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2015年9月

2015年9月30日 (水)

鎌田劇場へようこそ!(235)

「パリ3区の遺産相続人」
大嫌いな父親が死に、息子がニューヨークからやってくる。
息子は人生失敗の連続。
酒におぼれ、何もかもうまくいかない。
母親は自殺している。

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父は遺産のほとんどを寄付し、高級アパルトメントだけを息子に残した。
だが、そのアパルトメントには、90歳の女性と娘が暮らしていた。
売れば16億円。売り払おうと思うが、彼女たちが居座っていてできない。
そんななか徐々に、憎んだ父と女性との関係が見えてくる。
二人は愛し合っていた。
母の自殺は、そのことを知ったためだった。
そして、娘は傷ついていることを知り、一夜を共にする。
多様な形の家族、その再生の物語である。
アカデミー俳優たちの共演で、めちゃくちゃもおもしろい映画だ。

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2015年9月29日 (火)

手紙

数年前、講演で高知を訪ねたとき、講演の後のサイン会で、一人の女性から手紙をもらった。
大親友が諏訪中央病院に入院しているという。
それだけの手紙であった。
この人が手紙を書いた目的は、そこには書かれてはいない。
しかし、入院している大親友に、思いを伝えてほしいのではないかと感じた。
ぼくは、諏訪中央病院に戻り、大親友という人の病室を訪ねた。

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この夏、また高知に講演をしに行った。
すると、同じ方から再び手紙をもらった。
そこには、入院していた大親友から「鎌田先生が病室に来てくださったのよ」と弾む声で電話があったこと、その友人は四国の病院に転院後、亡くなったこと、今でも大親友の弾む声が忘れられないこと、などが書かれていた。
ぼくがしたのは、病室を訪ね、高知であなたのことを思っている人に会ったよと伝えただけだったが、手紙の女性の思いはしっかりと入院中の女性に届いたようだ。
手紙の女性は、当時、ぼくが送った「友人を訪ねました」という葉書も、大切にしているという。
そして、今はJIM-NETのサポーターとして応援してくれている。

一人でも多くの人に役に立つ人間でありたいと思っている。
十分かどうか自信はないが、「だれかのために」と思い続けていこうと思っている。

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2015年9月28日 (月)

クリーンディーゼルの嘘

さすがにドイツのフォルクスワーゲンは頭がいい。
と嫌味も言いたくなる。
アウディもポルシェも傘下の世界で最も車を販売しているグループで、不正が発覚した。
排ガス規制審査のときだけ、窒素など有害物質を減らし、いいデータが出るようにしたソフトウェアが搭載されていた。
実際は、規定の40倍もの窒素ガスを排出しながら、世界の空気を汚染していたのだ。
卑劣な行為である。

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カブトムシ型のワーゲンにあこがれたこともあった。
しかし、今思えばワーゲンも、ポルシェも乗らなくてよかった。
ホンダや三菱、日産と乗り継いで、いまはトヨタとマツダである。
不正ソフトを載せたディーゼルは、ダーティディーゼルである。
たくさんの排気ガスをまき散らし、審査をだまし、購買者をだました。
すべてがダーティである。

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2015年9月27日 (日)

鎌田劇場へようこそ!(234)

「江南ブルース」
韓国で大人気のイ・ミンホが初の主役を務める。
韓国映画は元気。
30年ほど前の東映のやくざ映画に似ている。
菅原文太と高倉健が義理と人情で闘うような映画だ。

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日本と韓国は、韓流ブームが起こるなど、一時期、フレンドリーな関係になりつつあったが、
バク・クネ大統領が就任してからどうもギスギスした関係になってしまった。
こういうときこそ映画などを通して、お互いに理解し合うことが大事だ。
韓国映画、ご覧ください。
ちょっとすごいぞ、と見直すと思う。

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2015年9月26日 (土)

減量中だが・・・

名古屋で、諏訪中央病院が検査技師学会の学会長を務めるということで、
ぼくも市民公開講座で講演した。

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せっかく名古屋に来たので、矢場とんのみそかつとサラダを食べた。
ごはんは頼まない。
今、椎間板ヘルニアによる腰痛と、左足の坐骨神経痛で左足をひきずっている。
腰痛の負担を減らすため、太らないようにしたい。
78キロを73キロにしようと、炭水化物を減らしたりしている。
食べたいものはがまんせず、少しだけ。
これが、カマタ流のがんばらないダイエット。

