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2015年12月

2015年12月31日 (木)

一年間の感謝

2015年も終わろうとしています。
一年間おつきあいいただき、ありがとうございました。
「八ヶ岳山麓日記」は356日、日々の思いや考えを綴ってまいりました。
鎌田なりに日本の医療や経済について考え、1ミリでも、世界が平和に向かって進むように活動してきました。
しかし、現実は問題が山積で、忸怩たる思いです。
空爆はISの侵襲を防ぐために限定的には有効かもしれませんが、
問題を解決できないことははっきりしています。
オバマ大統領は10月中旬、テレビ番組で、空爆でISを封じこめたと語りました。
しかし、その直後、パリで同時多発テロが発生。
アメリカでも、14人の犠牲者を出すホーム・グローン・テロとみられる銃撃事件も発生しました。
空爆だけでは封じ込めることができないのは、はっきりしているのです。
世界が国連で協議し、アラブ全体の雇用を拡大し、教育を充実し、適切な医療を提供すること。
この3つの支えと、ISへの人、武器、金の三つの遮断が重要です。
来年こそは、平和に向かって一歩前進できるように努力していきたいと思います。
応援をよろしくお願いします。

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2015年12月30日 (水)

どうなる日本の介護②

高齢者の施設選びは、本当にいい介護が行われているか、慎重にチェックしたほうがいい。
川崎市の有料老人ホームで入所者が3人転落死した。
同時にここは職員による虐待や利用者のお金に手を出すなどの問題が発覚。
第三者委員会の調査によると、メッセージという親会社が運営する有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅など275施設のうち、
53施設で虐待があった。
身体の暴行が16件、衰弱させるような著しい減食、長時間の放置が7件。
とんでもないことだ。
そんな施設は、もちろんここだけではない。
全国では、介護職員によっる虐待が221件報告されている。
                    ◇
ワタミは、スタッフの過労自殺に対して1億3000万円を補償することで和解した。
「ブラック企業」というイメージが強くなったためか、経営全般も厳しいようだ。
このワタミは介護事業にも参入している。
しかし、有料老人ホームの入居率は以前93%だったが、現在は78%まで落ち込んでいるという。
社員を大事にしない企業は成長できないことがはっきりしてきた。
社員を大事にし、顧客を大事にしていく、これがサービス企業の大事な根幹のはず。
これをきちんとやらない企業は、成長していくことができない。
渡辺美樹さんは、政治家など目指さず、もっと社員やお客を大事にする優良サービス企業をつくればよかったと思う。
残念である。

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2015年12月29日 (火)

カマタの怒り15

政府は名目GDP600兆円を2020年までに達成しようとしている。
そのためには実質成長率を1.7%、名目成長率を3.1%上げなければいけない。
しかし、過去20年間の実質成長率は平均0.8%。
1.7%なんて雲の上の数字である。
3.1%を達成したことなんて、過去20年間一度もない。
しかも、2017年春には消費税を上げるのである。
一時的に経済は冷える。
そのなかでこんな目標を達成するなんて、逆立ちしてもできない。
日本はすでに成長経済ではなく、成熟経済に入っていることを認識する必要がある。
中国のように発展していた時期もあったが、成熟の時期に入ってしまった以上、
成長率1%を目指すような、実現可能な目標を設定すべきなのである。

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それを達成するには、お金を回転させること。
非正規雇用の人たちを正規雇用にしてそれなりの収入が得られるようになる。
すると、消費活動が活発になり、経済の好循環が生まれる。
一人ひとり人生設計もでき、さらに積極的な消費活動ができる。
それが、成熟した資本主義社会を生きざるを得ない日本のスタイルだと思う。
名目成長率3.1%などという下品な手品に騙されないようにしたいと思う。

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2015年12月28日 (月)

カマタの怒り14

介護離職ゼロを目指すという。
一見、心地よい目標だが、どうやって実現するのか疑問だ。

厚生労働省は2015年を地域包括ケア元年とし、施設に頼らず地域で介護が必要な高齢者を支えようと構造改革を始めたところだ。
「施設に頼らない」とはいうが、実際には施設では対応しきれない現実がある。
都道府県別の最新データをみると、東京では在宅死が16.7%を占める。
東京では施設が少ないため、終末期をすでに在宅ケアに頼る人が増えていることを示している。
しかも、首都圏では質の高い訪問看護ステーションができ、若いドクターたちが往診にも乗りだしている。
地方がやっていたことを、大都市でもやるようなったのだ。
とてもいいことである。

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しかし、新三本の矢の一つとして、介護離職ゼロを掲げた安倍さん。
どうやって、介護離職ゼロを実現するつもりなのだろうか。
もっと特養をつくるという安易な方法は、実現不可能だし、地域包括ケアと矛盾する。
いま特養に入所希望する、要介護3以上の待機者は東京圏で1万5000人と言われる。
2025年には、今より175万人の後期高齢者が増える東京圏ではおそらく、さらに3万人の待機者が増える。
東京で100床の特養を300か所もつくれるとは思えない。
土地も資金も人手もない。

毎年、介護のために仕事を辞める人は10万人いるといわれる。
この介護離職がゼロになるなら、ぜひ、そうしてもらいたい。
問題は、どうやって実現するか、だ。
むしろ、無理やり介護離職ゼロにするのではなく、介護をしながら働きやすい環境をつくったり、
いったん介護離職しても希望すれば再び正社員として働くことが容易になるなど、
働き方のスタイルを多様にするほうが、よほど現実的だ。
来年の参院選に勝つために、実現不可能な耳ざわりのいい目標を掲げているだけではないか、と腹立たしくなる。
机上の空論ではなく、リアルな問題をしっかりと見据えてもらいたいものだ。

