聴診器でテロと闘う(28)
難民キャンプ訪問記⑤
多くの人たちがヨーロッパへ向かっている。
キリスト教徒やヤジディ教徒の人たちは、いまのシリアやイラクでは安心して生活できない。
JCFが支援しているアルビルにある3つのPHC(プライマリ・ヘルスケア・クリニック)のカウンターパートナーのナガム先生は、
フィアンセのいるイギリスへ出ることになった。
リカア先生の弟はカナダへ出た。
異なる宗教に対して寛容さがないところで生活するのはとても怖いことなのだ。
10年間通訳をしてくれていた青年もスウェーデンに脱出した。
彼はパレスチナ人で、イランで迫害を受けてイラクへ逃げてきたが、
そこで戦争に巻き込まれた。
4年間、国境と国境の間にあるノーマンズランドの難民キャンプで生活した。
その後、アルビルの難民キャンプに移され、少し自由を得ることができたが、
やっと今スウェーデンに入ることができた。
ダラシャクランのキャンプにシリアから逃げてきて、英語とクルド語の通訳をしてくれている20歳の青年は、大学でエンジニアの勉強をしたいという夢をもっている。
だが、いまはそれどころではない。
彼の兄弟4人と母親はドイツへ逃げた。
父親と彼だけが残って難民キャンプで生活している。
寂しくてしょうがないという。
それでも屈託のない笑顔で、「コンニチハ」「ゲンキ」「オイシイ」と覚えたての日本語で話しかけてくる。
こういう若者が夢をもてるようにしなければならないと思う。
ドホーク地区で、ぼくたちをサポートしてくれているヤジディ教徒のハナーンさんという女性も、ギリシャに脱出した。
志が高く、あたたかい心をもち、マネジメント能力が高い人たちがシリアやイラクから脱出している。
しかたないことだと思う。
それぞれの人生だ。
とにかく生き延びることを最優先にせざるを得なくなっている。
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