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2015年9月25日 (金)

風に立つライオン基金

さだまさしさんから電話があった。
お願いがあるという。
「風に立つライオン基金」という一般財団法人をつくるので、評議員になってほしいという。
評議員には3人必要で、ヤクルトの元監督の古田さんと、指揮者の佐渡裕さんにもお願いしたという。
「風に立つライオン」は大好きな曲だ。
チェルノブイリやイラクに行ったりするとき、いつも耳の奥に「風に立つライオン」が響いている。
そんな話をしたら、「八ヶ岳に立つ野うさぎ」という姉妹編をつくってくれた。
この曲は、諏訪で開業している故小松先生とぼくをイメージして書いたという。

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まさしさんは、ケニアやスーダン、ミンダナオ島で活躍する医師たちをみて、
「風に立つライオン」をつくった者の責任として、がんぱっている日本人を応援したいとこの基金を設立した。
東日本大震災が起きたとき、一緒にチャリティコンサートをしたが、
災害時に被災した人たちだけでなく、被災地を応援に行く人たちを、さらに後ろから応援したいという思いがあるようだ。
「命」や「平和」について考えながら、行動したいと聞き、評議員になることにした。
ぼくも、たくさんの人のおかげで生きてこれた。
だから、自分の経験や能力、モノはおかえししなければいけないと、最近強く思っている。
「風に立つライオン基金」、たくさんの人に応援してもらいたいと思う。

風に立つライオン基金公式HP

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2015年9月24日 (木)

ゆっくりと、着実に

椎間板ヘルニアの腰痛症と左足の坐骨神経痛は、諏訪中央病院で神経ブロックをしてもらってから少し改善している。
鹿児島、鯖江、千葉・・・と各地を講演でまわっているが、1時間半の講演も立って話すことができている。
だが先日、鹿児島でおいしいお昼を食べたので気合いが入りすぎ、
1時間50分の講演になった。
腰痛バンドをしながらずっと立って講演したが、けっこうしんどかった。
講演の旅の間も、左肩の骨折の可動域を広げたり、手の疼痛症候群の自主訓練をしたりしているが、少しずつよくなっている。

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写真は、指の超音波治療をしているところ。
肩の骨折のほうは整形外科的には完治した。
あとは可動域を広げることだ。
この日は、150度まで肩が上がった。
肩や手の動きをよくするために、諏訪中央病院の東洋医学センターで鍼灸治療も受けている。
坐骨神経痛にはもぐさでお灸をし、痛みが少し改善してきた。
左手の指の動きもよくなった。
あとは、小指の動きが課題だ。
諏訪中央病院では30年前から東洋医学センターをつくり、2人の漢方医が漢方薬を投薬したり、鍼灸治療をしている。
自分が患者になって治療を受けてみても、いい病院だな、と思った。
肩の骨折を機に、あちこち故障が出てきて、
「ジジイになった」とブログに書いたら、
小田原のいつも応援してくれている方たちからファクスをもらった。
「ジジイではありません。私たちのアイドルです」
久しぶりに大笑いした。
寄る年波に負けず、なんとかなるだろう精神でやっていこうと思う。

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2015年9月23日 (水)

メタボ健診のシステム不備

メタボ健診のシステムに不備があった。
これは、厚生労働省が27億9000万円かけたシステム。
メタボ健診後、保健指導などで医療費がどのように変化するかなど、
ビッグデータでみることができる、と期待されていた。
しかし、健診データの打ち込みと、病気で受診したレセプトの打ち込みで、
全角や半角がばらばらに使われ、実際に突き合せができたのは2割程度だという。
改修に2億円かかるというから、ばかな話である。

1507141fullsizerender 諏訪中央病院の庭

もともとメタボ健診そのものに懐疑的な医師たちが多い。
ぼくもその一人。
ちょい太でも健康な人はいっぱいいる。
メタボ健診に大きな労力と時間をかけるよりも、地域包括ケアでやってきた健診で十分である。
むしろ腹囲だけで判断するやり方は、病気の人を見落としてしまう可能性がある。
そのメタボ健診が有効かどうかを見るためにも、ビッグデータの解析は重要なものだったのに、なんともお粗末だ。
安倍さんは、安保法制を通すことだけに力を尽してきたが、
経済や医療、介護などやるべきことは山積している。
本当に国民の生命を守るというなら、医療など社会保障こそ力を入れてもらいたい。

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2015年9月22日 (火)

週末は茅野へ!