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2015年12月27日 (日)

カマタの怒り13

「原子力明るい未来のエネルギー」
福島県双葉町の入口にある看板が撤去された。
町内外の約6900人の人が、原発事故の悲惨さと教訓を後世に伝えるためにも残すべきだと署名運動をしたが、撤去されることになった。
原発推進をしてきた町としては、住民を町に帰すことができない今、悔しく、恥ずかしい思いでいるのだろう。

151118dsc_0282 震災当時の姿のまま残る校舎

アウシュビッツ収容所に行ったとき、
「働けば自由になれる」と書いてある看板を見た。
人間は聞こえのいい看板やスローガンで人を動かそうする。
弱い人間は、その虚構を事実と思い込んでしまう。
真理はどこにあるのか考えつづけなければいけない。
ニーチェは「善悪の彼岸」で「自分を試練にかけよう。人知れず自分しか証人がいない試練に」と書いている。
看板は取り外せても、自分が証人である試練から逃れることはできない。
福島県や双葉町の人たちだけでなく、「事故は起きないはず」と言い続けて原発を存続させてしまった一人として、自分に試練にかけようと思う。
「原子力明るい未来のエネルギー」という看板は撤去されたが、
いまだにこの看板にすがっている人はいる。
忘れてはいけないことは、忘れてはいけない。
怒りをもって、自分の身に刻み、後世にも伝えていかなければならない。
                   ◇
昨年末に連載した「カマタの怒り」シリーズ、再開します。

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2015年12月26日 (土)

チョコ募金でテロと闘う

今季のチョコ募金は、例年に比べて好調なスタート。
たくさんの方にご協力をいただき、もうすぐ10万個を突破します。
ありがたいことです。
チョコ募金協力してくれた方から、熱いメッセージも届いています。
「フランスでテロが起きてから、日本の平和もかなり危うくなってきているなと感じました。
本当に明日は我が身。
JIM-NETを通して、戦争で苦労している方のわずかでも力になればと思います」
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がんで闘病中、ラジオでぼくがチョコ募金について語るのを聞いたという方からは「少しでも役に立てばと思います」
新潟の方から「腰の手術とき、鎌田先生から励ましのお葉書をいただきました。
今日の日本は平和で、私にできることをしなければと思い、チョコ募金に参加しています」
八王子の方からは「六花亭さんのチョコはとてもおいしいし、
すてきな会社であることも、そしてJIM-NETの活動も、すべてがこの季節にびったりだなと思います。
今年の花もまたかわいいですね」
千葉の方から「みなさんの活動こそが紛争解決の道だと信じています。
険しく長い道のりでしょうが、どうか子どもたちの幸せのためにがんばってください。
年金生活の身で何もできませんがわずかながら応援します」
三重の方から「中学一年の国語の教科書を読んで、協力したいと思いました」

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水戸の方から「今年、娘の結婚式でみなさんに知っていただきたく、チョコ募金のチョコを手から手へ渡すことができました」
東京の方から「空爆で25万人の方が犠牲になったと聞きました。ぞっといたしました。みなさんの支援の内容に感銘を受けました」
札幌のすえおかこどもクリニックのドクターも応援してくれています。
末岡ドクターとは、クラウン(道化師)を養成している大棟耕介さんの10周年のお祝いで、お会いしました。
ちょっした出会いが、チョコ募金へのたんさんの応援につながっています。
出会いに感謝
例年にないたくさんの方たちから応援をいただいたいます。
こうした方たちの思いを胸に、聴診器でテロと闘おうと思います。
引き続き応援をお願いいたします。

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2015年12月25日 (金)

聴診器でテロと闘う(23)

今日はクリスマス。
キリスト教の文化圏の大切な日だ。
モミの木にオーナメントを飾り付けるが、おそらくキリスト教ができる前から自然崇拝で木をまつる文化があり、それが残ったのかもしれない。
キリスト教が起こる前、ゲルマン民族には樹木信仰があったという話も聞いた。
アラブ世界にもキリスト教徒はおり、教会がつくられ、そこでミサが行われる。
それぞれが自由に信仰できることは平和を意味することになる。

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12月17日、ヨルダンの外相が来日し、談話を発表した。
イスラム教徒としてISとの戦いに勢いをつけようという意図から、イスラム軍事同盟がつくれられている。
サウジアラビアを中心に34か国で結成された。
しかし、これは「軍事的側面よりもイデオロギーの戦い」という。
地上軍の戦いは、シリアやイラクが担うべきといいながら、
イスラム教を冒涜するISに対し、イスラム諸国が学者や宗教家からの活動を通して、イデオロギーで対抗する必要があるという。
軍事でねじ伏せるのではなく、同じイスラム教徒としてISの考え方が間違っていることを訴えていく必要があるということである。
これぼくが主張してきたことと近い。
ISと同じスンニ派の国が、ISの存在を認めないということを表明し、ISにわからせていくことが大切である。
今は穏やかなキリスト教徒も、かつて十字軍の時代、
「死んでも天国へ行ける」と妄信的になり、エルサレムを目指した。
人間にとって信仰とは、無理に止めさせることができないものだ。
だからこそ、他者の信仰に寛容であることが問われているのだと思う。

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2015年12月24日 (木)

イラクからメリークリスマス

イラクの子どもから、応援してくださっている皆さんへ。
ありがとうのクリスマスカードが届きました。

日本のみなさんへ
メリークリスマス!
ありがとうございました・・・

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2015年12月23日 (水)

