« 2015年7月 | トップページ | 2015年9月 »

2015年8月

2015年8月31日 (月)

紛争地に音楽を

先日、松本市四賀でのコンサートで、福島県郡山の子どもたちとや松本の音楽家たちと交流したコソボフィルハーモニー交響楽団の首席指揮者・柳澤寿男さん。
彼は、民族浄化やレイプなどが横行したコソボ紛争の地で、
音楽の力で、分断された民族同士を一つにまとめあげ、憎しみや暴力を食い止めようとしてきた。
旧ユーゴ6カ国の音楽家たちに声をかけ、バルカン室内管弦楽団を結成。
メンバー13人からスタートしたが、いまでは40数名に広がった。
その活動は、2007年のニューズウィーク日本版で「世界の尊敬する日本人100人」にも選ばれている。

1505267fullsizerender 諏訪中央病院の庭

柳澤寿男さんのそんな活動が「ニュース・エブリィ」(日本テレビ系)で紹介される。
9月3日(木)午後4時18分くらい~(時間は前後する可能性があります)。
ぜひ、ご覧ください。

|

2015年8月30日 (日)

日本の医療や介護は大丈夫か

「ニッポンの健康保険制度が危ない」というテーマで、
鎌田實がテレビ出演する。
9月2日夜9時~9時45分
「報道ライブ21 INsideOUT」(BS11)

1507014fullsizerender 諏訪中央病院の庭

団塊の世代が75歳以上になる2025年。
医療費の膨大や、首都圏を中心にした介護難民がなどの問題が予測されている。
その対応策として、地域包括ケアシステムがあり、2015年は地域包括ケアシステム元年と言われている。
諏訪中央病院では30年前から地域包括ケアシステムに取り組んできたが、それを全国に広げようというのだ。
施設を10万~20万床削減し、在宅での受け皿になる地域包括ケアシステムを、中学校区(人口1万人)に一つの割合で作ろうとしている。
番組には、アメリカの医療、介護に詳しいジャーナリストの堤未果さんも出演する。
アメリカの老人ホームは投資の対象になり、スタッフ削減と入所者の回転率を高めることで利益を得ようとしている。
2025年問題にどう対応するか。
いま政府は安保法制に血みどろになっているが、
本来やらなくてはいけないのは、介護や医療、経済の立て直しである。
ぜひ、番組をご覧ください。

|

2015年8月29日 (土)

鎌田實の一日一冊(247)

「がんとの賢い闘い方 「近藤誠理論」徹底批判」(大場大著、新潮新書)
「放置がベスト、抗がん剤は毒、検診はムダ、全部、大嘘です」という挑発的な帯がついている。
著者は、帝国ホテルのなかに、東京オンコロジークリニックを開設した外科医で腫瘍内科医。
近藤誠さんに、おもしろい視点でいちゃもんをつけている。
非常におもしろい本である。

Photo

近藤氏の考え方は、今までの日本の医療に一撃を与えた。
しかし、患者さんに実際に接するときにはやはり問題がある。
三大治療をがんがんやっていくという、日本の医療の大半を占めていた考え方が○だとすれば、近藤氏の「抗がん剤は毒」というような治療は×の考え方。
その間にあるいろんな形の△を、それぞれの患者さんに合わせて、
患者さんと相談しながら、自己決定できるようにするのが実際の医療だ。
大場先生と近藤先生の対立軸が明確になる本書は、患者さんが自分の△を見つけるときの参考になると思う。

|

2015年8月28日 (金)

映画館通い

今、映画館に足繁く通っている。
映画が好きで、高校時代は映画に浸っていた。
自己流に映画のシナリオを書いていたときもある。
医者になるか、映画監督になるか、迷ったときもあった。
先日、精神科医で作詞家の北山修さんとメシを食ったとき、
「二足のわらじは難しいが、まだ作詞ならばやれると思い、頼まれるとやっていた」と言っていた。
そのとき、北山さんと同じ京都府立医科大学を出ている大森一樹監督の話題になった。
大森監督の談によると、映画は長期間、没頭することになるので医者との両立は無理だとのこと。
たしかにそうだと思う。

