聴診器でテロと闘う(35)
難民キャンプ訪問記⑫
講演では、とにかくよく笑わそうと心がけている。
笑って元気になってもらいたいのだ。
そして、わかりやすく。
健康のために「野菜を食べよう」「減塩しよう」そして、「歩くこと」をすすめた。
キャンプ生活は、単調だ。
テントのなかで、ごろごろと過ごしてしまう人が多いが、これは生活不活発病などの原因になる。
まず、テントから出ることが大切だ。
15分、自分の健康を考えながら歩こう。
次は、家族や友人の健康を考えよう。
そして、自分の命もみんなの命も、宗派や民族が違う人たちの命も大切なんだと考えよう。
いつか平和がやってくる。
健康、農業、命、平和はつながっている。
ていねいに大切なことをやればいいんだ。
農業をやってみたい人は、鎌田農場のスタッフとして働く方法もある。
そして、命、平和へとみんなでつなげていくのだ。
行動変容が大事だという話をした。
一度身に着けてしまった行動はなかなか変わらない。
「ブロッコリーなんて食べたことがないから食べない」というが、
その生活習慣を変えてみるんだ。
一つでも変われば、いつか大きな変化になる。
最初はわずかな変化でも、いつか自分の生き方、人生観、国の在り方が変わっていく。
そう話すと、みんながおう、おう、おう、とうなづいてくれた。
昨年は「ロゼット伝説」の話をして好評だった。
あいさつをする町、困っている人を助け合う町では、血管がつまる病気が少ないと話した。
この難民キャンプでも、あいさつしよう、困っている人を助け合おう。
みんなで目標をもとう。元気にシリアに帰ろう。
またもや、会場がおう、おう、おうとうなづく。
質問があった。
歩くこと以外に、いい健康法はないか、という。
日本のラジオ体操を教えた。
会場はなぜか、大笑い。
アラブの人はみんな一斉に同じ動きをする体操というのをしたことがないのだ。
こういうのは、あまり好きではないらしい。
でも、大笑いしながらも、みんなでラジオ体操をやってみると、会場は熱気と笑いがあふれた。
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