鎌田實の一日一冊(264)

「福島原発事故 被災者支援政策の欺瞞」(日野行介著、岩波新書)
福島原発事故の被曝から、自主避難者や子どもを守るべくつくられた法律が途中から骨抜きにされていく。
他県に自主避難をした人たちの健康や命、生活を守ろうとしているとはとても思えない。

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「腎不全発症から10年 なぜ私は人工透析を拒否してきたか」(リュウ・ウェイ著、きずな出版)
著者は有名なバイオリニスト。
腎不全で人工透析を受けず、手さぐりで食事や生活を模索してきた記録である。
腎不全でも食べられるものを探しながら、自分の体が喜び、安全である食を具体的に考え、実践していく。
透析患者は32万人、腎機能が不全状態の患者は100万人くらいではないかといわれている。
腎不全はこうすれば治るという決定打がない。
このような患者さんが独自にやってきた食事療法は一つのヒントになる。
「病院は劇場だ 生と死を見つめた研修医の7日間」(バディスト・ボーリュー著、早川書房)
フランスの大人気ブログの書籍化。
自殺未遂で運ばれてきた患者に研修医が、以前、ガソリンをまいて壁に車ごと突っ込んだ自殺未遂の男の話をする。
O・ヘンリーの名作短編集を読んでいるような感じ。
自分の視点をもてばだれでも作家になれる可能性はある、と思わせてくれる本だ。

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「英国の国営医療改革 ブレア=ブラウン政権の福祉国家再編政策」(柏木恵著、日本評論社)
オバマケアの評価は分かれているが、どちらかというとぼくは問題が山積みだと思う。
医療政策はそれだけ難しいが、日本も政策を誤らないために、ときどき難しい本を読む。
「考えるマナー」(中央公論新社)
逃げて勝つマナーや、愛が生まれるマナー、世渡りのマナーなど、
劇団ひとりや佐藤優、赤瀬川原平ら12人が軽妙で絶妙な考え方を披露している。

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「天使のとき」(佐野洋子、朝日新聞出版)
「100万回生きたねこ」の佐野洋子が好き。
ちょっと壊れた女や戦う娘、ドジなお母さんを見事に演じてきた。
一度だけ春画を描きたかったと、家族のシュールな物語を描く。
早く死んだ大好きだった兄、母しずこさんとの葛藤の物語がいい。

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2015年12月22日 (火)

どうなる日本の介護①

在宅介護サービスの会社ソラストの株式を、大東建託が37.5%取得したという。
薬品卸の東邦ホールディングスが5%を、情報システムのインフォコムも3%取得する。
いずれもアメリカの投資ファンド、カーライルグループが持っていた株である。
三社合計で180億円規模になると予想されている。
米国の金融のプロ集団が大儲けをしている。

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介護の世界は非常に厳しい。
利益を出すために現場スタッフはどれほど苦労しているか。
介護を商品化して、大儲けをしようという発想は、介護の合理化が追求され、
いい介護を目指す現場のスタッフを疲弊させる。
介護サービスを受ける人たちにとっても重要な問題だ。
川崎の施設で、3件立て続けに転落死があった。
この施設では利用者への暴力が行われてたようだ。
ここもチェーン化し、短期間に急成長した。
超高齢社会の日本にとって、介護はなくてはならない社会的なサービスだ。
その介護サービスを安定させるには、まず、介護という仕事に汗を流しているスタッフたちの待遇を考えなければならない。
月給で5万円ほど増額し、福利厚生を考えることで、働く人たちにも心の余裕が出てくる。
そうすれば必ずいい介護が展開され、評判なり、商品価値が生まれていく。
資本家が儲けるだけでなく、汗を流している人たちに光を当ててほしいと思う。

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2015年12月21日 (月)

サンタさんがやってきた

今日21日、JIM-NETの事務所に突然、サンタさんがやってきた。
92歳の方が、自分の家でいい出来事があり、「お金を正しいことに使いたい」とJIM-NETに100万円を寄付してくださるという。
事務所にいたスタッフも、驚きとともに感謝で心があたたかくなった。

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12月は日本政府が決めた「寄付月間」。
寄付という文化を広めようというのが狙いらしい。
たくさんの人たちが、チョコ募金に協力してくださるが、
きちんとした世界観をもって、一歩でも世界を平和へ進めていくことが大事だと思う。
第三次世界大戦になるようなことがないように、
そして、子どもや女性たちが傷つく小さな戦争も認めないこと。
寄付という行為は、そういう願いを実現していくことだと思う。
あたたかい心がますます広がっていく寄付月間になるといいな。

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鎌田實の一日一冊(263)

「坂本龍一×東京新聞 脱原発とメディアを考える」(東京新聞編集局編、東京新聞出版局)
記者たちを相手に白熱討論、坂本龍一さんの考えが展開される。
「拳を振り上げず、なるべく心に届くように気を付けて」とか、
「これを続けたらどうなるかという想像力が必要」
「「左翼」とくくらない工夫を」など、面白い視点で語られる。

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最後に哲学者の國分功一郎が「今メディアに求めるもの、忖度との戦い」と述べている。
この国が少しおかしくなっているのは、空気を読み過ぎて、みんなが自由な発言を控えている、そんなことが書かれている。
「戦争の現場で考えた空爆、占領、難民 カンボジア、ベトナムからイラクまで」(熊岡路矢著、彩流社)
人道支援NGOで30年、戦争の現場で著者が考えことが語られる。
「紛争地で動いてきたが、ここで軍隊が来たら助かるだろう」と考えた場面はなかったというのがとても印象的だった。