諏訪中央病院の病院祭が9月26日(土)10時から開催されます。
健康チェックや手術室見学、ヘリポート見学、病院のトロミ食や鎌田式トマト寒天の試食など、健康や最新の医療と触れ合えるほか、小中学生や看護学生によるロビーコンサート、若手医師による屋台村など、
たくさんのプログラムを用意。
ためになり、楽しい催しがいっぱいです。
ぜひ、お出かけください。
26、27日は茅野市で第18回小津安二郎記念蓼科高原映画祭も開かれています。
上映作品は、「ソロモンの偽証」「柘榴坂の仇討」など最近の評判のいい映画や小津安二郎監督の「秋日和」など。
「東京物語」は、中井貴恵さんが音語りをします。

秋のさわやかな季節。
茅野へ遊びに来てください。

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2015年9月21日 (月)

必然の勝利

ラグビーW杯で、日本が南アフリカに勝った。
奇跡に近い勝利だ。
3か月程前、日本代表ヘッドコーチのエディー・ジョーンズと対談した。
そのころ、日本は合宿中。徹底的にしごいていると言っていた。
この対談が実現するまで、何度かスケジュールの変更があった。
「忙しいのに対談につき合わせて申し訳ない」と言うと、
選手たちの自立心を高めるために、少し離れたほうがいいんだという。
彼が指揮をとって日本は9位になったが、すぐに13位になった。
体の小さな日本人がベスト10に入るのは困難なことのようだ。
「俊敏さや華麗さは天下一品でも、それだけではラグビーは勝てない。
日本人に必要なのはフィジカルな強さだ」と強調。
厳しいトレーニングをし、筋力の増強に励んでいたようだ。

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エディー・ジョーンズ自身が闘う人。
彼は脳卒中になったが、まったく負けることを考えなかったという。
徹底したリハビリをし、すぐに復帰した。
今回の奇跡の勝利は、偶然ではなく、必然である。
エディー・ジョーンズが仕組んでいるのだ。
リーダーの役割がどれほど大きいかわかる。

今回、タイムアップ直前、最後のペナルティキックのチャンスをもらったにもかかわらず、
五郎丸というすぐれたキッカーがいるにもかかわらず、同点を狙わず、スクラムを組んだ。
そして、逆転のトライを狙い、どこかでミスすればタイムアウトで負けるかもしれないのに、
奇跡のようにパスが回り、左隅へトライ!
こんな感激するトライは見たことがない。
なんとかベスト8に残ってほしい。

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2015年9月20日 (日)

安保法制成立

安保法制が成立した。
存立危機事態なんてあやふやな概念で、集団的自衛権の行使を認めていいものなのだろうか。
中国や北朝鮮、韓国が怖いというが、今の政治家が韓国とどれだけ向きあってきたか。
中国は経済成長が失速しはじめ、日本と仲よくしたくてしょうがないのである。
存立危機事態なんて、政治家が無力だから起きるのである。
政治は、○と×の間にある日本にとっていい△を探すことだ。
しかし、日本の民主主義は幼すぎる。
互いに○と×を主張し、議論を深めないまま、まったく相容れないのである。

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でも、ぼくたちはあきらめてはいけない。
民主主義のルールに従って、選挙で少しでもこの国をまっとうな方向にもっていくことが大事。
安保法制は成立したが、この国をよくするかどうかはこれからが勝負だ。

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2015年9月19日 (土)

鎌田劇場へようこそ!(233)

「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」
「サーフィン・USA」「グッド・バイブレーション」など大ヒットを飛ばしたザ・ビーチ・ボーイズの知れざる真実。
ポール・マッカートニーがライバルと認めた天才ブライアン・ウィルソン。
しかし、あまりにも音楽にのめりこんでいくブライアンは心を病む。
そこにつけこんだ精神科医は、薬のオーバードーズで、ブライアンを操ろうとする。

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大量のドラッグを飲まされたブライアンは正常な判断ができなくなり、
この精神科医を後見人にするなど、自由を奪われていく。
偶然、出会った女性がこれに気づき、精神科医は医師免許をはく奪。
ブライアンはよみがえり、1988年、初のソロアルバム「ラブ&マーシー」を発表する。
ブライアンは成功しても、人生に納得いかなかった。
人生に納得し、一人で生きる覚悟をすること。
この映画を見ながら、自分の人生のことも考えた。

