鎌田實の一日一冊(243)
「帰れないヨッパライたちへ 生きるための深層心理学」(きたやまおさむ著、NHK出版新書)
若者たちは、海外留学に二の足を踏むなど、外に向かって勝負せず、内向きの足の引っ張り合いに終始する現代の日本。
原発事故があったにもかかわらず再稼働し
憲法9条があるにもかかわらず、簡単に解釈改憲が行われ、集団的自衛権の行使を容認しようとしている。
そういうあやふやな日本は、なぜなのか。
著者は、背景に母と子の関係と、さらに父親の存在の三角関係から読み解こうとする。
ぼく自身も拾ってくれた父に対して、特殊な感情をもち、父と対決することを避け、父の期待に応えてしまう感情をもってきた。
そこにぼく自身が強烈な個性をつくらず、なんとなく、どこでもだれとでもうまくやろうとするような自分となった原因があり、
今、「本当の自由ではない自分」というものに気づくことになったが、
この本も、そんな自分をあらためて確認できた。
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