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NGOの場合、現地のスタッフや地元民と働いているので、彼らのと連携が安全面において大きなカギになる。
だから、軍隊に来てもらったら助かるという局面はこれまでなかったということである。
その通りのような気がする。

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2015年12月20日 (日)

病院ボランティア

諏訪中央病院ではグリーンボランティアやホスピスボランティアなど、
たくさんの方が日ごろから活動してくれている。
今年も小児科病棟や産婦人科病棟から見えるところにイルミネーションを飾り付けてくれた。
メルヘンの世界が、窓の外に展開され、子どもたちは大喜びだ。

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現在発売中の月刊「がんサポート」は、諏訪中央病院のグリーンボランティアや医療スタッフらを紹介。
「患者さんが幸せに生きてもらうための「あたたかながん治療」をめざして」をテーマに語り合っている。

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ぜひ、お読みください。

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2015年12月19日 (土)

お知らせ

日本は超高齢社会。
これから10年間で後期高齢者が175万人増える。
膨れ上がる社会保障費、あふれる介護難民、介護スタッフの不足。
問題は山積だが、地域が舞台なる介護や医療は地方創生の核となりうる。
現在発売中の「中央公論」1月号で、
日本創生会議座長で元総務大臣の増田寛也さんと鎌田が徹底討論している。
タイトルは「地域医療の実践が東京を危機から救う」。

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21日(月)のBS日テレ「深層NEWS」(22時~)でも、増田さんとともにゲスト出演。
「近未来に“東京消滅”一極集中が招いた危機 難民化する高齢者たち」と題し、都市部の介護難民を考える。
ぜひ、ご覧ください。

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2015年12月18日 (金)

難民キャンプでおでん屋台

アルビルの難民キャンプで、「元気にふるさとへ帰ろう」と健康づくり運動を呼びかけてきた。
難民キャンプの生活は単調になりがちだが、できるだけ運動をしよう、
野菜をたくさん食べよう、と呼びかけた講演会はとても好評だった。
ぼくたちJIM-NETでは、農園をつくり、そこで野菜をつくることをはじめた。
難民キャンプの人たちに協力してもらい、わずかだが謝礼も払う。
仕事があることは、精神的な安定につながる。
生きがいにもなるかもしれない。

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同時に、屋台でおでんを売ろうと考えている。
もともとアルビルの城の前のダウンタウンでは、夜になると屋台がでて、
蕪のスープが売られる。
ナツメヤシで味付けをしているのでやや甘い。
そのスープに蕪だけでなく、がんもどきやこんにゃくなどを持って行って、
日本式のおでんを食べてもらいたいと思っている。

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この屋台を10台注文したが、
まず一台目は鎌田の支援からスタートした。今年の暮れから正月にかけて現地に赴き、この屋台の運営についても話し合ってくる。
あたたかいアラブ風おでんを、現地の人に食べてもらえると考えると、今から楽しみだ。

              ◇
シリア難民やイラクの子どもたちの支援のため、
多くの方々にチョコ募金で応援をいただいていますが、
こちらの農園と屋台のほうも、ぜひ、ご協力をお願いします。
JIM-NETにご寄付いただく場合、「農園と屋台の応援」と書いていただければ、
その目的で使用したいと思います。

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2015年12月17日 (木)

鎌田實の一日一冊(262)

「ヒマラヤ聖者の太陽になる言葉」(相川圭子著、河出書房新社)
世界でたった2人しかいないというシッダーマスター。
ヒマラヤに4日間、水も食べ物なく、閉鎖空間で瞑想し、無我の境地に入る。
著者は、これを18回もやった日本人の相川圭子さん。
不思議な光や音を感じながら、呼吸をしているのかしていないのかわからない境地に入るという。
相川さんはこう書く。
心は入れ物であり、さまざまな思いや記憶がつまっている。
現代人の多くは、心の中に怒りや悲しみ、イライラが充満して、空っぽにするとか、無心になるなんてできなくなっている。
しかし、人間は愛の海から生まれて、愛の海に帰っていく、と信じることができれば、
人にやさしくできるし、無欲になることができる。
瞑想することで自分の魂を自由にすることができるという。

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おもしろい本である。
2週間で4万5000部売れている。
ぼくはずっと「いい子」を演じてきた。
自分がかわいくて、相手に気に入られようとしている。
カッコもつけてきた。
見栄も張ってきた。
これらは、無意識のうちにした自己防衛の結果による、生活の癖である。
この本を読むと、より「愛の人」になるために積極的に浄化が必要であることがわかる。
読んでいてアンドルー・ワイルの「人はなぜ治るのか」を思い出した。
高度医療の医師だったワイルが現代医学の限界に気が付き、「体には自然治癒力がある」「あらゆる病気は心身相関病である」「正しい呼吸は健康へのカギである」と述べた。
相川さんは「慈しみなさい」「分け与えなさい」「足ることを知りなさい」「もっと愛を与えなさい」「正直でいなさい」「誠実であれ」「純粋でありなさい」
これらが具体的ななすべきことです、とはっきり言う。
暴力的な言葉は使わないことも大切だとつけ加えている。
究極の悟りを行った不思議な人であるが、
心が疲れてしまったときには、生きるヒントがもらえるような気がする本である。

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2015年12月16日 (水)

