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2015年12月28日 (月)

カマタの怒り14

介護離職ゼロを目指すという。
一見、心地よい目標だが、どうやって実現するのか疑問だ。

厚生労働省は2015年を地域包括ケア元年とし、施設に頼らず地域で介護が必要な高齢者を支えようと構造改革を始めたところだ。
「施設に頼らない」とはいうが、実際には施設では対応しきれない現実がある。
都道府県別の最新データをみると、東京では在宅死が16.7%を占める。
東京では施設が少ないため、終末期をすでに在宅ケアに頼る人が増えていることを示している。
しかも、首都圏では質の高い訪問看護ステーションができ、若いドクターたちが往診にも乗りだしている。
地方がやっていたことを、大都市でもやるようなったのだ。
とてもいいことである。

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しかし、新三本の矢の一つとして、介護離職ゼロを掲げた安倍さん。
どうやって、介護離職ゼロを実現するつもりなのだろうか。
もっと特養をつくるという安易な方法は、実現不可能だし、地域包括ケアと矛盾する。
いま特養に入所希望する、要介護3以上の待機者は東京圏で1万5000人と言われる。
2025年には、今より175万人の後期高齢者が増える東京圏ではおそらく、さらに3万人の待機者が増える。
東京で100床の特養を300か所もつくれるとは思えない。
土地も資金も人手もない。

毎年、介護のために仕事を辞める人は10万人いるといわれる。
この介護離職がゼロになるなら、ぜひ、そうしてもらいたい。
問題は、どうやって実現するか、だ。
むしろ、無理やり介護離職ゼロにするのではなく、介護をしながら働きやすい環境をつくったり、
いったん介護離職しても希望すれば再び正社員として働くことが容易になるなど、
働き方のスタイルを多様にするほうが、よほど現実的だ。
来年の参院選に勝つために、実現不可能な耳ざわりのいい目標を掲げているだけではないか、と腹立たしくなる。
机上の空論ではなく、リアルな問題をしっかりと見据えてもらいたいものだ。

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