« 鎌田劇場へようこそ!(247) | トップページ | 1日5000万円 »

2015年11月13日 (金)

鎌田實の一日一冊(256)

「民主主義ってなんだ?」(高橋源一郎×SEALDS共著、河出書房新社)
ダイナミックでおもしろい本。
デモなんかしたことがない若者たちが、何万人ものデモを誘発していったのか。
デモの街宣車を借りるとき、アルバイト代を費やす学生がいた。
スピーチやコールも、シュプレヒコールとは違うものにしようとライブ感覚で考えた。
キング牧師のスピーチを何度も聞いて、リズムや韻を踏んでいることに気づき、ラップ感覚の掛け合いが生まれた。
「政治的な発言はしない」と思われていた学生たちが、いっさい組織に頼らず、一人ひとり自由に参加した。
それによって、ミドルもオールドも学者たちも声をあげ、日本中をまき込んだ。

Photo_2

民主主義とは何か、本格的に展開され、わかりやすい。
高橋源一郎がアナーキーなテイストになっていくと、学生たちが立憲主義の重要性を説きはじめる。
学生のほうが現実的で、高橋のほうがロマンチスト。
いまの議会制民主主義や代議制民主主義は二世、三世の政治家が多く、貴族制とあまりかわりない。
しかし、それでも独裁主義よりも、民主制のほうがまだましだと、若者たちは発言する。
結局、高橋と学生たちの議論がたどり着くのは、民主主義には完成形がないということ。

1509281 カバーをむいた装丁もしゃれている

ときにアメリカなどでは民主主義を守れと軍隊を出して、ほか民族や宗教、主義の人を殺したりする。
学生の一人は、民主主義とは何かと考えるのではなく、民主主義的なことをやってみる、つまり話し合ってみることが民主主義なんじゃないかと言う。
話し合いで相手の意見を聞いて、自分も相手も少しずつ変わっていく。
これがぼくらの民主主義の片鱗だともいう。
民主主義は、平等でない現実を認識することからはじまる。
世の中は平等だというフィクションのうえに、民主主義が成り立たないようにすることも大事だと警告する。
いま日本の民主主義は土俵際にきているように見えるが、民主主義の不在や空白は自分たちで埋めていくしかない。
この夏の若者たちの動きは、その力を感じさせる出来事であった。
とてもいい本である。

|

« 鎌田劇場へようこそ!(247) | トップページ | 1日5000万円 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事