銃メーカーの株価

米国カリフォルニアで、14人が犠牲になる銃乱射事件が起きた。
ISに感化されたローンウルフ型のテロとみられる。
その後、銃メーカーの株価が上がり、銃の携帯許可の申請が急増しているという。
銃があるから、殺人やテロが起こる。
兵器があるから戦争が起こる。
これまでアメリカはいくつもの戦争をしてきたが、その陰には銃や武器のメーカーの存在があった。
1968年、黒人の人権を求め非暴力運動をしていたキング牧師が殺され、
その2か月後には、ベトナム戦争反対を訴えて大統領選に出ていたロバート・ケネディが暗殺された。
ベトナム戦争も、イラク戦争も、暴力の思想に貫かれ、その背景には戦争で儲けようとする政治家や武器商人たちがいる。
そして、それがいまの世界を混沌とさせている。
暴力至上主義から脱却すべきだ。

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2015年12月15日 (火)

鎌田實の一日一冊(261)

「暖かい日陰に」(神村篤著、青林工芸舎)
人間の心の複雑さをみごとに写している。
近未来のロボットがさみしさを支えてくれる、そんな未来で人間のさびしさを静かなトーンで描く。
ロボットがロボットを作った可能性もほのめかされる。

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ぼくはオタクではないので、ロボットのことは好きではないし、
マンガをしっかり読んだのも何十年ぶり。
でも、この神村篤はほっておけない作家である。
忘れ物をしたのに、何を忘れたのか思い出せないーーと、人間が忘れようとしている何かを問いかける。
19歳で漫画雑誌「ガロ」に投稿。
そして28年ぶりに、この作品を書いた。
奥深い漫画。感動した。

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2015年12月14日 (月)

帰れない、帰らない

福島第一原発がある双葉町や大熊町は中間貯蔵施設の予定地の問題で意見が分かれている。
富岡町にはフクシマエコテッククリーンセンターという、放射性セシウムの濃度が1キロ当たり8000~10万ベクレル以下の
汚泥などの廃棄物を処分するための施設を検討している。
同時に富岡町や隣の楢葉町はどうやって順当な帰還をめざしていくのだろうか、とても難しい。

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浪江町は、帰還指示解除準備区域、居住制限区域、帰還困難区域の3つに分かれている。
なかでも高汚染の帰還困難区域が広い。
浪江町の人の48%が「帰れない」「帰らない」と考えているようだ。
浪江町から北側は南相馬になる。
南相馬の20キロ圏内は来年3月、帰還許可が出る予定だ。
しかし、帰ることを決めている人は主に高齢者で、小さな子どもがいる世帯ではなかなか帰る決断ができないようだ。
福島第一原発はいまだに汚染水をコントロールできていないことや、燃料棒の取りだしができていないことが、
住民の不信感になっているようである。
安倍さんはオリンピック誘致の際、「アンダーコントロール」と言ったわけだから、
他の原発の再稼働よりも、福島第一原発のアンダーコントロールをきちんとすべきだと思う。

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鎌田實の一日一冊(260)

「大川周明と狂気の残影-アメリカ人従軍精神科医とアジア主義者の軌跡と邂逅」
(エリック・ヤッフェ著、樋口武志訳、明石書店)

一貫してアジア主義を唱えていた、近代日本を代表する思想家、大川周明。
大川は、真珠湾攻撃の後、NHKラジオで有名な連続講義を行った。
西洋が日本に対して行ったあらゆる圧力を語り、日本がアジアに対して行っていることは拡張政策だとは一切言わなかった。
アジアを統一しようとしているのであって、征服しようとしているのではないと訴え続けた。
彼の主張は、決して多くのアジアの国からは賛同されなかった。

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戦争が終わり、彼は東京裁判にかけられる。
奇行を繰り返し、東条英機の頭をひっばたいたりした。
「精神異常」と診断したアメリカ人の精神科医。
米国は、戦場で兵士たちが精神異常をきたすことを認識し、精神科医を従軍させるようにしていた。
大川の精神診断をした医師は、著者の祖父にあたる。
法的に決めつけず、できるだけ医学的に大川の精神の問題をとらえようとしている。
大川周明は結果として、精神異常の診断のもと、裁判から免れた。
祖父が下した診断が正しかったのかどうか、孫にあたる著者も中立的な立場で考察している。
力強いドキュメント作品だ。

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2015年12月13日 (日)

中高生からの感想

先月、九州のある中高一貫校で講演した。
テーマは「生きているってすばらしい」。
その生徒たちの感想がすばらしかった。
「ぼくは中学に入学してから、本当にやりたいことや夢がみつけられていませんでした。
鎌田先生の講演を聞いて、本当にやりたいことを探していいのだと思いました。
満足できることをしたいと思いました」
別の生徒は「講演を聞いて、とても勇気づけられました。
私は一学期、思ったような成績がとれませんでした。
しかし、だれにもでも波があるという言葉で、たくさんのチャンスがあるから今からでもがんばってみようと思いました」
こんなふうに聞いてくれると、うれしくなる。

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「人生は今の自分次第で、どんなふうにも変えられると思いました」という生徒もいた。
「講演を聞いて、少し自分に自信をもつことができたと思い、勉強はあまりしたくないと思っていた自分がはずかしくなりました」
「おもしろい人生を歩みたい。自分の変わった部分を生かすためにも」
こんな高校生がいてくれて、うれしくなった。
「いろんなことを成し遂げている方は、もともとIQが高く恵まれた環境にいる方だと思っていました。
(しかし、そうではないことがわかり)これからは努力や持続する力、判断力でおもしろい人生にしようと思います」
10代の若者たちが、真剣にぼくの話を聞き、それぞれの生き方について真剣に考えてくれている。
でも、その自問は、いくつになっても終わらない。
ぼく自身、本当にやりたいことがやれているか、ずっと考え続けている。
きっと一生涯、同じ問題を抱えていくのが人間なのだ。