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2015年9月18日 (金)

鎌田實の一日一冊(250)

「平和をとわに心に刻む三〇五人詩集 十五年戦争終結から戦後七十年」(コールサック社)
なんとも重い詩集。
二度と戦争をしてはいけないことがよくわかる。
新川和江の詩「この足のうら」で始まる。

さては悪性黒色腫(メラノーマ)?
癌センターに駆け込み 検診を受け
杞憂とわかったが
恥ずべきである この狼狽ぶりは
たかがひと粒の血豆のごときに

野原を走って行く少年の
すこやかな脚が 今地雷を踏んで
片っぽ 吹っ飛んだかも知れないのだ
少年にこの先与えられていた
数千数万キロの光る道を
どうやったら償ってあげられる?
砂糖黍を ライ麦を
すくすく育てる土のぬくとさとを
吹っ飛んだ足のうらに
どうやったら伝えてあげられる?
奪ったのは わたしかも知れないのだ
いいえわたしだ
自分ひとりを支えるのに汲汲としている
情けない 腑甲斐ない
この足のうらよ
(一部抜粋)

学徒出陣壮行会の詩などは、胸が痛む。
2万5000人の女子学生が戦争に行く学生たちを祝福する。
若者たちは、国、家族、恋人のために、不条理な状況のなかで戦争に行かされる。
まるで魔術をかけられたように。
そして、国家のためにと若者たちは散っていった。

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二度と戦争を起こしてはいけないというのが、この詩集を読むとわかる。
安保法案で重箱の隅をつつきあっている政治家。
特に安倍首相には静かな気持ちで、この詩集を読んでもらいたい。

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2015年9月17日 (木)

鎌田實の一日一冊(249)

「哲学の使い方」(鷲田清一著、岩波新書)
哲学者・鷲田清一の哲学は非常にわかりやすい。
看護学校で看護哲学を教えていたころ、鷲田さんの文章を学生たちと読み合ったことがあった。
ソクラテスやサルトルを読んでいなくても、哲学する習慣があるといいと、学生たちによく話した。
「人を支えるとは」
「命とは何か」
「人間とはどんな生き物なのか」
答えがいくつあるのか、いや、答えがあるのかもわからない。
そんな息苦しさを抱えた時代に、哲学を使って生きぬいていくヒントがある。
答えは見つけることはできなくても、手がかりはみつかるかもしれない。

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「生きるとは何か」
いま、ぼくも学生たちに問いかけたことを自分にも問いかけている。
教えたり教わったり、問うたり問われたり、メビウスの輪のような永久運動で哲学しつづけている。

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2015年9月16日 (水)

おもしろい人

絵本「100万回生きたねこ」の佐野洋子は、本当におもしろい人だ。
谷川俊太郎と50代で結婚し、6年ほど生活。
谷川俊太郎に言わせると「理由に言わずに突然、出て行ってしまった」そうだ。
離婚した後も、谷川の軽井沢の別荘の隣に、もっと立派な別荘を建てた。
なんで隣に建てたのだろうね、といまだにわからないらしい。
イギリスの名車ジャガーをぽんと買ってしまったりもした。

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一人息子には「人間としてはまあまあだけれど、母親としてはみっともない」と言われている。
息子への期待のかけ具合のバランスが、どうもうまくいかなかったみたいだ。
自分はいい母親になりたかったが、無理をしていたことに後で気づいたという。
「覚えていない」「ふつうがえらい」などたくさんのエッセイも残しているが、
視点が斬新だ。

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2015年9月15日 (火)

鎌田劇場へようこそ!(232)

ミュージカル「100万回生きたねこ」を見た。
絵本は210万部を超えるロングセラー。
それをイスラエルの芸術家インバル・ピントとアプシャロム・ポラックが演出、振り付け、美術、衣装を手がけた。
イスラエルはコンテンポラリーダンスのメッカ。
ダンスがすばらしい。
白猫役の深田恭子は、なかなか見事なもの。
成河(ソンハ)のダンスもすばらしい。

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100百万回生きられることはちっともうらやましくない。
死ぬことができる、というのが大事だと思う。
命は一回勝負。
100万回生きたねこも、白猫と出会って、本当の愛を知り、やっと永遠の死にたどり着く。
ダンスはときおり、静寂を作り出す。
その静寂に、ふと自分の人生を見直してみたりした。
芝居はおもしろい。

