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2016年4月17日 (日)

鎌田實の一日一冊(278)

「漂流怪人・きだみのる」(嵐山光三郎著、小学館)
きだみのるは、「ファーブル昆虫記」の訳者。
フランス語やギリシャ語に精通した破天荒な学者である。
被差別部落に入り、准住民になるなど、日本中を駆け巡った。
戦後は、「モロッコ紀行」を書き、フェズなどの迷路のような町を旅した。
ドブネズミ号と名付けたブルーバードで、人妻との間にできたミミ君という少女をつれて旅をした。
借金の達人。
料理もうまかった。
あらゆる欲望に忠実。
常に反権力で、公平であることを大事にしてきた。

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ミミ君を預けたのは、三好京三。
三好は「子育てごっこ」を書き、直木賞を受賞している。
そのへんの不思議なくだりを、嵐山は鋭い文章で書いている。
きだみのるやミミ君の純粋さに対して、三好の、決して上品ではない人間の質のようなものが現れていて、
とてもおもしろい。
きだみのるのような、教養人で何者もおそれないような人は、なかなか出現しないように思う。
おもしろい本だ。

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