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2015年12月12日 (土)

チョコ募金にあたたかい思い

チョコ募金の電話受付を開始してから1週間、すでに7万個を突破しました。
チョコ募金は毎年、たくさんの方にご協力いただいていますが、
今までこんなに早いペースでのスタートはありませんでした。
大竹まことさんの「ゴールデンラジオ」の反響が大きかったようです。

151110img_6769 チョコ缶を持つナース人形

高槻日赤の緩和ケア病棟のボランティアの方々からもたくさんの注文をいただきました。
毎年、チョコ募金に協力いただいているのですが、今年はさらにたくさんの方々にお声をかけていただき、
例年の何倍も多い注文をいただいています。
高槻日赤のボランティアさんは毎年、諏訪中央病院の緩和ケア病棟の患者さんにクリスマスプレゼントを贈ってくれています。
また、元院長先生はキリスト教系の医師の会に呼びかけてくださり、JCFとJIM-NETにたいへん高額なご寄付をいただきました。
ありがたいことです。
世界では卑劣なテロが起こっていますが、
それに負けないあたたかな思いも、リレーのようにぐるぐる駆け回っています。
今年のチョコ募金はペースが早いので、
ぜひ、お早目にご注文をお願いいたします。
チョコ募金のお申込みはこちら↓

13日「日曜はがんばらない」(10時~、文化放送)でも、チョコ募金の話をたっぷりする予定です。
ぜひ、お聴きください。
インターネットでも聞くことができます。

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2015年12月11日 (金)

もんじゅという幻想

高速増殖炉もんじゅから、できるだけ早く撤退すべきである。
当初かかわった動燃も、現在管理している原子力機構も、まともな管理ができない状態が続いている。
20年動いていないものをこれから動かすなんて危険すぎる。

やめられない理由は3つ。
一つは、1兆円ものお金を出したのに、何の成果も上がっていないこと。
資源がない日本で、原発の稼働でできてしまったプルトニウムをエネルギーとして再利用したいという目論見は、実現性が乏しい。
かつてナトリウム漏れ事故があったように、ナトリウムは水と反応して爆発するため、管理も非常に難しい。
だから、積極的だった英国やフランスは、すでに撤退した。
世界では10兆円が投資され、日本でも1兆円を投資してきた。
これを取り戻そうとして続ければ続けるほど、国民の負担は増える。
人間には限界があるということを知っただけでも、成果はあったと考えるべきである。

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二つ目は、貯まってしまった48トンのプルトニウムの存在理由。
核兵器の材料になる大量のプルトニウムをなぜ保有しているのか、理由がないと世界から批判が集まる。
三つ目は、核廃棄物の具体的な永久保存場所が見つからないこと。
永久どころか、中間貯蔵施設さえ見つからない。
玄海原発や柏崎刈羽原発、東海第二原発は、あと3年で使用済み核燃料の保管場所がなくなる。
結局、核のゴミは捨て場がないのである。
だから、もう原発から撤退するしかないというのは、当然の帰結だ。
だが、原発推進派にとっては、もんじゅを継続し、その一角を死守したいのである。
もんじゅという幻想が崩れれば、原発を中心としたエネルギー政策も理論上立ち行かなくなる。
現実は、とうの昔に立ち行かなくなっているのに、いつまで幻想と嘘を守るつもりなのか。

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2015年12月10日 (木)

聴診器と愛で闘う

毎日新聞で隔週水曜、「さあこれからだ」という連載をしている。
今週は、世界で起こっているテロについて書いた。
この記事を読んだ方からだろうか、JIM-NETの電話が鳴り続け、メールからもファクスからもチョコ募金の申し込みをいただいている。
電話受付から1週間で、すでに7万個を超えた。
スタッフはうれしい悲鳴だ。
多くの人たちが、ぼくたちの平和を目指す方法に賛同いただけたのだと思う。
                      ◇
シリアとイラクのモスルに入ったISの外国人戦闘員は、昨年6月で1万2000人だったのが、現在は3万1000人に増えているといわれる。
ISが抑えている石油関連施設は、有志連合の空爆を受けながらも月100億の収入を生み出し、人と武器を増やす資金源になっている。
リビアのシルトを制圧したISは、商店を登録制にし、約1万円の納税を押し付けはじめた。
ヤクザのショバ代のような感じである。
リビアは石油埋蔵量が多い。
ISがこの広い領域を制圧すれば、さらに大変なことになる。
もはやシリアのISを空爆すればなんとかなるというものではないのだ。
先日は、アフガンの空港で、タリバンが奇襲をし、政府軍と交戦した。
そこらじゅうで過激派が暴れはじめた。
空爆だけでは解決しないことははっきりしている。
必要なのは、いま傷ついている人を助ける人道支援なのである。

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まだ読んでいない方は、ぜひお読みいただき、シリア難民やイラクの子どもたちを救うチョコ募金にご協力ください。
申し込みはこちらへ↓

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2015年12月 9日 (水)

許せない不正と隠ぺい

ワクチンや血液製剤の大手メーカーである化血研が、未承認の方法で血液製剤などを作っていたことがわかった。
とんでもないことである。
40年前から、抗凝固剤などを添加するなど非承認の方法で製造し、隠ぺいしていた。
抗凝固剤を入れれば、患者さんによっては出血しやすい状況に陥ってしまう。
1989年阪大微生物病研究会が未承認の方法で製造したおたふくかぜワクチンで、副作用により5人が死亡している。
今回の化血研の不正はこういうことを起こしかねない。

