援に来たというニュースが載った。
ヨルダンの可能回復訓練プロジェクトの責任者、JIM-NETの福田さんに、ザアタリーキャンプから感謝状
難民キャンプでは、一つの街の機能を十分に保っている。ルールや治安が守られていて、行政的手腕が発揮されていることがよくわかった。しかし、生活は劣悪、できるだけ早く難民キャンプが不必要になることを祈っている。
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