鎌田劇場へようこそ!(267)
「シリア・モナムール」
圧倒的にすごい。
市民ジャーナリストがシリアの内戦状況をyoutubeにのせる。
その画像を、オサマ・モハンメド監督が編集していく。
アサド政府軍が無差別に丸腰の市民たちを銃撃。
たくさんの市民が、デモをしている仲間が、死んでいく。
逃げながら撮っているので、大事なところで地面や空が映っていたりするが、それだけ緊迫しているということだ。
目をそむけたくなるうようなリアル。
本物の映像だから、怖い。
シマブという女性の映像作家が登場する。
ホムスから大切なメッセージを、映像で送り込んでくる。
それが、まるで詩のようである。
圧倒的な愛があふれている。
命は何色? 世界はどんな景色? 私は死ぬの?
シリア政府から迫害を受けてパリに脱出した監督のオサマと、ホムスに残ったシマブが、国への愛や友への愛、男と女の愛を、戦争を通して語っていく。
「シリア・モナムール」は邦題。
アラン・レネ監督の「ヒロシマ・モナムール」のオマージュである。
ISは今も、シリアの3分の1を制圧している。
この映画に登場するホムスを、見に行ったことがある。
イラクの難民キャンプに行くのに、この街道が安全だった時期があった。
その町が廃墟となっている。
ISを押さえつけるためには、国の形が保たれていることが大事と思い、
アサド政権でも政府があったほうがいいと思っていたが、
この映画を見て、やはりアサド政権は許しがたいという思いになった。
自分と自分の身内が生き延びるために、どれほど残虐な行為をしてきたか。
この映画は、残虐な現状を映しながら、愛を語っている。
シリアに平和が来ることを祈りなから見た。
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