鎌田實の一日一冊(281)
「セシウムの雨」(今野金哉著、現代短歌社)
福島で生活する不安やつらさを短歌に詠んだ。
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避難して三年経てる 君言えり 酒に溺るる日々うとましと
戻れない もう戻れない 戻りたい 三者三様に今を苦しむ
廃炉には何年かかるものなのか 「長い戦い」と老いの言ひたり
原発の廃炉行程の先見えず 今日も汚染水漏るる事故あり
遅々として進まぬ除染にいらだつか 君もアル中の風に入りゆく
三十年のちの廃炉を見て死なむ と思えど残る命少なし
自らの命絶たむと思えども 東電憎くしこのまま死ねず
セシウムの雨降る街に並びつつ 水求めむと幾時間待つ
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福島第一原発の事故発生当時から続く避難の様子、その後の廃炉作業、そして町への帰還が少しずつはじまるなかで、苦しむ人たちの思いが迫ってくる。
福島第一原発の事故発生当時から続く避難の様子、その後の廃炉作業、そして町への帰還が少しずつはじまるなかで、苦しむ人たちの思いが迫ってくる。
ぜひ、この歌集を読んでもらいたい。
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