聴診器でテロと闘う(43)
バグダッドの2つの教育病院とバスラの小児病院、アルビルのナナカリ病院を支援してきた。
その具体的な支援について、年に1回、多い年は2回、JIM-NET会議で議論して決めている。
今回は小児の緩和医療について議論した。
治療成績はある程度上がってきたが、ある一定以上上がらない。
亡くなっていく子どもも多く、その亡くなり方が悲惨である。
チョコ募金のチョコ缶にポインセチアの絵を描いてくれたナブラスさんはユーイング腫瘍で亡くなった。
昨年暮れに訪ねたとき、ふるさとのシンジャールに戻れたら何をしたい? と聞くと、
「学校へ行きたい」と話してくれた。
彼女の夢はかなわず、それから2週間後に息を引き取った。
佐藤事務局長が撮影した動画をみると、最後、ナブラスさんはがんの痛みに苦しんでいた。
亡くなるときに、苦痛がないようにしてあげたいと、多くのドクターから意見が出された。
今年の課題は緩和医療だ。
ナナカリ病院からも緩和医療のレクチャーを受けたい、特に看護師にPCUの経験を積ませたり、
研修を受けさせたいという希望が出てきた。
また、パスラの小児病院はアメリカが立派な病院を作ってくれたが、放射線治療の設備もあるのに、まったく動いていない。
放射線の専門医がいないからだ。
ずっと探しているが、見つからないと言う。
この治療装置が動けば、救える子どもたちも多い。
放射線治療が必要なときは、インドやイランに連れて行っていた。
ジャナン医師は、白血病を遺伝子レベルで診断できるフローサイトメーターという装置があるが、
これを使える専門家が1人しかおらず、試薬が高価で自分たちでは買うことができないと訴えた。
ナナカリ病院には、フローサイトメーターを使えるように協力し、試薬の一部補助をしてきたが、
機械はあるのに人材や試薬が足りないことで、十分に活用されているとはいえない。
この「宝のもちぐされ」のような現状を解決していなければならない。
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