聴診器でテロと闘う(29)
難民キャンプ訪問記⑥
アルビルから1時間ほどの農業地帯。
16歳になったナジラを訪ねた。
ナジラの父親は農業をしている。
1月1日、親戚一同が集まっていた。
京都の一澤信三郎さんから難民キャンプの子どもたちにプレゼントしてほしいといわれ、
信三郎さんのリュックを手渡すと、ナジラはとても喜んだ。
ぼくたちが支援するアルビルのナナカリ病院で、ぼくたちが届けた薬で治療を受けていた。
主治医は、JIM-NETのカウンターパートナー、ペイマス医師。
ペイマス先生のことが大好きだというナジラ。
治療は順調に進んだ。
2010年、イタリアのNGOの勧めでイタリアの病院に行ったが、
リンパ性白血病の治療はうまくいっている、と言われた。
しかし、2013年再発。
骨髄移植しかないだろうということになった。
インドの病院では弟の末梢血幹細胞を使って、幹細胞移植をすることになった。
末梢血幹細胞移植は、20年ほど前、ベラルーシ共和国ゴメリ州立病院で小池教授を中心に、骨髄移植の初歩として指導したことがあった。
ナジラはこの治療でうまくいった。
その後、年に一度、インドでフォローアップをする必要があり、
インドへの交通費や入院費を支援することになった。
ペイマス先生からのSOSにこたえて、高額な免疫抑制剤などを使用するときには、その薬代だけ支援することもあった。
彼女の夢は、学校へ戻ること、そして勉強したいという。
再発してからまだ学校に行く許可が出ていない。
「いつか絵の勉強したい」といい、描きかけの絵をたくさん見せてくれた。
ナジラが描いた水仙の絵は、今年のチョコ募金の缶の一つとして使わせてもらった。
北海道のボランティアの方が、シャツにこの水仙の絵をそのまま刺繍してプレゼントしてくれた。
ナジラのもう一つの夢は、大好きなイラクが平和になること。
彼女はクルド人。
クルドは世界に5000万人いるといわれるが、どこにも彼らの国はない。
つらい生活をしている人たちが多い。
「クルドの人たちに平和が来るように。
私のように病気の子がいたら、ちゃんと治療ができますように」
それが彼女の夢だという。
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