1507229fullsizerender 諏訪中央病院の庭で

今まであまり時間がなかったので、自分の趣味に合ったものを中心に見てきた。
ぼくの好みは、地味な単館モノで、その中からいいものを探すのが楽しい。
しかし、今はそんなこだわりを捨てて、超大作も見ている。
トム・クルーズの「ミッション・インポッシブル/ローグ・ネイション」とスピルバーグの「ジュラシック・ワールド」。
以前、コマ劇場があった新宿のシネコンに見に行くと、360度ドルビーで、恐竜の足音が後ろのほうから迫ってきて、
映画がとんでもなく変わっていることに驚いた。
ちょっと気になるのは、いま映画館を満員にしている「東京無国籍少女」や「進撃の巨人」「ジュラシック・ワールド」「ミッション・インポッシブル」などは、どれも戦う映画ということ。
戦う本能を鼓舞される気持ちよさはあるが、
現実世界では、戦わないことの大切さをじっと考えたい。

|

2015年8月27日 (木)

鎌田劇場へようこそ!(226)

「バケモノの子」
細田守監督は「時をかける少女」「サマーウォーズ」「おおかみこどもの雨と雪」などでヒットを飛ばしている。
大評判になっても、なんとなくちゃんちゃらおかしいと思って見に行かなかった。
特に、「時をかける少女」はかけがえのないの時間の意味を一人の少女が見つける話、見たほうがいいとすすめられたこともある。

Poster2_6

「バケモノの子」はうまくできている。
人間と人間の関係とか、家族とか、あの世とこの世の関係とか、
人間が成長していくとき、一人になることの大切さとか。
何度つまずいても自分があきらめないかぎり、どうにでもなるんだということがうまく描かれている。
心の持ち方を、「胸のなかの剣」という言葉で表現しているのが印象的だった。
素直ではないぼくは、細田監督の手のひらに載せられているような感じがし、なんとなく、うまく出来過ぎているなんて思ってしまった。

|

2015年8月26日 (水)

ジャズライブ

ピットインに、行ってきた。
梅津和時KIKIBANDジャパンツアー2015“奇々怪々”のジャズライブだ。
梅津のサックスと、ジョー・トランプのドラムが最高。
鬼怒無月のリードギターもすばらしい。
梅津が作曲した曲が、ロックのようなジャズのような味のある演奏だった。

1507282fullsizerender 諏訪中央病院の庭で

いまぼくは、映画館やライブハウスに足繁く通うなど、若いときにやりたくてもできなかったような生活をしようとしている。
ピットインは8割が若者。
ときどき中高年の姿も見るが、ぼくがいつも最高齢のよう。

|

2015年8月25日 (火)

鎌田劇場へようこそ!(225)

「しあわせへのまわり道」
イサベル・コイシェ監督の「死ぬまでにしたい10のこと」は、とてもおもしろいいい映画だった。
ありのままの自分と向き合っている。
ぼくとしては、とても考えさせれる映画である。

Poster2_5

本作はキャサ・ポリットのエッセイを映画化したもの。
主人公の女性は、長年のパートナーと離婚し、その失意なかで、車の運転を習う。
誠実な車の指導員との心の交流が描かれている。
心が豊かであることの大切さがひしひしと伝わってくる。
とても上品な映画だ。
最後の最後も、凛として美しい。
生きているといろんなことがある。
しかし、人生はまんざらでもないなと思わせてくれるいい映画だ。

|

2015年8月24日 (月)

市民公開講演(in春日井市)のご案内

第7回 日本臨床一般検査学会学術集会

2015年9月12日(土)11:00~12:00(10:30 開場・受付)

【学会特別企画】市民公開講演
『生きているって素晴らしい ー医療・検査・命・絆を考えるー』

講師:鎌田 實  諏訪中央病院名誉院長 
会場:中部大学 三浦幸平メモリアルホール  

参加費は無料。
市民公開講座ですので、どなたでもご参加いただけます。

往復はがきにて下記までご応募ください(8月末日必着:期日を延長しました!)。

抽選結果を記載してご返送いたします。
当選者は返信ハガキが入場整理券になります。
応募人数は500名。

【宛先】 〒487-0013 春日井市高蔵寺町7-5-15  鎌田實公開講演事務局 

※往復ハガキ裏面 ①〒番号 ②住所 ③氏名 ④電話番号 ⑤参加希望人数(2名まで)
※返信ハガキ表面 ①〒番号 ②住所 ③氏名  
※返信ハガキ裏面 何も記入しないで下さい。

