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2015年8月 5日 (水)

鎌田劇場へようこそ!(221)

「あの日のように抱きしめて」
ドイツ映画。
このブログでも紹介した「東ベルリンから来た女」のクリスティアン・ペッツォルト監督の作品。
主演の夫婦も再び、この映画に出演している。

第二次世界対戦直後の深い葛藤が見事に描かれている。
夫はドイツ人、妻はユダヤ人の歌手。
夫はおそらく脅され、妻を裏切ったため、妻は収容所へと送られる。
一方的な離婚届も出されていた。

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時が経ち、妻は収容所から戻ってくる。
顔がめちゃめちゃになってしまい、形成手術を受けるが顔に大きな傷が残る。
奇しくも夫婦は再会するが、夫は、自分の妻であることに気づかない。
そればかりか、妻が膨大な遺産を相続したことがわかると、顔に傷がある女性に妻になりすますように頼む。
すべてを失った妻は、だまされても夫を恋しく思う。
ある曲をピアノで弾き、彼女が歌い上げる。
夫は、何かを感じるような、感じないような。
最後まで、顔に傷のある女が妻であることに気づかない。
気づこうとしない。

戦争は、人間の心をケモノにしていく。
友だちも、彼女がつかまるときにはだれも味方をしてくれなかった。
夫は明らかに裏切った。
資産家になった彼女を表面上歓迎するのである。
しかし、ここに出てくる一人ひとりはふつうの市民。
ときにはやさしい市民だったりするのだろう。
戦争が人をケモノにしたり、裏切者にしたりする。
戦争をしないことが大事だと思う。

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