鎌田實の一日一冊(241)
「貧乏の神様 芥川賞作家困窮生活記」(柳美里著、双葉社)
「創」という雑誌の原稿料の未払いが話題となったが、
芥川賞作家の困窮生活が書かれている。
貧乏やうつのことを書くとネットで炎上。
「ブログの更新ができているのだから、うつではない」
「作家ぶって鼻持ちならない」などと書かれるらしい。
それでも、へこたれず、
「炎上したら水をかけてもダメ、ガソリンを注がないと。
燃えろ、燃えろ」と、火に油を注いでいく。
そういう意味では、柳さんは普通の人ではない。
10年間、子育てをしながら、貧乏やうつと格闘してきた。
がんで逝った元恋人の入院費などの借金も背負った。
それでも彼女は書く。
貧乏でも、貧乏だからこそ、作家魂が健全なのかもしない、と思いながら読んだ。
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