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2015年12月17日 (木)

鎌田實の一日一冊(262)

「ヒマラヤ聖者の太陽になる言葉」(相川圭子著、河出書房新社)
世界でたった2人しかいないというシッダーマスター。
ヒマラヤに4日間、水も食べ物なく、閉鎖空間で瞑想し、無我の境地に入る。
著者は、これを18回もやった日本人の相川圭子さん。
不思議な光や音を感じながら、呼吸をしているのかしていないのかわからない境地に入るという。
相川さんはこう書く。
心は入れ物であり、さまざまな思いや記憶がつまっている。
現代人の多くは、心の中に怒りや悲しみ、イライラが充満して、空っぽにするとか、無心になるなんてできなくなっている。
しかし、人間は愛の海から生まれて、愛の海に帰っていく、と信じることができれば、
人にやさしくできるし、無欲になることができる。
瞑想することで自分の魂を自由にすることができるという。

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おもしろい本である。
2週間で4万5000部売れている。
ぼくはずっと「いい子」を演じてきた。
自分がかわいくて、相手に気に入られようとしている。
カッコもつけてきた。
見栄も張ってきた。
これらは、無意識のうちにした自己防衛の結果による、生活の癖である。
この本を読むと、より「愛の人」になるために積極的に浄化が必要であることがわかる。
読んでいてアンドルー・ワイルの「人はなぜ治るのか」を思い出した。
高度医療の医師だったワイルが現代医学の限界に気が付き、「体には自然治癒力がある」「あらゆる病気は心身相関病である」「正しい呼吸は健康へのカギである」と述べた。
相川さんは「慈しみなさい」「分け与えなさい」「足ることを知りなさい」「もっと愛を与えなさい」「正直でいなさい」「誠実であれ」「純粋でありなさい」
これらが具体的ななすべきことです、とはっきり言う。
暴力的な言葉は使わないことも大切だとつけ加えている。
究極の悟りを行った不思議な人であるが、
心が疲れてしまったときには、生きるヒントがもらえるような気がする本である。

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