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2016年1月 3日 (日)

鎌田實の一日一冊(265)

「カフカ」(多和田葉子編、ポケットマスターピース集英社文庫)

新しい翻訳による文庫型の全集。
そのナンバーワンが「カフカ」だ。
これは集英社文庫だが、河出書房新社も新しい文学全集を出し、たいへん評判になっている。
各社が新しい視点で名作を復刊させてようとしている。

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多和田葉子さんの編によるカフカは非常に読みやすい。
「変身」などあっという間に読める。
翻訳者もそのことに気が付いたようだが、 主人公が虫になり不自由な生活をする物語は、家族から介護される物語にもみえる。
あるいは、引きこもりの若者か、家族のために必死に働いて、会社に搾取された一人の男がうつ病になっていくようにも読み取れる。
カフカの小説は奥が深く、どうにでも読めるところがとてもいい。
カフカ的ともいえる。
文学とはそういうものでいいのだと思うが、新訳によってさらにその感を強めているように思える。
実にいい本である。

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