鎌田實・公開講演用電話番号:090-6462-1537(電話のみ可、携帯メール不可)

 

くわしくはこちら

|

学校図書館の選定図書に

『「イスラム国」よ』(河出書房新社)が、一般社団法人学校図書整備協会(SLBA)の選定図書になった。
SLBAは、小中高校それぞれの学校図書館にふさわしい本として、
年間1200冊あまりの本を選定している。

Photo

この本を子どもたちに読んでもらい、
人間と人間の関係、戦争と平和、人間の心のなかにいる獣について、考えてもらいたい。

|

2015年8月23日 (日)

鎌田實の一日一冊(246)

「グッドバイ・ママ」(柳美里著、河出文庫)
人生を振り返り、最終コーナーを回っている自分に気が付いた。
読みたい本や詩を読み、聴きたい音楽を聞いている。
小説の後半、ゴダールの「勝手にしやがれ」が出てくる。
主人公の女性が亡くなる前に、ジーン・セバーグみたいにしてくださいと美容院で言う。
ぼくはゴダールが大好きで、「勝手にしやがれ」もいいが、同じくジャン・ポール・ベルモントが出ている「気狂いピエロ」がなんといってもいい。
アンナ・カリーナの共演もよかった。

Goodbymama

柳さんの文章のすごさは、この作品でも微動だにしない。
若い母親が夫とうまくいかず、
福島原発の事故で放射線からどう身を守るか悩みながら、世界とうまく関係をもてないでいる。
主人公と柳美里が同じようにのたうちまわっている姿が見えてくる。
やっぱり柳美里はすごい。

|

2015年8月22日 (土)

ライブハウスの空気

突然、思い立って東京のコットンクラブに行った。
ジャズピアノの名手ビル・オコーネンのトリオがアメリカから来日。
華麗でスピーディーで情熱的なピアノだった。

15061312fullsizerender

ピットインにも行ってみた。
40人近いメンバーのビッグバンドで、狭いライブハウスがオオノリ。
ジャズとロックのフュージョンみたいだけれど、ときどきブルースもあり、
なかなな渋いライブだった。
夏の暑い中、ふと45年前の学生時代を思い出し、ライブハウスの空気に浸っている。

|

2015年8月21日 (金)

鎌田實の一日一冊(245)

「大石芳野写真集 戦争は終わっても終わらない」(藤原書店)
70年経っても戦争は終わっていない。
傷跡がたくさん残っている。
日本の戦争が残した傷跡と、苦しみながら不屈に生きる人々の姿を写真集にした。
この写真集を、安倍首相に見てもらいたい。

Photo

安倍首相の戦後70年談話はなんともはっきりしない談話であった。
こんなものならば、出さないほうがよかった。
多くの憲法学者が「違憲」とする安保法案だが、衆院、参院ともに絶対多数をもつために押し切ろうとする安倍政権。
支持率がどんどん下がり、多くの国民が納得していない。
談話には、「侵略」や「植民地支配」「反省」「お詫び」などの言葉を入れたが、
肉体化した言葉ではないために、上滑りしている。
四方に気配りし、空気を読んだ結果、何が言いたいのかわからない。
こんな談話を発表するなら、初めから威勢のいいことを言うべきではなかった。
安倍さんの平和への哲学は簡単に揺れ、転ぶことがよくわかった。
もともと安倍さんには平和への哲学なんてないのかもしれない。
なんとか、「戦争をしない国」を続けたいものである。

|

2015年8月20日 (木)

鎌田實の一日一冊(244)

「この世でいちばん大事な「カネ」の話」(西原理恵子著、角川文庫)
「おとなになるってどんなこと?」(吉本ばなな著、ちくまプリマー新書)
吉本ばななは、「大人になんかならなくていい。ただ自分になっていってください」と語り、
西原理恵子は「自分探しの迷路は、カネという視点を持てばぶっちぎれる」という。
「自分は何に向いているか、自分はいったい何をしたいのか、深い悩みで身動きできなくなっている君を、
カネが外の世界へと案内してくれる」
「カネってつまりは人間関係」だとも、西原さんは言っている。
なるほどなと思った。