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A型肝炎ワクチンなど化血研しか作っていないワクチンもあり、医療現場は困惑している。
だからといって、この犯罪的な行為を見逃すべきではない。
資本主義の重要な点は透明性と競争である。
一社でしか作っていないということは競争もなく、透明性も失っていく。
40年間も隠ぺいを見破れなかったのは、なぜか。
厚生労働省から天下りがなかったかどうか調べてみる必要がある。
今回の発覚は、内部からの告発だった。
国はもっとチェック体制を強化すべきである。

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2015年12月 8日 (火)

東北は介護も厳しい

先月の介護の日の前後で、大王製紙が社会貢献事業として被災地で介護講演会を開いた。
介護者を元気づけたり、介護のヒントにしてもらおうとと、宮城県や福島県で講演会をしてきた。
介護スタッフの不足は首都圏でも課題になっているが、
東北はさらに厳しい。
特に沿岸部は、住民へ厚いサービスができないという問題が発生している。
これからさらに後期高齢者が増えていく現状考えると、
被災地の介護を応援し、充実を考えていかなければいけないと思った。

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慌ただしい講演の合間にいただいたあんこう鍋

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2015年12月 7日 (月)

握手

和歌山で講演の後、56歳の女性に声をかけられた。
20年ほど前にかかった乳がんが、今年2月に再発した。
リンパ腺、骨、肝臓に転移していることがわかった。
すぐには信じられず、受け止められなかったという。

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そんななかぼくの『がんばらない』に出合った。
「読み終えたときには自分のなかで何かが変わったことを実感した」
今は、抗がん剤が効いて、副作用はあるものの、何とか生活できている。
不安に襲われたときには、『がんばらない』を読み返して、涙を流すと心が落ち着くという。
サインの列に並んでくれて、握手をした。
ぼくの元気を注ぎ込むつもりで握手した。
乳がんはここからが勝負。まだまだ闘える。
彼女の幸運を祈った。

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2015年12月 6日 (日)

10分あればB級グルメ

ぼくは10分、15分の時間もじっとしていられない。
講演に行くとだいたいとんぼ返りで、ゆっくり過ごすことはできないが、
わずな待ち時間を利用して、その土地のものを食べる。
和歌山に行ったときは、講演前の10分の間に、井出商店というう和歌山ラーメンの店に入った。
横浜ラーメン大会で2回優勝しているという和歌山ラーメンの本流の一つ。
とんこつ醤油に魚のだしが合わさっている。
とてもおいしかった。
宇都宮では、餃子を食べた。
講演の帰り15分ほどの待ち時間を使って、駅の中にある宇味屋(うまいや)へ。
スープ餃子や上げ餃子などもあったが、時間がなかったので焼き餃子だけ食べた。

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町のなかでは餃子祭が行われていた。
宇都宮はジャズが盛んということで、ジャズが流れていた。
ジャズのほうは聴く時間はなかったが、餃子一皿だけ食べてとんぼ返り。

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2015年12月 5日 (土)

クリスマス飾り

緩和ケア病棟のラウンジにクリスマス飾りが登場。
入院している患者さんが、繭玉で飾りをつくったものだそう。
たいへん手の込んだ力作です。
ご自分の生き方も決め、やりたいことをやって、「諏訪中央病院にたどり着いて大満足」とのこと。

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緩和ケア病棟がクリスマスに向け、なんとなく華やいできました。

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2015年12月 4日 (金)

感謝の新米

新潟県柏崎市の方々からいただいた新米コシヒカリを患者さんみんなでいただきました。
この日のおかずは肉じゃがとキャベツのコールスロー、ふろふき大根、オレンジ。

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中越沖地震のとき、諏訪中央病院の医師、看護師らが薬をもって支援に入りました。
そのときのお礼として、毎年、お米を送っていただいています。
新潟では、東日本大震災のときに多くの被災者を受け入れました。
今も新潟で暮らす人もいます。
自分たちも震災を経験し、その受けた恩をいろんな形で返している新潟はすてきなところです。

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2015年12月 3日 (木)

終わりのはじまり?

レセプト債という奇妙奇天烈な債権を運用・発行していた関連ファンドが破綻しそうで、
計227億円が投資家に償還されない可能性が出てきたという。
レセプトとは診療報酬請求のこと。
医療機関は、診療した内容をレセプトにし、2か月後、診療報酬をもらえる。
だが、2か月待てない経営が厳しい医療機関では、ファンドに安くレセプトの権利を売る。
証券会社が投資家を集め、ファンドが取り仕切るという仕組みらしい。
しかし、病院の経営はどこも厳しいとはいうもののも、2か月後にお金をもらえる権利を売るだろうか。
このファンドは利回りが3%というから、利益を出すためには最低5%くらい必要。
医療の利益率は1~2%というところが多いので、5%で買い取ってもらうとすると、ますます赤字になってしまう。
ということを考えると、これは初めから詐欺だったのではないかと思えてくる。

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最近は、資本主義というものの、利回りがない。
こんな状態では本当に資本主義といえるのか。
利子のつかない資本主義なんて、考えられない。
文字通りの資本主義はすでに終わり、資本主義の余韻のなか、うそで塗り固めて無理やり資本主義の真似事をしているように思える。
資本主義の終焉は近いように思う。

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鎌田實の一日一冊(259)

