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2016年3月20日 (日)

鎌田實の一日一冊(274)

「超説ハプスブルク家 貴賤百態大公戯」(菊池良生著、エイチアンドアイ)
700年余り世界を制したハプスブルク家がどうして崩壊していったのか。
深い知識と掘り下げた歴史研究、さらにあふれるほどの教養が、こんな面白い本を書いた。
語り口は、講談を聞いているようだ。
「フランツ・ヨーゼフ皇帝は何も手を打たない。どこかの国の洋酒のコマーシャルのように、何も足さない、何も引かない、
とひたすら帝国中心部に巨大な空虚を作り出すだけでけある。
それは、古来、人は、空虚を畏怖する! といわんばかりである。帝国は滅亡にひた走る」

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ときには、昔いた雷オヤジのように講釈をたれる。
「人間には二つのタイプがある。自分が受けた理不尽な仕打ちにどう対処するかでタイプが二つに分かれる。
こんな仕打ちを受けたのは自分でストップさせよう、決して繰り返してはならない。実に潔い態度である。
一方、自分は我慢した。これはイニシエーションなのだ、と負の連鎖にしがみつくタイプがある。
そして、残念なことに、人間にはこのタイプが圧倒的に多いと思われる」
ハプスブルク家の最大の武器は、王家同士の婚姻。
背けば、貴賤婚と差別される鉄の掟に、命がけで抗った大公・大公女たちの生き様を、
事実を小説のようにかみくだいたり、ひん曲げたりしながら、わかりやすく、おもしろく展開してくれる。
とにかく、おもしろい。

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