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2015年9月14日 (月)

信州ACE弁当

平均寿命日本一の長野県。
世界一の健康長寿を目指すために、
長野県は信州ACE(エース)プロジェクトを展開してきた。
A・・・Action(体を動かす)
C・・・Check(健診を受ける)
E・・・Eat(健康に食べる)

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中高年は比較的健康意識が高いが、コンビニをよく利用する若年層にも健康意識を高めてもらいたいと、長野県全店のセブンイレブンで「信州ACE弁当」を販売している。
特徴は、野菜たっぷり。
信州産のアスパラやニンジンを使った肉巻き、五目卵焼き、鶏肉と野菜のトマト煮などが入り、580円。
野菜は約200g、食塩は約2.5gの減塩、カロリーは630kcal。
健康を意識したこういうお弁当が全国の身近な店頭に並べば、日本全体が元気になり、長寿世界一も夢ではなくなる。

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2015年9月13日 (日)

鎌田實の一日一冊(248)

「人間らしさ 文明、宗教、科学から考える」(上田紀行著、角川新書)
人間のかけがえのなさとはどういうものか。
かけがえのない生き方には、利他的な行為が必要で、そこから人間らしさが生まれてくると筆者は言う。
なかなかおもしろい。

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数学や物理を得意としている東工大の大学生たちが、人間のかけがえのなさについて勉強している姿はとても頼もしい。
慶応大学看護学部の学生が、東工大のゼミに参加しているというのも、おもしろい。
上田さんのゼミはかつて、諏訪中央病院に見学や研修に来てくれたことがある。
大学の壁を越えたゼミは、とてもいいことである。
そこから、新しい物理学や医学、看護学が生まれてくる可能性がある。
東京工業大学の教育システムにしばらく注目してみたいものだ。

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2015年9月12日 (土)

だらしのないベジタリアン

鹿児島で講演し、サイン会をして、飛行機で大阪へ。
滝見小路にある「きし」というお好み焼き屋によく行くが、いつも行列ができていて、
一時間も待つことができず。
オヤジさんと懇意にしていて、入れてくれようとするが、それはマズいので、
そこから5メートル離れたところにあるカツレツの店に入った。
ヨーロッパ系のカツレツ、たとえばキエフカツレツなどは薄くたたいているが、
ここのは厚い。
今回頼んだのは、ソースかつ丼とかつとじ。

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目の前で揚げてくれる。
ちょっと食べすぎたが、日ごろ野菜中心の食事をしているので、
よしとしよう。
やっぱりぼくはだらしのないベジタリアン。
でも、これでいいのだ。

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2015年9月11日 (金)

夏の名残の冷やし中華

神保町の源来酒家は、いまぼくのお気に入りの中華屋さん。
人を連れて行っても、とても喜ばれる。
主食では麻婆めんを気に入っているが、夏はやっぱり冷やし中華。
めんがうまくて、大感激だ。

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干し豆腐のサラダを一つ頼み、2、3人で食べるとちょうどいい。
それに餃子を一人一個と、エビチリを頼み、最後に冷やし中華で、そろそろ終わる夏の名残を惜しんだ。

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2015年9月10日 (木)

健康寿命も世界一

ワシントン大学などの医学チームの健康寿命についての調査が、世界でも屈指の英国医学雑誌「ランセット」に発表された。
それによると、日本人の健康寿命は男性71歳、女性75.5歳でともに世界一(調査対象188カ国)。
平均寿命と健康寿命の差は、介護など、だれかの支えの手を要する期間といえるが、
このデータでは、男性9年、女性10年ほどがその期間になる。
ピンピンコロリを目指すには、この差をいかに縮めるかが課題になる。

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要介護状態になる原因で多いのは、脳卒中と骨粗鬆症。
脳卒中の予防には、血管を健康に保つことが大事になる。
そのためには、
1、減塩
2、野菜をたくさん食べる
3、オメガ3といういい油をとる(魚のEPAやDHA、えごま油、くるみなど)
4、食物繊維をとる
5、発酵食品をとる
6、運動をする
――などが大事である。
特に運動は必須。
単なるトレーニングというよりも、好奇心をもって旅に出たり、友だちをつくり、
社会参加すること、趣味、生きがいをもつことといった日々の活動が大切なのである。

