イラクの難民キャンプにて
あけましておめでとうございます!!
地球の営みはうまくできています。
365日すると必ず新しい年がやってきます。
いまぼくはイラクの難民キャンプ。
こちらのお正月は旧暦なので、年越しの花火が上がるくらいですが、
新しい年が来ると、絶望のなかでも気持ちが弾みます。
そして、今年こそ平和な年にしたいとみんな思うのです。
◇
ぼくは39歳から55歳まで、病院の責任者をしていました。
ほかの医療機関が休みになるため、救急外来に患者が殺到します。
「諏訪中央病院は患者を断らない」ということで、遠くからも患者さんがやってきました。
多い年には300人も。
救急担当の医師は当時4人、それにぼくが手伝いに入りますが、現場は野戦病院のようでした。
その間を縫って、ぼくは病院のスタッフをねぎらい、患者さんたちに声をかけて歩きました。
集中治療室の患者さんたちにも手を握ってあるきます。
隣接する老人保健施設にも顔を出します。
施設には、家に帰らない利用者も多く、
少しでも正月気分を出そうとスタッフが和服を着たり、こたつで鍋をしたり・・・と工夫をこらしました。
「おめでとう」と言い合っていると、「今年こそ歩けるようになって、日帰り温泉に行きたいな」などと、目標や希望が口をついてでます。
緩和ケア病棟の末期がんの患者さんたちにも手を握って歩きました。
「もう一度家に帰りたい」「買い物に行きたい」「うなぎを食べに行きたい」など、やはりいろんな声が出ました。
夜は病院の会議室で行われるアルコール依存症の会へ。
みんなが集まってお酒を飲む機会が増えるこの時期は、アルコール依存症の人たちは鬼門です。
誘惑に流されないように、みんなで集まるのです。
15年間ずっと禁酒を守っている、などという男性たちが、正月、この一年の禁酒を誓い合うのです。
◇
それぞれが背負っている現実は決して幸せなものばかりではありません。
しかし、どんなに絶望的な現状でも、年のはじめに「おめでとう」と新年を祝いながら、
希望や夢を確認することはとても大事なことだと思います。
どんな人にも新しい年がやってくる、これはとても素敵なことです。
就職が決まらない若者とも、
病気や障害を抱えている人たちとも、
厳しい寒さのなかで新年を迎えている被災地の方々とも、
ISに追われ、難民キャンプで生活している子どもたちとも、
新しい年を祝って「おめでとう」と言い合いたいと思います。
今年こそ、平和な年にしましょう!!
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