Photo

夢や希望を語るよりも、まず自分の生活をきっちり立てる。
そのために人間と人間の関係を構築する。
そうやって、生きていくときはじめて自分がいったい何がしたいのかが見えてくる。
それに気が付くことが大人になることかもしれない。

Photo_2

ぼく自身は1歳10か月で他人の家に預けられた。
そこで生き抜くために、無意識のうちに「いい子であらねばならない」と思い込んだのではないだろうか。
もしかしたら、ぼくは1歳10か月のときに大人になってしまったのかもしれない。
今ごろになって、大人になることを躊躇し、大人になったことを後悔し、迷っている。
67歳にして大人になりきれていないことに気が付いた。

|

2015年8月19日 (水)

急遽、鎌田の講演も

8/21の松本市四賀で開催されるコンサート。
急遽、開演時間を一時間早めた午後6時から、鎌田實が講演をすることになった。
講演のタイトルは「生きているってすばらしい-子ども、命、平和を考える-」。


明日に羽ばたく平和コンサート
~指揮者・柳澤寿男と松本&郡山の子供たち~

2015年8月21日 18時開演 21 時終演
松本市四賀ピナスホール(四賀支所内)にて
協力券:500円 (小中学生は無料・要申込み)
 JCF事務局にて販売受付中(電話予約可)
 参加ご希望の方はJCF事務局までご連絡下さい。
 事務局までお越し頂けない方には、当日窓口でチケットをお渡しします。 
  TEL 0263-46-4218
  FAX 0263-46-6229  
  Emaile asama@jcf.ne.jp


福島の子どもたちの応援に、
ぜひ会場においでください。

|

2015年8月18日 (火)

鎌田實の一日一冊(243)

「帰れないヨッパライたちへ 生きるための深層心理学」(きたやまおさむ著、NHK出版新書)
若者たちは、海外留学に二の足を踏むなど、外に向かって勝負せず、内向きの足の引っ張り合いに終始する現代の日本。
原発事故があったにもかかわらず再稼働し
憲法9条があるにもかかわらず、簡単に解釈改憲が行われ、集団的自衛権の行使を容認しようとしている。
そういうあやふやな日本は、なぜなのか。
著者は、背景に母と子の関係と、さらに父親の存在の三角関係から読み解こうとする。

Photo

ぼく自身も拾ってくれた父に対して、特殊な感情をもち、父と対決することを避け、父の期待に応えてしまう感情をもってきた。
そこにぼく自身が強烈な個性をつくらず、なんとなく、どこでもだれとでもうまくやろうとするような自分となった原因があり、
今、「本当の自由ではない自分」というものに気づくことになったが、
この本も、そんな自分をあらためて確認できた。

|

2015年8月17日 (月)

鎌田實の一日一冊(242)

「アウシュヴィッツを志願した男 ポーランド軍大尉、ヴィクトル・ピレツキは三度死ぬ」(小林公二著、講談社)
こんな男がいたなんて信じられない。
ポーランド軍大尉であったピレツキはアウシュヴィッツに948日間潜入し、かつ脱走を果たした。
ピレツキは自由であることを誇りとし、社会が自由であることを求め続けた。
ぼくはこのところ、自由についてこだわって考えている。
自分は自由だと思い込んで生きてきたが、決して自由でない自分に気が付いた。
ピレツキには自由を求める凄味がある。
ナチスドイツと戦い、その後、母国ポーランドがスターリズムに支配されることに対してレジスタンスをする。
1945年1月、ソ連軍によりアウシュヴィッツは解放されたが、その後はスターリズムと戦わなければならなかったのだ。

Photo

パラダイスのような自由な社会というのが常にあるわけではない。
ぼくたちは生涯かけて、自由に挑戦している。
常に自由な人間として生まれを変わっていくことが、生きるということなのではないかと、この本を読んで思った。

|

2015年8月16日 (日)