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2015年9月 9日 (水)

本とジャズ

部屋で本を読みながら、ジャズを聴いている。
ジャズ漬けの一日もある。
ビル・エヴァンスのピアノが好き。
どんなセッションでも自分流に疾走するバド・パウエルもかっこいい。
セロニアス・モンクのように詩人のピアニストもいい。
ビル・エヴァンスのピアノは、内面の美意識を感じる。
ぼくは今、生き方に悩んでいるが、
言葉のないジャズは気持ちを楽にしてくれる。
ジャズの巨人たちの演奏を聴きながら、自分を顧みることができる。

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ジャズをあまり聴いたことがない人は、
隔週刊CDつきマガジン「ジャズの巨人」(小学館、1200円)が出ている。
その№10がとてもいい。
全部買って聴く必要はない。
食事の後、テレビをつけず、ビル・エヴァンスを聴くのもいい。
その時、鎌田の本を読む、なんて、きっといけていると思う。

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2015年9月 8日 (火)

鎌田劇場へようこそ!(231)

「黒衣の刺客」
とにかく美しい。
そして、ポエティック。
武侠映画なのに、人生や運命を考えさせる映画。
「非情城市」の巨匠ホウ・シャオシェンが監督をつとめる。

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日本の男優・妻夫木聡がすてきな役で出てくる。
戦わさるを得ない人間の業が見事に描かれている。

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2015年9月 7日 (月)

鎌田劇場へようこそ!(230)

「マイケル・ジャクソンTHIS IS IT」
2009年にマイケルが急死したため、何年ぶりかのコンサートを前にして撮りためていたビデオを映画にしたのだろう。
ステージにかける情熱と完璧を目指す姿が、すごい迫力だ。

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コーラスが譜面を見ながら歌っているのに、マイケルはすべて覚えている。
踊りも振付師はいるが、マイケルがほかのダンサーに指示を飛ばし、マイケルが振り付けしているのではないかと思わせるほど。
舞台監督よりも的確に、ドラムにアクセントをつけさせたりする。
しかも、それでいて謙虚でフレンドリー。
最高のアーティストが、自分ひとりでステージをつくっていると思っていないところがいい。

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2015年9月 6日 (日)

鎌田劇場へようこそ!(229)

「ボリショイ・バビロン」
2年前、ボリショイ・バレエの元スターダンサーで芸術監督のセルゲイ・フィーリンが硫酸をかけられるという衝撃の事件が発生した。
犯人は、バレエ団員のドミトリチェンコというダンサーだった。
つきあっているダンサーが、セルゲイに抜擢されなかったことが動機ではないかとされている。

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ドキュメンタリー映画である。
とにかく美しい映画。
そのなかでうごめく人間の心が見事に表されている。
飽きさせない、感動的な映画である。
それにしても、歴史あるボリショイ・バレエのなかに、よくこんなカメラが入りこめたと思う。

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2015年9月 5日 (土)

鎌田劇場へようこそ!(228)

「紙の月」
宮沢りえ主演。
人妻で銀行員が、遊び人の学生にお金を貢いでいく。
蜷川幸雄演出の「下谷万年町物語」(2012年)の宮沢りえの芝居を見て、惚れ直した。
映画「紙の月」も、すばらしい。

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実生活での母との葛藤や別れ、恋愛、子育て・・・いろいろな経験が、
より魅力的な女優にしているのだろう。

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2015年9月 4日 (金)

リハビリ中

肩の骨折はリハビリで95%くらいよくなった。
あと5%は、手の上がる角度が160度ほしいところが、140度までしか上がらないことだ。
関節可動域に制限ができている。
肩の三角筋の筋力が低下しているので、強化しているところだ。
左指の浮腫は、CRPSという交感神経が麻痺してしまう病気だったが、
これも80%くらいよくなった。
残りの20%は、まだ指三本が硬くて握ることができない。

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こんな状況に加えて、今度は腰痛!
諏訪中央病院でMRI検査をしたところ、腰椎の4、5番目、仙骨の1番目に椎間板ヘルニアが起きていた。
痛みが薬でコントロールできなければ、神経ブロックをすることになる。
1、2か月は安静だ。
ジジイになって、体が悲鳴を上げている。
しかたないですね。
このジジイの体と仲よくしていくしかない。
ケセラセラで行こうと思っている。

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2015年9月 3日 (木)

