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2016年2月22日 (月)

どうなる日本の介護(4)

川崎の老人ホームで入居者が3人転落死した事件。
元介護スタッフが殺人で逮捕され、供述をはじめたようだ。
被害者の男性は、要介護3で認知症があった。
「男性は風呂になかなか入ってくれず困った。手がかかる人だった」という。
なんとも悲しい話だ。
認知症のケアで最も大切なのは、その人の価値を認めること。
相手が価値ある人と思えるかどうかで、対応が違ってくる。
こうした考え方は、バリデーションというケアの手法にもなっている。

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おそらく容疑者は、「面倒な人」と思い、「価値ある人」と思わなかった。
ここに大きな問題があったのではないか。
価値ある人と思って対応してくれるスタッフとは、認知症でわからなくても、心が通ったり、「この人といると安心」と思えたりして、
症状が和らいだりする。
これは、認知症のケアだけに言えることではない。
すべて人と対応するときに共通するように思う。
認知症のケアは、人と人との関係を築く基本的な手法や考え方を教えてくれるもので、
そこに介護の奥深さがあるはずなのに、
こんな結果になり、残念でならない。

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