カマタの怒り13
「原子力明るい未来のエネルギー」
福島県双葉町の入口にある看板が撤去された。
町内外の約6900人の人が、原発事故の悲惨さと教訓を後世に伝えるためにも残すべきだと署名運動をしたが、撤去されることになった。
原発推進をしてきた町としては、住民を町に帰すことができない今、悔しく、恥ずかしい思いでいるのだろう。
アウシュビッツ収容所に行ったとき、
「働けば自由になれる」と書いてある看板を見た。
人間は聞こえのいい看板やスローガンで人を動かそうする。
弱い人間は、その虚構を事実と思い込んでしまう。
真理はどこにあるのか考えつづけなければいけない。
ニーチェは「善悪の彼岸」で「自分を試練にかけよう。人知れず自分しか証人がいない試練に」と書いている。
看板は取り外せても、自分が証人である試練から逃れることはできない。
福島県や双葉町の人たちだけでなく、「事故は起きないはず」と言い続けて原発を存続させてしまった一人として、自分に試練にかけようと思う。
「原子力明るい未来のエネルギー」という看板は撤去されたが、
いまだにこの看板にすがっている人はいる。
忘れてはいけないことは、忘れてはいけない。
忘れてはいけないことは、忘れてはいけない。
怒りをもって、自分の身に刻み、後世にも伝えていかなければならない。
◇
昨年末に連載した「カマタの怒り」シリーズ、再開します。
| 固定リンク
「エネルギー・環境問題」カテゴリの記事
- 廃炉事業のトップを(2016.10.04)
- カマタの怒り(31)(2016.09.27)
- カマタの怒り(25)(2016.08.27)
- カマタの怒り(24)(2016.08.26)
- カマタの怒り(23)(2016.08.25)