ひまわり

講演で三重、名古屋、と続いて行った。
名古屋ブルーノートで神野美伽さんのコンサートがあったので、
原稿をいっぱい抱えていたが、なんとか時間のやりくりをして行った。
ブルーノートの空気感にぴったり合っていたのが、「ひまわり」。
あの名作映画「ひまわり」の曲に、湯川れい子さんが歌詞をつけている。
これがよかった。

Photo

「ひまわり」はソフィア・ローレンとマストロヤンニが戦争によってすれ違っていく夫婦を演じる映画だが、その世界観を切々と歌でよみがえらせてくれた。
戦争と平和について特に考える、今の時期にぴったりだ。
「悲恋」を日本語で歌ったが、これもすばらしかった。
神野さんは歌がうまい。
ブルーノートの空気を完全に支配した。

|

2015年8月15日 (土)

原爆と原発

70年前、ぼくたちの国は戦争に負けた。
だが、なぜ戦争を始めたのか、そして、なぜもっと早く終わらせることができなかったのか、
しっかりと総括できていない。
この国のリーダーは、連合国と戦って勝てると思ったことが大きな間違いである。
満州に兵を送り、同時にハワイの真珠湾を攻撃。
そして中国大陸から南アジアへ戦線を広げていった。
短期決戦のつもりが、長期戦になり、泥沼にはまっても、神風が吹くと信じきっていたのである。
圧倒的に負け続け、大空襲で市民が殺され、広島と長崎に原爆を落とされても、
2000万人の国民が特攻すれば、神風が吹き、上陸したアメリカ軍を打ち破ることができるととんでもないことを言うものもいた。
いったん始めた戦争は、なかなかやめることができない。

1506138fullsizerender

2011年、ぼくたちの国は福島第一原発事故という大変な経験をした。
いまだに10万人以上が帰れずにいる。
そんなとんでもない事故が起きたのにもかかわらず、また原発が動き出した。
川内原発は、たった一度の避難訓練もなく、再稼働した。
また得意の「原発安全神話」なのだろうか。
日本は原爆被曝国として、原発事故を起こした国として、核不拡散や核軍縮にもっと積極的にリーダーシップをとるべきだ。
なのに、5000発分の原爆をつくるだけの核廃棄物プルトニウムが、処理場所が決まらず、行き場を失っている。
原発が再稼働すれば、核廃棄物はさらに増加していく。
核サイクル事業は、およそ現実的ではなく、成功の見込みがないことがわかっているのに、一度はじめてしまったからなかなかやめられない。
人間は失敗する。
しかし、失敗したら総括して反省し、成功を目指すべきである。
戦後70年、戦争をしない平和な国でいつづけるためにどうしたらいいか、
そして、自然や命を守り、美しい国を子どもや孫に伝えるにはどうしたらいいか。
本気で考えなければいけない。

|

2015年8月14日 (金)

ハウラさんら帰国

イラクからJIM-NETのスタッフであり院内学級の先生であるイブラヒムさんと娘のファーティマさん、チョコ募金のときに花の絵を描いたハウラさんが来日。
北海道や長崎、東京でイベントに参加し、平和の大切さを訴えてきた。

1508121

1508123

ハウラさんは白血病を克服した。
ファーティマさんは母親を白血病で亡くした。
ファーティマさんの母親は妊娠中に白血病であることがわかり、双子の姉妹を産んだ直後に治療を開始したものの、助からなかった。
イラクには、白血病や小児がんが目立ち、過酷な人生を余儀なくされている子どもたちが多い。
11年前に始まったイラク戦争のツケが、いまイラクをたいへんな状況に追いやっている。
戦争をしていいことなんて、何もないのだ。
その国で必死に生きる若者たちを、これからも支援していきたいと思う。

1508122

1508124

猛暑の日本に来た3人も、そろそろ帰国のとき。
写真は、お別れ会の様子だ。
「ハウラの赤い花」という絵本が出版されたのをきっかけにできた歌をうたったり、
料理を食べながら、スタッフと別れを惜しんだ。

|

2015年8月13日 (木)

鎌田劇場へようこそ!(224)