「自由をつくる自在に生きる」(森博嗣著、集英社新書)
個人の自由は社会的な不和を生みやすい。
それはあたかも自由の絶対量というものがあって、それをみんなで分かち合わなければならないかのように見える。
自分だけが自由になっていいはわけではない--。
なるほど、「自由の絶対量」が決まっており、それをみんなでシェアしあうと考えると、
自由に責任が生まれたりする。
この本には、自由になるためにどうしたらいいか書かれている。
「個人差は大きな違いではない」とか、「意志が弱くてもかまわない」とか。
なぜ我々が常識や社会に支配されるのか?
それは支配されたいという意識があるから、と著者は述べる。
だから、支配された不自由のなかで生きていくことが多い、と。

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結局、自由を手に入れるということはそういう「できる自分」をつくりあげることである。
自分の変化を積極的におしすすめることといえる。
すべての支配を排除し、完全に自由奔放になろうとすると、人間として破滅するとも述べている。
自由を得るために有効で具体的な手法は存在しないが、
「自由を得ようと考えるだけで、今よりも自由に近づけるだろう」
個性的に生きることは自由に生きることに限りなく似ているけれど、
個性がないという状態は生きているかぎりないはず。
生きているかぎり個性はある、と言う。
なるほど、どんな人も、個性がないという個性を生きているのだ。
何が自由を束縛しているか、乗り越えらないと信じていた困難、あると思い込んでいた限界、
勝手な思い込みということだ。
そこから自由になること。
ちょっと面白い本である。

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2015年12月 2日 (水)

おトキさんの新アルバム

加藤登紀子さんの新しいアルバム「百歌百会 出会いから生まれた歌」を聞いている。

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「今は恥ずかし夢のなごり」は高倉健さんにプレゼントした歌。
「今あなたに歌いたい」は、和田アキ子が1998年紅白歌合戦のトリで歌った歌だ。
加藤登紀子さん自身が歌っているこの歌と「百万本のバラ」はラトビア・リエパーヤ交響楽団とのコラボで、抜群だ。
ゴスペラーズと一緒にうたっている「花は咲く」もすばらしい。

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法人減税よりも正規雇用の拡大を

現在は、企業の内部留保のお金は354兆円といわれ、大企業だけが一人勝ちしている状態。
法人税は32.11%から20%台へ減税するという。
大企業は景気がよく絶好調なのにもかかわらず、社員のボーナスは上がっても給与ペースが上がらない。
正規雇用も拡大していない。
設備投資も後ろ向きである。
法人税を下げてもお金がまわらないのである。

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資本主義はお金が回転することが大事。
正規雇用者が増え、生活が安定すれば、健全な消費者にもなっていく。
資本主義の回転が始まるのだ。
給料が2万円上がれば、旅行したり、おいしいものを食べたり、洋服を買ったりする。
それが資本主主義社会の成長率につながる。
そして、社会が明るくなる。
法人税より大事なものがあるはずである。
まず、正規雇用を増やすことだ。

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2015年12月 1日 (火)

ゴールデンラジオに出演します

今年もJIM-NETのチョコ募金が始まった。

168img_0394001電話がひっきりなしにかかり、メールやファックスでも続々とたくさんのご協力を頂いています。ありがたいことです。

長野県伊那谷にある松川高校、下伊那農業高校、赤穂高校の生徒たちや、飯田東ロータリークラブのみなさんが、毎年チョコの袋詰め作業を手伝ってくれています。

JIM-NETの構成NPOの一つ、「アラブの子どもと仲良くする会」の西村さんが、現地の女性や子どもたちの悲惨な生活の報告をし、学生たちに勉強してもらいながら、その後袋詰めのボランティアをしてもらっている。大変助かります。

そこら中であたたかい輪が広がり始めています。

明日12月2日、14:25より文化放送「大竹まことのゴールデンラジオ」に出演します。

大竹さんと、パリの同時多発テロや空爆について熱くお話しする予定です。
チョコ募金についても触れます。ぜひ聞いてください。

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チョコ募金スタート

2016年チョコ募金の電話受付が、本日12月1日からスタートします。
今年も、4人の白血病やがんの子どもたちが描いてくれた絵を、缶の蓋にプリントしました。
民族や宗教、国は違いますが、戦いに巻き込まれ、病気と闘って命を見つめている子どもたち。
それぞれに物語があるチョコレートです。

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シリアの14歳の少女ローリンさんは白血病。
ISに追われてイラクの難民キャンプに逃げてきました。
一時、腸炎で重症化し、絶望的な状況に陥りましたが、奇跡的に命をとりとめました。
ヤジディ教徒の12歳のナブラスさんはがんで化学療法を受けていました。
しかし、彼女の住むシンジャール村はISに襲われ、イスラム教への改宗を迫られたれ、
女性たちは暴行を受け、性奴隷として売り飛ばされました。
彼女は山へはいかず、病院のある町をめざして逃げたので助かりました。
クルド人の15歳のナジラさんは、白血病。
インドに骨髄移植を受け、その通院をぼくたちは支援しています。
13歳のドゥアさんは、イラクのアラブ人。アザミの絵を描いてくれました。
今年のチョコ募金のテーマは「いのちの花パート2」。
4人の少女が描く花は、繊細で、命の美しさに輝いています。

今年も16万個つくりました。
北海道の六花亭が利益なしで協力してくれています。
収益は、イラクやシリアの病気の子どもたちや、福島の子どもたちを支援する活動に使います。
ぜひ、ご協力をお願いいたします。


申し込み 電話 03-3209-0051(平日9.0-17.0)
   ファクス 03-3209-0052
詳しくはこちらhttp://jim-net.org/choco/

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