鎌田劇場へようこそ!(227)

「ロバート・アルトマン ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男」
ロバート・アルトマンは、映画監督。
「マッシュ」を45歳でつくり、大ヒットさせた。
カンヌ映画祭で最高賞も取った。
常に社会的な視点を忘れない。
権力と闘う。
そして、ありきたりな規範に逆らう。
ドキュメンタリー映画である。
大スターや映画人たちの、アルトマンに対する証言がおもしろい。
ブルース・ウィリスは「くたばれハリウッド」。
大きな仕事が来ても、自分の好みと合わなければ断ったり、
勝手な作品をつくり、プロデューサーと反目したりしている。

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ぼくの大好きな役者ジュリアン・ムーアも、アルトマンは強い人間と思われているが、人間の弱さも示している、というようなことを証言している。
ちなみに、ジュリアン・ムーアは、アルトマン作品ではないが、「ことの終わり」が素晴らしかった。
アルトマン自身は、こんなふうに述べている。
「私は何も変わらない。同じことをやり続けるだけ」
「自分のやる仕事と人々の考えがうまく一致すれば成功する。
失敗して過去の人と言われてもまた始める。
私はまっすぐに進むだけだ。
ほかの人はぶれるけど」

今、ぼくは生き方に悩んでいる。
だれよりも自由に生きてきたと思ってきてが、それほど自由に生きていないということに気が付いた。
自由に生きるとは、どういうことか考え続けている。
その意味でも、この映画はとても刺激的である。

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2015年9月 2日 (水)

ガザに平和を

8/30の朝日新聞「ひと」欄に、清田明宏先生が紹介されていた。
「ガザ 戦争しか知らない子どもたち」(ポプラ社)という写真絵本を出版した。
国連パレスチナ難民救済事業機関の保健局長。
パレスチナ難民のために137か所の診療所があり、3000人のスタッフが働いているが、
その最高責任者である。

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清田先生がこの組織にトップに立ってから、大改革をしてくた。
アメリカ型の大きな病院を作るというスタイルから、診療所をいくつもつくり、
そこでほどほどの救急医療と高度医療、それと健康づくりなどを行う日本の地域包括ケアシステムのようなものを導入した。
ぼくがガザやヨルダン川西岸に入ったときには、いつも清田先生が案内をしてくれた。
この夏、清田先生が日本に戻ってきたときには、都合が合わず、一緒に食事ができなかった。
清田先生から、またガザに来ないかと、誘われている。

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2015年9月 1日 (火)

セカンドオピニオン

主治医以外の医師の客観的意見を求めるセカンドオピニオン。
かつては、「主治医を疑うようで気が引ける」というような患者さんの声も聴かれたが、
最近は当たり前のものとして普及してしている。
医師限定のコミュニティサイト「メドピア」が医師を対象に、セカンドオピニオンについてどう思うか聞いた調査では、
がん以外の疾患で、患者からセカンドオピニオンの要請があった医師の87.4%が、「不快に感じない」と答えている。
セカンドオピニオンの要請を受けたことがない医師も、もし要請があったとしても、84%は「不快に感じないだろう」としている。
そういう時代になったのだ。
ただし、セカンドオピニオンを要請されたことがある医師は約60%。
4割の医師はセカンドオピニオンを要求されたことがないという。
もっと当たり前のように広がっているかと思ったが、そうでもない。
まだまだ患者側は遠慮しているのだろうか。

1507224fullsizerender 諏訪中央病院の庭で

セカンドオピニオンを要請されても、約80%の医師が「影響ない」と答えているが、
その一方で、約10%が「悪い影響がある」と答えている。
「徒労感がある」「自分が信頼されていない」と感じるようだ。
セカンドオピニオンを要求されて、徒労感を感じたり、信頼されていないと思ってしまう医師が少数いるのはしかたないが、
状況によっては、そういう医師とは縁を切ってもいい。
セカンドオピニオンは、治療方針を客観的にみたり、明確にするための当たり前の行為だ。
主治医と同じ意見なら、その治療に納得しやすくなる。
厚生労働省の検討会の調査では、セカンドオピニオンを利用したことがある患者は、
5000人の調査対象者の22%だった。
もっと普及させたいものである。
医師側も、セカンドオピニオンを受けやすいよう、紹介状をすぐに出せるようにしたり、
セカンドオピニオン外来がもっと広がるといいと思う。

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