« ライブハウスの空気 | トップページ | 学校図書館の選定図書に »

2015年8月23日 (日)

鎌田實の一日一冊(246)

「グッドバイ・ママ」(柳美里著、河出文庫)
人生を振り返り、最終コーナーを回っている自分に気が付いた。
読みたい本や詩を読み、聴きたい音楽を聞いている。
小説の後半、ゴダールの「勝手にしやがれ」が出てくる。
主人公の女性が亡くなる前に、ジーン・セバーグみたいにしてくださいと美容院で言う。
ぼくはゴダールが大好きで、「勝手にしやがれ」もいいが、同じくジャン・ポール・ベルモントが出ている「気狂いピエロ」がなんといってもいい。
アンナ・カリーナの共演もよかった。

Goodbymama

柳さんの文章のすごさは、この作品でも微動だにしない。
若い母親が夫とうまくいかず、
福島原発の事故で放射線からどう身を守るか悩みながら、世界とうまく関係をもてないでいる。
主人公と柳美里が同じようにのたうちまわっている姿が見えてくる。
やっぱり柳美里はすごい。

|

« ライブハウスの空気 | トップページ | 学校図書館の選定図書に »

書籍・雑誌」カテゴリの記事