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2015年5月12日 (火)

聴診器でテロと闘う(15)

骨肉腫になって左腕を切断した男の子がいた。
生きるためにどうしてもせざるを得ない選択だった。
「ISに家や学校を奪われ、今度は病気で腕を奪われた。ぼくに希望はない」と泣いた。
この後もアルビルのナナカリ病院の小児科で、骨肉腫のフォローをしていく必要があることを説明した。

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好きなことは何かと聞いたら、
「サッカー」という。
テントのなかでサッカーをすると、少し元気になったようだ。
みんながはやしたてると、ニコッと笑った。
日本の中田選手は知っているかと聞くと、「知らない」。
「メッシなら知っている」
メッシを連れてくるわけにはいかない。
アルビルに有名なサッカー選手がいる、とキャンプの人たちから言われた。
まるで、その選手を連れてきてほしいと言われているようだ。
だが、どこに頭を下げに行ったらいいのか・・・これから考えたいと思っている。

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22歳の若いお母さんは、両手の指の関節が腫れて痛み、炊事ができないという。
関節リウマチだと説明した。
治りにくい病気だと言うと、涙をぽろぽろ流した。
治りにくいけれど、いい薬がある、痛みはなくなり、炊事もできるようになる。
完全に治らなくても進行を食い止めることができる。
時間をかけて、そう説明した。
こういう患者さんたちを放置せず、できるだけ水準の高い専門医につなげ、
きちんと治療の軌道に乗せること。
そして、精神的なサポートをすること。
それがISに家や家族、故郷を奪われ、なおかつ病気になった人たちを支えることになると信じている。

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