聴診器でテロと闘う(1)
その様子を紹介していこうと思う。
◇
15日、アルビルから車で3時間かけてドホークへ、さらに2時間かけてシリア国境沿いのある村に入った。
川が流れており、その向こうはシリアである。
この村の難民キャンプを訪ねるのが目的だった。
この難民キャンプには、診療所がない。
移動診療車も行っていない。
移動診療車も行っていない。
我々が訪ねることを知ると、JIM-NETが長年、クルド人自治区で、大きな支援をしてきたことを評価してくれ、ドホークの保健局のドクターと看護師2人が同乗することなった。
ドホークには、かなりしっかりしたネットワークがある。
プライマリケアセンターがあり、難民救済にも力を注いている。
同行した若いドクターも、週3日、難民キャンプの診療所で仕事をしているという。
しかし、保健局はこの村の難民キャンプに関しては認知していなかったようだ。
「日本人がこういうところを見つけるって、すごい」と感心された。
2人の高齢女性。
一人は高血圧で、もう一人は糖尿病だった。
ぼくは、二人に、塩分を減らすこと、体重を5キロ減らすこと、野菜を多く食べよう、と話した。
神妙に話を聞いていた2人は、ぼくの話の後、こう言った。
「それで、私たちに何をくれるの?」
大笑いになった。
長野県でやるような健康づくり運動は、イラク人の感性に合わないようである。
薬を配ればいいという地域医療は、墓穴を掘ると思っている。
今、薬が足りないので、薬を提供することはとても大事だ。
薬を提供することで、「自分たちは見捨てられていない」と感じることができる。
しかし、そこから一歩前進して、少しでも自分の健康をよくしようとする意識は、その場の薬より意味が大きい。
「聴診器でテロと闘う」とは、単に注射や薬を多用するということではない。
その人の生活を見直す「行動変容」を促す、本当の意味での医療支援を難民キャンプで行いたいと思っている。
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