ノーベル文学賞の最有力候補
ベラルーシの女性作家スベトラーナ・アレクシエービッチが、ノーベル文学賞の最有力候補だと下馬評に上がっている。
彼女は、ここ数年、候補として名前がうわさされているが、今年はどうなるのだろうか。
アレクシエービッチ氏が来日したとき、対談したことがある。
1948年生まれのぼくと同い年。
ベラルーシのミンスクで活動している作家である。
第二次世界大戦に従軍した女性を取材した「戦争は女の顔をしていない」や、
進撃してくるドイツ軍を、「頭からかぶったオーバーのボタン穴から見てました」という子どもの視点から、戦争を描いた「ボタン穴から見た戦争」、
アフガン戦争の実像を知らせた「亜鉛の少年たち」
チェルノブイリ原発事故の被害者や作業員の声を集めた「チェルノブイリの祈り」など、
優れた作品がある。
「アフガン帰還兵の証言」など、アフガン戦争のことも描いている。
不凍港がほしいソ連は、アフガニスタンが内戦状態になった機を逃さず侵攻。
泥沼の戦いになっていく。
このときの戦いがいま世界の脅威になっているテロリストを生み出していく。
ソ連の侵攻がなかったら、「イスラム国」も生まれなかった可能性がある。
1983年に「戦争は女の顔をしていない」書いたとき、平和主義と言われ2年間、出版を差し止められた。
「私は村を離れた」では反体制的ジャーナリストというレッテルを貼られた。
いつも権力に負けなかった。
ほくとの対談で印象に残ったのは、
「自分たちに起こったことを理解しようとするときに、
科学とか数学、物理が力になるのではなく、ただ一つのすべきこと「人間の愛」が、
これからの人たちのよりどころになっていくだろう」
「歴史を本当に証言するのは政治家でも偉人でもない。普通の人々なのだ」
スベトラーナ・アレクシエービッチがノーベル文学賞をとったら、すばらしいなと思っている。
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