「それでも僕は帰る -シリア 若者たちが求め続けたふるさと-」
ドキュメンタリー映画。
2011年に始まった民主化運動「アラブの春」。
シリアでもアサド政権の反政府運動が巻き起こった。
サッカーのユース代表のバセットは、サッカーボールの代わりに銃をもち、
民主化運動のリーダーになっていく。
しかし、アサド政権は抵抗する市民を殺し、ホムスで170人を虐殺。
これを契機に、非暴力の民主化運動は武装闘争へと変わっていった。
国が壊れかけ、その混乱に乗じて、ISが台頭。
状況はさらに複雑化していく。
その凄まじい内乱の様子を、非暴力を貫き、カメラで記録し続けようとする24歳のカメラマン、オサマ。
最後はとても悲しいシーンで終わる。

Photo

シリアには3度ほど行った。
首都ダマスカスにも、チグリス・ユーフラテス川の川岸の町にも行った。
世界遺産のパルミラ遺跡の町にも行った。
シリアとイラクの間にあるノーマンズランドにも、難民たちの診察に行った。
そのシリアが、とんでもないことになっていると、この映画を見て改めてわかった。
早く平和になってほしい。

|

2015年8月12日 (水)

鎌田實の一日一冊(241)

「貧乏の神様 芥川賞作家困窮生活記」(柳美里著、双葉社)
「創」という雑誌の原稿料の未払いが話題となったが、
芥川賞作家の困窮生活が書かれている。
貧乏やうつのことを書くとネットで炎上。
「ブログの更新ができているのだから、うつではない」
「作家ぶって鼻持ちならない」などと書かれるらしい。
それでも、へこたれず、
「炎上したら水をかけてもダメ、ガソリンを注がないと。
燃えろ、燃えろ」と、火に油を注いでいく。
そういう意味では、柳さんは普通の人ではない。

Photo

10年間、子育てをしながら、貧乏やうつと格闘してきた。
がんで逝った元恋人の入院費などの借金も背負った。
それでも彼女は書く。
貧乏でも、貧乏だからこそ、作家魂が健全なのかもしない、と思いながら読んだ。

|

2015年8月11日 (火)

クミコのコンサート

先月、クミコのコンサート2015「広い河の岸辺」が、東京国際フォーラムで開催された。
「広い河の岸辺」は、東北などで歌われ、全国でヒットしている。
ゲストに、ミュージカルで引っ張りだこの井上芳雄と、シャンソン歌手の古賀力が登場。
古賀力は、脳卒中のため車いすで登場したが、「先生のオルガン」を歌うときには立ち上がり歌い出した。
この「先生のオルガン」も、クミコが歌い、ヒットしている。

71ggypmukul_sl1500_

会場はクミコファンであふれ、ミュージカルやシャンソン、ジャズに酔いしれた。
今年の紅白出場もあるかも。
期待している。

|

2015年8月10日 (月)

9/12いのちの講演会

愛知県春日井市の中部大学で、鎌田實の講演会があります。
主催は日本臨床一般検査学会。
「生きているってすばらしい」と題し、
命を守るために大切なことについて語ります。
参加は無料。
往復はがきによる申し込みが必要です(8/20必着)。
ぜひ、ご参加ください。

150731

|

2015年8月 9日 (日)

動画・紛争と子ども

1945年8月6日に広島。
そして、今日9日、長崎に原爆が投下されました。

                 ◆

日本も暑い夏ですが、イラクやヨルダンも猛暑が続いています。
内紛のシリアから逃げてきた人たちが暮らすヨルダンのザアタリ難民キャンプで、
足を負傷した女の子リームちゃんは、理学療法士による機能訓練を受けています。
戦争は、いつも子どもたちを傷つけます。
いかなる戦争にも反対です。

こちらの映像をご覧ください。
↓   ↓   ↓
 

|

2015年8月 8日 (土)

がんばらない介護でいきいき暮らそう

超高齢社会の現代、介護はだれにとっても無縁ではありません。
家族や友人が介護が必要になったとき、自分自身が介護される立場になったとき、どんな心構えが必要なのでしょうか。
9月9日、鎌田實が群馬で講演します。
講演会は、会員以外の方も参加できるオープン講座。
ぜひ、聴きに来てください。
----------------------------------
あんしん財団福祉講座【群馬】
「がんばらない介護でいきいき暮らそう」
----------------------------------
開催日時 9/9(水)17:30~19:45(開場16:45~)
開催場所 高崎シティギャラリー コアホール JR「高崎駅」西口徒歩約10分
定員 300名(1組4名まで)
申込締切 8/19(水)(必着・申込多数の場合は抽選)
主催 一般財団法人 あんしん財団
申し込みはこちらから↓

|

2015年8月 7日 (金)

