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2016年1月15日 (金)

聴診器でテロと闘う(30)

難民キャンプ訪問記⑦
15歳のローリンは、白血病だ。
シリアの首都ダマスカスで白血病の治療を受けていた。
ダマスカスには二度ほど行ったことがあるが、本当に美しい古都である。
そのダマスカスで戦闘が激しくなり、2013年夏に国境を越えて、イラクにやってきた。
今は、元軍事施設がキャンプになっているアークレイ難民キャンプで暮らしている。

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このキャンプはいま1250人が暮らしている。
一時は2000人近くいたが、40%の人たちがヨーロッパへ脱出したという。
いま残っている人たちに話を聞くと、
「おれたちはクルド人だ。ヨーロッパに行くよりも、クルド人のいるところにいたい」という。
「イラクのクルド政府はよくやってくれている。
他の仲間はテント生活をしている。
ここは元軍事施設で、十分とはいえないがら、他の難民キャンプに比べれば数段いい。
クルドの仲間のなかでおれたちは生活したい。
だから、ヨーロッパにはいかないんだ」
                      ◇
ローリンは、2015年2月に腸炎を起こして生死をさまよった。
そのとき、虫垂炎も疑われたため手術したが、実際は虫垂炎ではなかった。
大腸ファイバーの写真をみせてもらったが、潰瘍性大腸炎やクローン病などもない。
もちろん大腸がんもない。
今もちょっとおなかが痛いときがあるという。
手術跡の癒着が起きているのだろうか。
「できるだけニコニコしていなくちゃいけない」と笑わせたら、
15歳の少女が恥ずかしそうに笑った。
「しっかり勉強したい。お父さんの手伝いもしたい。妹や弟の面倒もみたい」
とてもいい子だ。

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