鎌田劇場へようこそ!(204)
「ザ・トライブ」
全編手話のみ、字幕も吹き替えもない。
ウクライナの新鋭監督スラボシュビツキーによる作品。
聾唖学校の寄宿学校が舞台。
そこは力の世界だ。
「トライブ」とは「族」という意味。
日本で言えば、「組」みたいなものだ。
族の資金源は、売春だ。
主人公の少年も暴力の洗礼を受ける。
徐々に頭角を現し、トラック運転手に売春を持ちかける役をもらう。
しかし、リーダーの愛人にほれてしまう。
少女は愛なんて信じていなかった。
イタリアへ行くことを夢みていた。
リーダーは売春をしていた少女たちのパスポートをつくるが・・・。
最後が激しすぎる。
少年の怒りが爆発するのである。
言葉がない分だけ、見るものを感じさせ、考えされる。
雪が降る音なども、伝わってくるのである。
人工流産の光景などは、あまり長回しでみたいとは思わなかった。
宿舎という特別な世界で生き抜くために、こうせざるを得なかったという思いと、
生き抜くためにここまでできるのかという驚き。
しかし、そのなかにすべてを超えていく愛が生まれる。
これが人間だ、とは思うが、もっと愛に焦点を当てれば、好きな映画になったと思う。
この映画は、暴力に焦点を当てている。
チャレンジングな映画である。
監督は、この作品で注目を浴びた。
将来、鬼才といわれる名監督になれるかもしれない。
映画好きな方にはおすすすめ。
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