鎌田劇場へようこそ!(223)

「ポプラの秋」
湯本香樹実の同名小説の映画化。
ポプラ荘の大家のおばあさんは、天国に行った人への手紙を預かり、自分が死んだときに届けることができる、と不思議なことを言う。
たくさんの人が、その大家のおばあさんに、亡き人への手紙を託していく。
手紙を書いているうちに、書くことで救われていく。
大家さんを演じるのは、中村玉緒。
父を亡くし、失意の母を必死に支える10歳の少女も、父への手紙を日記のように書き続ける。
書き続けることで、成長していく。

Photo

少女を演じる本田望結が抜群の演技をみせている。
泣ける。泣ける。
最後はグッと来てしまった。
手紙はいいと思った。
たとえ届かなくても、手紙を書くことで空気が変わるのだ。
ぜひ、ご覧ください。

|

2015年8月 6日 (木)

鎌田劇場へようこそ!(222)

「日本のいちばん長い日」
原田眞人監督。
圧倒的に負け続け、広島と長崎に原爆を落とされても、
陸軍の将校たちは2000万人の国民に特攻をさせれば、神風が吹く、と豪語する。
アメリカの上陸と同時に、日本本土で闘う、ととんでもないことを考えていたようだ。
そのなかで、首相の鈴木貫太郎はポツダム宣言を受け入れようとする。
陸軍大臣の阿南は、戦争を止めようと考えているが、簡単にポツダム宣言の受諾するとクーデターを起こしかねないと、
必死に鈴木首相の政策に反対。
案の定、陸軍の東条英機は若手将校たちをそそのかす。
そして、若手将校たちが8月14日の夜に録音された天皇陛下の玉音放送のレコードを奪おうとし、軍事クーデターをおこしかける。
そうした力から必死に守り、15日正午に放送される玉音放送。
その日本のいちばん長い日が描かれている。
見ごたえがある。

Poster2

戦争を賛美するような映画では決してない。
戦争を始めるのは簡単だが、終わらせるのはどれほど難しいかがわかる。
ここに出てくるまっとうな軍人たちは、開戦させないように、もっと抵抗すべきだった。
軍の上層部がどれほど勝手なのかもわかる。
やはり、戦争しない国を目指さないといけない。

|

2015年8月 5日 (水)

鎌田劇場へようこそ!(221)

「あの日のように抱きしめて」
ドイツ映画。
このブログでも紹介した「東ベルリンから来た女」のクリスティアン・ペッツォルト監督の作品。
主演の夫婦も再び、この映画に出演している。

第二次世界対戦直後の深い葛藤が見事に描かれている。
夫はドイツ人、妻はユダヤ人の歌手。
夫はおそらく脅され、妻を裏切ったため、妻は収容所へと送られる。
一方的な離婚届も出されていた。

Poster2_4

時が経ち、妻は収容所から戻ってくる。
顔がめちゃめちゃになってしまい、形成手術を受けるが顔に大きな傷が残る。
奇しくも夫婦は再会するが、夫は、自分の妻であることに気づかない。
そればかりか、妻が膨大な遺産を相続したことがわかると、顔に傷がある女性に妻になりすますように頼む。
すべてを失った妻は、だまされても夫を恋しく思う。
ある曲をピアノで弾き、彼女が歌い上げる。
夫は、何かを感じるような、感じないような。
最後まで、顔に傷のある女が妻であることに気づかない。
気づこうとしない。

戦争は、人間の心をケモノにしていく。
友だちも、彼女がつかまるときにはだれも味方をしてくれなかった。
夫は明らかに裏切った。
資産家になった彼女を表面上歓迎するのである。
しかし、ここに出てくる一人ひとりはふつうの市民。
ときにはやさしい市民だったりするのだろう。
戦争が人をケモノにしたり、裏切者にしたりする。
戦争をしないことが大事だと思う。

|

2015年8月 4日 (火)

