鎌田實の一日一冊(264)
「福島原発事故 被災者支援政策の欺瞞」(日野行介著、岩波新書)
福島原発事故の被曝から、自主避難者や子どもを守るべくつくられた法律が途中から骨抜きにされていく。
他県に自主避難をした人たちの健康や命、生活を守ろうとしているとはとても思えない。
「腎不全発症から10年 なぜ私は人工透析を拒否してきたか」(リュウ・ウェイ著、きずな出版)
著者は有名なバイオリニスト。
腎不全で人工透析を受けず、手さぐりで食事や生活を模索してきた記録である。
腎不全でも食べられるものを探しながら、自分の体が喜び、安全である食を具体的に考え、実践していく。
透析患者は32万人、腎機能が不全状態の患者は100万人くらいではないかといわれている。
腎不全はこうすれば治るという決定打がない。
このような患者さんが独自にやってきた食事療法は一つのヒントになる。
「病院は劇場だ 生と死を見つめた研修医の7日間」(バディスト・ボーリュー著、早川書房)
フランスの大人気ブログの書籍化。
自殺未遂で運ばれてきた患者に研修医が、以前、ガソリンをまいて壁に車ごと突っ込んだ自殺未遂の男の話をする。
O・ヘンリーの名作短編集を読んでいるような感じ。
自分の視点をもてばだれでも作家になれる可能性はある、と思わせてくれる本だ。
「英国の国営医療改革 ブレア=ブラウン政権の福祉国家再編政策」(柏木恵著、日本評論社)
オバマケアの評価は分かれているが、どちらかというとぼくは問題が山積みだと思う。
医療政策はそれだけ難しいが、日本も政策を誤らないために、ときどき難しい本を読む。
「考えるマナー」(中央公論新社)
逃げて勝つマナーや、愛が生まれるマナー、世渡りのマナーなど、
劇団ひとりや佐藤優、赤瀬川原平ら12人が軽妙で絶妙な考え方を披露している。
「天使のとき」(佐野洋子、朝日新聞出版)
「100万回生きたねこ」の佐野洋子が好き。
ちょっと壊れた女や戦う娘、ドジなお母さんを見事に演じてきた。
一度だけ春画を描きたかったと、家族のシュールな物語を描く。
早く死んだ大好きだった兄、母しずこさんとの葛藤の物語がいい。
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