鎌田劇場へようこそ!(220)

「東京無国籍少女」
注目の押井守監督。
60代の監督とは思えない、シュールでストーリーが飛んでいくような感覚がとてもいい。
物語の説明を省いているので、勝手に観客が物語を作っていける。
一人の少女の心の葛藤を描く映画と思っていたら、ちょっと違う。
美術学校の少女たちが古い講堂でオブジェを作っていると思いきや、
それはオブジェではなく、戦闘ヘリコプター。
しかも、日本はなんだかわからない国に支配されており、少女たちは戦闘員であった。
セリフが極端に抑えられているのがいい。
音楽と映像美で、監督の言いたいことが伝わってくる。

Poster2_3

主役の清野菜名は大物になる可能性がある。
園子温監督の「トウキョウトライブ」も見たが、そのヒロインも演じていた。
動きが抜群にシャープ。
目に力があり、いつも納得できない自分を感じさせる瞳が宝物のような女優である。
大成すると思う。

|

2015年8月 3日 (月)

鎌田劇場へようこそ!(219)

「進撃の巨人」(後編 自由の翼)
実写版もロードショーされているが、これはアニメーションのほう。
諌山創の「進撃の巨人」は5000万部を突破。
なぜ、若者に受けているのか。

Poster2_2

突然、現れた巨人に、人類が食われてしまう。
防衛隊をつくり、自分たちの自由を守ろうとするが、それが守れない。
今回は女型の巨人が出現。
しかも、主人公エレンが、巨人化するという大きな問題が発生する。
巨人と闘いながら、巨人になってしまうという苦しみ、葛藤と闘い、
仲間のために自分が巨人になることを受け入れていく。
よくできている。
時々いいことも言う。
「悔いが残らないほうを自分で選べ」
「何も捨てることができない人には、何も変えることができない」
よくできた「生き方本」のよう。
流行っている理由がよくわかった。

|

2015年8月 2日 (日)

鎌田劇場へようこそ!(218)

「ぼくらの家路」
10歳と6歳の兄弟が、母を探す3日間。
母はシングルマザーで、働きながら子どもを育てている。
やさしいが、時々ボーイフレンドと出かけて帰ってこないことがある。
知らない人が母のベッドに寝ていることもある。
10歳の兄の気持ちは複雑だ。
お母さんが忙しいぶん、家事もやり、弟の面倒もよくみる。

Poster2_1

しかし、兄が食事を作っている間に、弟が熱くなりすぎたふろに入り火傷をしてしまう。
これを機に、母は兄を児童養護施設に預け、兄弟は離れ離れに。
夏休みに母が迎えにくるはずが、新しいボーイフレンドと過ごしていて、迎えに来ない。
施設で友だちができない兄は、勝手に施設を飛び出し、弟とともに母を探すことになる。
必死に母を探しながら、兄は生きるのことの切なさ、弟を守ろうとする強さを身に着けていく。
二人の「ママに会いたい」という叫び。
最後、こうやって大人になっいく、という大どんでん返しがあり、胸が熱くなる。
感動した。

|

2015年8月 1日 (土)

ハウラさんら来日

JIM-NETでは、イラクの子どもたちの医療支援を続けてきたが、
白血病を乗り越えたハウラさんと、JIM-NETスタッフであり院内学級で教えているイブラヒム先生が来日した。
病気を克服した後、初めての国外旅行なので、日本の文化にびっくりすることと思うが、あまりの 蒸し暑さに、イラクの日常着では体調を崩さないか、とスタッフも気を配っている。
ハウラさんとイブラヒム先生は、本日から東京など各地でイベントに参加。
交流しながら、イラクの現状や平和について話を聞けるいい機会だと思う。
また、8月9日のイベントのトークセッションでは、イブラヒム先生に現地で働く日本のNGOスタッフとして、 安保法案をどう捉えるのかなど、お話を伺う予定。
8月は戦争や平和について考える機会が多い月。
ぜひ、ハウラさんとイブラヒム先生に会いに来てください。

詳しくはこちら↓

Photo

Photo_2

|

« 2015年7月 | トップページ | 2015年9月 »